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2023年の酷暑 身体はどうしのいできたのか?

「地球沸騰化の時代」

国連のグテーレス事務総長は2023年7月「地球温暖化(global warming)の時代は終わった。地球沸騰化(global boiling)の時代が到来した」と語りました。

「気候崩壊」の始まりか?9月28日には東京の気温が90日目の真夏日を記録しました。「これから年々もっと酷くなるのではないかと思う」と言う人が増えました。若い世代ほどこれから先が長いわけですから、より切迫感も強いでしょう。

2023年 5月下旬~9月 熱中症的体調が慢性化あるいは長期化

2023年は関東だけでなく、それ以上に東北・北海道での猛暑化が目立ちました。

東京では5月17-18日すでに真夏日となり、5月20日前後、寒暖差だけでなく湿度も大きく変動し、早くも熱中症になりやすい環境となりました。

すでに4月から胸から腕に向かう気の流れが激しく胸や肩の周りで閊えやすくなっていました(猛暑へ向けての“身構え”だったのかもしれません)。

気温30℃以下でも蒸し暑ければ胸に熱がこもって、はっきりした症状がなくても”半熱中症”状態になります。身体が重かったり、寝苦しくなったりしやすくなりました。くらくらしたり、頭が痛くなったりして、経口補水液を飲んだら落ち着いたという人もいました。

たとえば猛暑日の日中に屋外で動いているときは大丈夫だったのに、その後で疲れがどっと出て動けなくなったという場合も継続的熱中症と言えそうです。そのまま1週間以上だるくて動けなかったという人もいました。

身体の脱水傾向が日常化した今夏

5月下旬からすでに筋肉が痙攣しやすい傾向が出てきました。「こむら返り」が一番多いですが、全身の筋肉が激しく痙攣し、経口補水液を飲んで鎮まったという例もありました。睡眠中に毎日「こむら返り」が起きるなどの症状も、熱中症傾向が続いて脱水を起こしていると思われるケースも多かったです(こういう場合は就寝前に経口補水液を飲んでおくと大丈夫になる)。これほど多彩な熱中症あるいは熱中症傾向が”蔓延“したのは初めて見ました。

睡眠中もリラックスして頭から足への気の流れが強まり、ふつうなら疲れてこわばった筋肉もほぐれてくるのですが、身体に熱がこもって脱水気味になっていると筋肉が攣りやすくなります。

今夏は整体中に気の流れが強くなる過程で、激しい「こむら返り」を起こす例もありました。これまではそういう場合でもふくらはぎを1度ストレッチするだけで回復してきましたが、数回ストレッチしてやっと回復する例も複数ありました。そういう場合に、試しに糖分の入っていない通常ならやや塩味を感じる経口補水液を飲んでもらうと、「おいしい」「甘い」と言うのです。つまり、とくに自覚がなくても脱水=熱中症状態になっていることが逆に分かるわけです。それからは、少し塩味がしてふつうは不味い経口補水液をちょっと飲んでおいしく感じたときは、まめに補うことを勧めるようになりました。

胸がゆるめば涼しくなるが・・
最も熱がこもるのが胸の中です。24時間動いて熱を生産し続ける(クルマのエンジンのような)心臓が胸の真ん中にあるのが大きな要因でしょう。クルマならラジエターに水を循環させて放熱しますが、ヒトの場合、まずは汗をかいて放熱しようとします。さらにそれだけでなく、胸自体をゆるめてやわらかくすることでも放熱しやすくなろうとします。

実際に、整体の現場で胸の緊張をゆるめると身体が涼しくなります。同時に胸や首に汗がでることも多いです。胸に汗をかくことによっても胸はやわらかくなります。ただあまり暑いと胸をゆるめる応答が追いつかなくなります。胸がゆるまず硬いままになっていると胸の中に熱が圧縮されたような状態になります。また湿度が高いと汗をかいても乾かず、気化熱で冷やす機能が働きません。今夏は湿度が梅雨明け以降もずっと高く、放熱が困難でした。

とくに睡眠中は全身がリラックス・脱力して、深く眠るほど放熱しやすくなって体温も下がります。暑いときほど胸の中にこもっている熱を体表から発散するために、胸をよりよくゆるめたいのですが、胸に熱がこもりすぎていると胸がなかなかうまくゆるみきれず、むしろ体表近くで停滞して熱苦しくなり(=寝苦しい)、結果として眠りが浅くなります。普段は夢を見ないタイプの人がよく夢を見る。寝苦しくなって目が覚める、異常な汗をかくなど、眠りそのものが浅くなると、さらに放熱しにくくなるという負の循環に陥ります。

胸に熱がこもると、もう一方でお腹は冷えて腸の動きが鈍くなりぽっこり張って、場合によってはムカムカする不快感がしたり、空気を呑み込みやすくなるといった自律神経系の不調も生まれます。皮膚炎や喘息などのアレルギー反応も起きやすくなりました。

下腹の力が抜けてだるい・重い・眠いなど、昔から真夏にはそういう実感はある程度ありましたが、こんな酷暑ではほんとうに暑いというだけで何もしないうちから疲れているわけです。

熱がこもって固くなった胸に応じる頭と骨盤の動き

胸をゆるめるために全身が動く

暑くなるほど、胸をゆるめるために全身でなんとかしようと動きが起きます。

この夏は人によっては5月下旬からすでに、胸をゆるめるために頭蓋骨+骨盤がゆるむ動きが始まり、7~9月はとくに大きく頭骨・骨盤ともにゆるんで大きく広がる動きが続きました(但し忙しい人・緊張の強い人の場合、頭のほうはゆるみにくい)。

この動き、ふつうは生理(月経)のときや、季節的には春に起きます。冬のあいだ寒さから身を守るために引き締まっていた身体が一転大きくゆるんで排泄を高め、身心を再起動する過程の動きです。この動きが多くの人に共通して夏に起きるのはかなり異常です。2020年8月にも骨盤がゆるみ、2021年は7月下旬〜9月、昨年2022年も6月下旬に始まり(東京猛暑日計16日)、とくに夏バテが起きた8月後半〜9月に同じ反応が起きました。今夏は昨夏以上に東京真夏日(計90日)・猛暑日(計23日)がダントツだっただけでなく、湿度も延々高かったので体感気温はさらに数℃高かったと思います。

つまり2020年以降、年々夏に骨盤がゆるむ傾向が拡大しているわけです。

<参照>
https://note.com/migamama/n/n41b4beff1dd5 )https://note.com/migamama/n/n5cd28e887ce3https://note.com/migamama/n/ncebf2189645d

実際、整体の現場では胸の緊張をゆるめていくと、それだけで頭や骨盤が自動的に引き締まってくることが多いです。つまり胸がうまくゆるんでくれれば、頭や骨盤はゆるむ必要がなくなるわけです。


2000年代 =大変動の時代 骨盤の動きにも穴(ツボ)の反応にも変動が続く

変動をしのぐ ー 血海の”気構え”

この20年の整体の現場での記録を振り返って見ると、骨盤が引き締まるはずの真冬=1月に骨盤がよく縮まず、逆に大きくゆるんだりすることもよく起きました。骨盤がよくゆるむべき春によくゆるまないこともありました。

身体の中の季節のリズムも環境変動とともに大きく揺らいでいるのです。

まずは真冬1月に骨盤がゆるんだ年を上げていきます。

2002年(大きくゆるむ)2003年〜2005年(右がゆるむ)2007年(1月に右、2月には左もゆるむ) 2010年(右ゆるむ) 2011年(右大きくゆるみ左強く縮む)

次に春に骨盤がよくゆるまなかった年を上げます。

2011年は特別です。
1月に右大きくゆるみ、左強く縮むという不安定なバランスを経過した後、東日本3.11大震災・福島原発事故のショックで縮み上がり、3週後の4月初旬から右がゆるみ始め、6週後の4月下旬からは左もゆるみ、5月には例年の春のように花粉症などのアレルギーが多発しました。

2016年(春にゆるまず5月にゆるむ) 2017年(ゆるみ不完全)
2018年(4月のゆるみが不完全)

この2018年は転回点でした。5月以降、血海穴の反応が激しく6~7月はさらに激しく、夏は猛暑。7月の熱中症搬送5万人超(世界中で猛暑、山火事)。
その後2023年に至るまでずっと血海の高い反応が続きます。

次に骨盤のゆるみ↔縮みにも関わる穴(ツボ)の反応も見ていきます。

通常は骨盤のゆるむ春に足三里が活発化し、5月(=春→夏の切り替え期)と11月(秋→冬の切り替え期)に身体に気合を入れ直して節目を作るべく血海が活発化するのが周年の定常リズムです。

春には骨盤のゆるみとともに足三里が活発化して頭から足への気の流れを促し、排泄を高めるのですが、20011年は”3.11ショック”で骨盤も縮み上がった後、やっと骨盤がゆるんだ5月から足三里の反応が活発化。以降2018年の春まで季節を超えて活発な傾向が見られました。ショックからの身心の回復過程の反応と思われます。
 (大震災・原発事故のショックに関しては地域差があるとも考えられます。これはほぼ首都圏の人々の反応です)
逆に2019年以降は足三里の反応が目立たない傾向が続いています。

一方、本来は5月(夏への切り替え期)と11月(冬への切り替え期)に活発になる血海は、2012年〜2015年のあいだは足三里とともに季節を超えて高反応が続きました。
2016~2017年は目立ちませんでしたが、2018年5月以来、2023年までずっと高い反応が続いています。

血海は下腹=丹田を温め、“気合”を注入するポンプのようなツボですから、猛暑で骨盤がゆるんでいるときでも、一方でいつでも気合を入れる“気構え”がそこにあるといえます。

血海がいつまで構え続けなければいけないのか、あるいは身を護る社会インフラがなかったような先史時代にはこういう“気構え”がむしろ自然だったのか、いずれにしろ身体は必要な身構えをとっていくことになるのでしょう。

「地球沸騰化」の時代 ―― 何万年も前から身体の奥底に刻まれた記憶=身体の智慧が掘り起こされていくような気配がします。

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