見出し画像

ライターになる道はいと険し5

紆余曲折あって、私は最初のクライアントだったライティング代行会社を辞めた。新たにWebマーケティング会社と業務委託契約を結んだのだが、1社だけでは心もとない。そこで私はクラウド・ワークスで案件探しをすることになった

代行会社を辞める前、ライティングの師匠であるカナコ先生に相談。ノーギャラにされた時よりはましなのだが、ぼんやりしていると、また親子で餓死の心配をしなくてはならない。といってもさすがに奴隷案件には応募しなかった。クラウド・ワークスに応募する前、とことんリサーチをし奴隷案件がいかにひどいかを知っていたからだ。

「1円以下の案件なんて応募してもしょうがない」
「将来的にもいい結果をもたらさない」
とはいうものの、初心者の私には案件通過はハードルが高かった。
経験を積んだとはいえ、その頃の私はまだ、よちよち歩きの赤ちゃんライター。2円案件なんぞ自分にはレベルが高いと思っていた。

ところが、ある日のことカナコ先生は私のために、わざわざ案件をいくつか探してくれた。
「なんていい先生なんだろう!」
涙が出そうになった。ライティングの講師はたくさんいるだろうが、生徒のために案件を探してくれる先生なんているのだろうか?
カナコ先生との出会いに感謝した。

先生は3件ほど紹介してくれたが、その中で私が驚いたのは求めるレベルがプロレベルのもの。内容も私がよく知らないNFT関連だった。
「こんな難しそうなもの、私には無理だ!」
しかし、カナコ先生に押されて私は落ちて元々と受ける決意を固める。

テストライティングの内容を読んだら、米国の人気NFTに関する記事。NFTもよくわかっていなかったが、アート好きで以前絵も描いていた私。本来のオタク気質に火がついた。
「よし、とことんリサーチして書こう!」
ひたすらリサーチした後は、いかにNFTが魅力的に見えるかを考えた。

田中泰延がいっていた言葉が胸に響く。
「自分がおもしろくもない文章を、他人が読んでおもしろいわけがない。
だから、自分が読みたいものを書く」
読んでいて自分がワクワクできないと相手にそれは伝わらないのだ。
そこで、自分がおもしろいと思うような文章を書こうと思い、没頭した。

完成した記事をドキドキしながら納品したところ、何と合格に!
何よりも嬉しかったのは合格になった時のクライアントのメール。
「心躍るような文章でした」と。
その時学んだのは、自分が魅力的に見せようと思って書いた文章は、必ず人に伝わるということ。
代行会社でライターとしての成績表で「1」を取ってしまった私だが、初めて自信を持つことができた。

その後、クラウド・ワークスで個人のクライアントからもスカウトが来た。Webマーケティング会社と個人のクライアント、NFTの会社、3社から仕事をもらったら万々歳だ!
その頃の私は能天気に考えていた。特に受かったNFTの会社は文字単価2円案件だったので、発注前から皮算用をしていたぐらい。代行会社を辞めても「私はもう大丈夫!」と強気に考えていた。

ところが、肝心のNFTの会社はその後何の音沙汰もなかった。
待てど暮らせど返事はなく。
「あれ?私受かったんだよね?」
返事が来ないことに徐々に心配になってきた。
しかし、小心者の私は怖くてクライアントに「この件はどうなっているのでしょうか?」と聞くことすらできなかった。
「受かったと思ったのに……」
ずーっとクヨクヨしていた。
結局12月に受かったこの会社から発注が来たのは、3ヵ月後の3月であった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?