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#13 ジストシネマ和歌山

和歌山の独自シネコン

 今回は、南大阪からさらに南へ向かい、とうとう和歌山まで行ってしまいます。和歌山で独自のシネコンチェーンを展開する「ジストシネマ」のうち、和歌山市にあるジストシネマ和歌山です。

ジストシネマ和歌山
http://www.o-entertainment.co.jp/xyst_cinema/wakayama/information.html

 公開規模の小さい映画は、地方のシネコンでは上映がなく、大阪府下では梅田か難波でのみ上映、なんてことがよくあります。南大阪在住の私がそういう映画を見ようとすると、最低でも難波まで出るしかない、と数年前まで思っていました。ところがあるとき、そういう映画の一部が、和歌山に行けば上映されていると気づきまして。しかもよくよく調べてみると、南大阪の我が家からは、難波に出るより和歌山に出るほうが実は早かったということにも気づいてしまいまして。以来、ひいきにしている映画館がジストシネマ和歌山です。

 「ジストシネマなんてシネコン、聞いたことないぞ?」と思われる方が多いかもしれません。ジストシネマは、スーパーマーケット「オークワ」のグループ会社が運営しているシネコンで、和歌山にのみ存在するシネコンチェーンです。和歌山市にジストシネマ和歌山、田辺市にジストシネマ田辺、新宮市にジストシネマ南紀、御坊市にジストシネマ御坊があります。ちなみに私はジストシネマ和歌山にしか行ったことがありません。

ジストシネマ和歌山の場所

 ジストシネマ和歌山は、和歌山市内にある商業施設のガーデンパーク和歌山に入っています。大阪から行くなら、深日(ふけ)の交差点から孝子峠(きょうしとうげ)を越える道を和歌山市街へ向かって進むと、紀ノ川の手前の左手にガーデンパーク和歌山があります。深日の交差点から…と書きましたが、数年前に国道26号線のバイパス道が和歌山市内まで開通したので、常時渋滞していた深日の交差点を通ることなく、バイパス道で一気に大阪から和歌山市内まで行けるようになりました。それもあって、大阪からジストシネマ和歌山へ車で行くのは、以前に比べてぐっと楽になっています。

 公共交通機関利用なら、JR阪和線の和歌山駅や南海本線の和歌山市駅から和歌山バスを使うことになります。ガーデンパーク和歌山の前に土入橋というバス停があり、JR和歌山駅からだと20分弱です。南海本線の和歌山市駅から行くと、バスの乗り継ぎもあって40~50分かかるようです。

会員制度・OEカード

 ジストシネマ和歌山には、OEカードという会員カードがあります。入会は無料で、年会費なども特にかかりません。会員になると、一般が300円引き、学生が200円引きで鑑賞できます。また、ジストシネマ和歌山では毎週月曜日がOE会員デーのため、月曜は映画1本1,100円で鑑賞できます。さらに、映画を1本有料鑑賞するごとに1ポイント加算され、6ポイントたまると映画1本が無料鑑賞できます。

 ジストシネマ和歌山では、少し前まで、6ポイントたまると無料鑑賞できるけど、無料鑑賞時に5ポイントしか引き去られない、というよくわからないキャンペーンをやっていました。無料鑑賞するためにはあくまで6ポイントためないといけないものの、実質5ポイントで1本無料鑑賞できるしくみです。でも、公式サイトで特にキャンペーンの案内はされておらず、このキャンペーンがいつ始まっていつまで続いているのか、今はもう終わっているのか、など、いろいろ謎に包まれていました。なお、ポイントの有効期限は最終鑑賞日から6ヶ月です。

サービスデー・割引サービス

 ジストシネマ和歌山のサービスデーや割引サービスは、次のとおりです。

・ファーストデー   毎月1日/1,100円
・レディースデー   毎週水曜日/女性1,100円
・シニア割引     60歳以上/1,100円
・夫婦50割引       どちらかが50歳以上の夫婦
             /2 人で2,200円
・レイトショー      毎晩20時以降/1,300円
・OEカード会員デー   毎週月曜日/OEカード会員1,100円

サロンシネマ

 ジストシネマ和歌山には、TOHOシネマズのプレミアスクリーンのような豪華な座席が配置された「サロンシネマ」があります。各座席の間にはテーブルがあり、前後左右の間隔がゆったりした座席のつくりになっています。

 ジストシネマ和歌山では、このサロンシネマで午前十時の映画祭を上映していました。よほど人気のタイトルでない限りは満席になることもなく、ほどほどの客入りで、ゆったりした座席で午前十時の映画祭を優雅に堪能できるのが最高でした。私は長らく午前十時の映画祭の上映を見にTOHOシネマズなんばへ通っていたのですが、このサロンシネマが快適すぎて、最近はジストシネマ和歌山へ見に行くことが多くなっていました。

 さらに、サロンシネマではいつも、「これ見たかったのよ、ありがとうサロンシネマ!」と思うサロンシネマラインナップがありまして。今なら何をやっているのかな?と公式サイトを見てみたら、4/17~4/30が『Red』、4/24~5/7が『男と女/人生最良の日々』、5/1~5/14が『星屑の町』、5/8~5/21が『レ・ミゼラブル』、5/15~5/28が『スウィング・キッズ』、5/22~6/5が『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』となっていました。さすがサロンシネマ。見たい映画ばっかり。特に『星屑の町』とか『レ・ミセラブル』とか、テアトル梅田シネ・リーブル梅田で上映してるな…と思いつつ、先月の週末自粛要請もあってぐずぐずしているうちに見逃してしまったんですよね。行きたいなあ。でもさすがに今は、大阪府民の私が和泉ナンバーの車で和歌山へ行く勇気はないので、5/6で緊急事態宣言が解除されるといいなあ、と思うばかりです。

ちょっとした心遣い

 ジストシネマ和歌山では、ちょっとした心遣いというか、ちょっとしたサービスが素晴らしくて、私はすごく好きです。そのひとつが、チケット購入窓口に置いてある上映スケジュールの表。各上映作品の左側に、「9」とか「11」とか手書きで数字が入っていて、この数字が実は予告編の時間になっています。

 私は、車の渋滞などで上映時間ギリギリに駆け込んでしまうことがよくあって、そんなとき、予告編は何分あるかな?トイレに行く時間はあるかな?なんて思うわけです。たいていの劇場では、チケット購入窓口で「予告編は何分ありますか?」と聞くと、係員がゴソゴソと手帳を取り出したりして調べてくれます。場合によっては、そのゴソゴソ調べる時間が結構かかって、もういいよトイレ行ってくるよ、なんて思ってしまいます。ギリギリに到着した自分のことを棚に上げて。でもジストシネマ和歌山の場合、最初に尋ねたときに、窓口のタイムテーブルの手書きの数字が予告編の時間だと教えてもらったので、以後は質問することなく、まだあと何分あるな、などと思いながらチケットの発券を待っています。おそらく窓口のスタッフさんも、目の前に書いてあるから聞かれてもすぐに答えられるし、お互いにとって非常に合理的なシステムだなと思います。これは他の劇場もぜひ真似をしてほしいところです。

 そして、トイレに行っている間に予告編は始まってしまったものの本編には間に合って、無事座席に着くと、本編開始前のマナー喚起の上映があります。ここで、他の劇場なら、「上映中はお静かに」「携帯電話の電源オフ」「前の席を蹴らない」「他店の飲食物は持ち込み禁止」くらいの注意喚起があるところですが、ジストシネマ和歌山では、これに加えて、「チケット購入は時間に余裕をもって」というのが入ります。ここで私はいつも、「はい、申し訳ございませんでした」と思いつつ、ギリギリの到着時にも慌てないように予告編の時間を書いておいてくれるジストシネマ和歌山ありがとう!と思っています。

和歌山独自の映画文化の供給

 そんなわけでジストシネマは、シネコンと言いつつ地元密着で地方都市に独自に映画文化を供給してくれる貴重な映画館だなあと私は思っています。そして、和歌山の中心地で多様な上映ラインナップを提供してくれているジストシネマ和歌山は、南大阪在住の私にとって、ときには大阪市内へ行くよりもたやすく様々な映画に接する機会を与えてくれる、素晴らしい映画館です。

 一昨年の台風21号が関西地方を直撃した際には、関空連絡橋にタンカーが衝突したり関空が水没したりの被害くらいしかまともに報道されませんでしたが、ジストシネマ和歌山も大きな被害を受けていました。一時期は営業を休止して、台風被害を受けたロビーの修繕工事が終わったのは2ヶ月後くらいだったでしょうか。あのときも、経営への影響はないのだろうかと不安になりましたが、今はもっと不安です。ジストシネマはどれくらい経営に余裕があるのか知りませんが、和歌山に独自に展開するシネコンがなくなると、和歌山県民でない私でも非常に困ります。この危機が過ぎ去ったら、また以前のように、ゆったりしたサロンシネマでかゆいところに手が届く上映ラインナップを楽しみたい。それまでなんとか、この苦境を耐えてほしいと思っています。

※料金やサービスは、2020年4月現在の情報です。

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