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このキャラクターはナニモノなのか?という話

記事に「スキ」をして頂いた時のお礼のメッセージに画像が添付できるようになったので、両手を挙げている子どものイラストを添付しました。

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この子、私のアイキャッチ画像にもしばしば登場します。キャラクターなのか?ただの人なのか?ナニモノ?という話をしたいと思います。どうでもいいかもしれませんが・・・。

1年くらい前の話です。自分のWEBサイトを更新していた時に、タブに表示されるアイコンを設定されることに気づきました。嬉しくなって、何か設定してみたくなり、ムスコに「何か、母のサイトのアイコンとしてふさわしい絵を描いてはくれないか」と頼んでみたのです。するとムスコが、「いつも描いている、あの子でいいじゃん?」と。そう、この子のことです。そう言えば、いつも意識せず、メモの隅っことかに、ちょいちょいと描いていました。

設定してみると、なかなかいい感じです。タグを沢山開いた時に、ずらっと、この子の顔が並ぶのも楽しい。

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そう言えば、この子、いつから描いていたんだっけ?と、考えて・・・思い出しました。
この子の名前は、たぶん、「リバースくん」です。
たぶん・・・というのは、うまれた時に、名前がついていたか、いなかったか、ちょっと記憶が定かではないのです。

1995年の夏、私たちは、神戸市内の公園や、テント村の一角で、子どもたちと遊ぶ活動をしていました。メンバーは、神戸市内や近郊に住む中高生と、東京を中心とした遠方に住む大学生や若い社会人。私は高校3年生でした。ワゴン車に、ジャンボ紙芝居や、外あそびのグッズや、おもちゃや、何やら色々載せて、1日1カ所、子どもたちの遊び場を訪れ、そこで1日子どもと遊んでいました。
1日10名前後のメンバーが参加し、8月1か月間、入れ替わり立ち替わり、全部で60~70名くらいは関わったと思います。
そのワゴン車の名前が「リバース号」でした。

この子どもが最初に描かれたのは、リバース号がみんなの町にやってくるよ、というチラシを作った時です。中学生の後輩が描いたチラシの挿絵でした。チラシの中では、もっとひょろっとしていて、仲間が何人もいて、みんなで駆け回ったり、文字にぶらさがったりして、チラシの中を自由に飛び回って遊んでいました。

リバース号の目玉のひとつが、ジャンボ紙芝居でした。横2メートル、縦1メートルもの、べニア板でできた紙芝居。これを設置し、その前にビニールシートを敷くと、子どもたちが、なんだなんだと集まってきます。そこで、はじまりはじまりーと、お話が始まるのです。「赤ずきん」でした。

ある時、私は、数か月前におもちゃライブラリーの交流会で教えてもらった「手遊び」を試してみたくなりました。
紙芝居が始まるのを待つ子どもたちの前に立ち、教えてもらった通りに話しかけ、ゆっくり歌い、手を動かしました。ブタさんの手遊びです。「このブタちびすけ、いちばへまいった」「このブタちびすけ、おるすばんでござる」「このブタちびすけ・・・」1本ずつ、指を立てます。
子どもたちが、じーっとこちらを観ています。指の動きを、観ています。
「みんなそろって、おやすみなさい」ゆっくりと手をしまうと、子どもがふーっと、息をはいたのが分かりました。

じーっとこちらを観ていた子どもたちの眼が本当に嬉しく、今でも忘れられない時間です。
それから半年ほど後、私は子どもたちが、あんな真っすぐな眼で観てくれるくらい、何か子どもたちに楽しんでもらえるワザを手に入れたいと思って、大学で、人形劇制作のできるサークルの一員となりました。そのサークルで、子どもたちと向き合う活動に明け暮れ、子どもに関わることをテーマに就職し、今に至ります。
そう考えれば、あの日、ブタの手遊びを観てくれた子どもの姿が、私に大きな大きなきっかけをくれたのかもしれません。

さて、そんなリバース号は(というか、リバース号だったワゴン車は)、8月の終わりに返却しました。その後も、単発の活動をいくつか行いましたが、メンバーもそれぞれ卒業したり進学したりして、活動はフェードアウトしました。

その後、私は先述のようにサークルで人形劇制作をしたり、小学生向けキャンプのキャンプリーダーをしたり、もちろん大学生として普通に勉強したり飲み会に行ったり、リバース号の活動は、過去のことになっていきました。

ただその後も、この子はちょこちょこ私と一緒にいました。リバース号の時の子だよね、という意識もなく、この子を描いていました。ワークショップなどで、名札に呼ばれたい名前を書いてくださいねー、なんて言われて、紙とマジックを渡されると、名前と一緒にこの子を描いたり。職場の人に借りていた本を返す時に、「ありがとうございました」のメモのすみに、おじぎをしているこの子の絵を描いたり。

noteでアイキャッチ画像を作る時、ワンポイントあるといいな、と思った時に、この子をちょいと配置してみたら、なかなか収まりが良かったので、私のアイキャッチ画像にも登場するようになりました。

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リバース号の活動は、直接今に続いている訳ではないけれど、〈あの活動があったから今の自分がある〉と言えるような、何か心の深いところに蒔かれた種のようなものがあるのだろうと、改めて思います。この「リバースくん」は、私が出会ってきた子どもたちの象徴かもしれません。そうやって出会ってきた1人1人の子どもたちの姿が、今も私の原動力なんだなぁ、と改めて、強く強く思うのです。

人との出会いによって、自分は生かされているんですね。それは、今も、そして、大人との出会いや、こういうリアルではない出会いでも同じですね。

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