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世界で最上級の花

花屋の店先にはいろんな花が並んでいるし、ひとそれぞれ好みはあるけれど、どれもみんなきれいである。そうさ僕らは世界に一つだけの花。

多様な価値観が尊重される時代となり、人と違うからといって差別される風潮もなくなりつつある。かつて非難の対象となった〈オタク〉も、すっかり市民権を得て、マンガ・アニメは日本を代表するカルチャーとなった。

テレビや雑誌といったマスメディアの影響力も弱まり、SNSや各種サブスクリプションが台頭。流行という文化すら危うい今日この頃である。みんながそれぞれ、無理に多数派に合わせることなく、好きな文化を享受できる時代になった。それはとても素敵なことだ。私もマイナーな趣味ばかりなので、いまの時代はとても生きやすい。

しかし心配なのが、なんでもかんでも〈好み〉で片付けられてしまう恐ろしさである。やはり〈良いもの〉〈悪いもの〉という価値判断の裏には、何らかの権威があるべきで、そこで批評されたり、競争が発生したりすることが必要なのだと。

なにもかも〈好み〉で判断すると、人は〈本物〉を学ばなくなる。三つ星レストランの高級料理と、マクドナルドのハンバーガーは同列に語れない。もちろんマックは美味しいし、そちらのほうが好きでも良い。しかし、どこかで〈本物〉を学んだとき、それまで好きだったものに物足りなさを感じたりするものだ。

私は大学で「感動体験をたくさんしなさい」と教わった。本当の良いものには、圧倒されるような感動をもたらす力があると。それを味わえば味わうほど、人生が豊かになると。私は、できるだけ良いものを知って豊かな人生を送りたい。

今は定額さえ払えば、それまで手の届かなかった〈本物〉が味わえるのだから、まさしくチャンスともいえる。

「世界に一つだけの花」は「最上級の花」であってほしい。その花を知ったとき、人生すら変わるかもしれないのだから。



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