見出し画像

「焼かないBBQ」のつくりかた 〜地方コミュニティでの令和最新版オフライン勉強会〜


はじめに

こんにちは、MIERUNEの古川です。 ウチの畑でズッキーニときゅうりが指数関数的にできてしまい、毎週月曜日はオフィスで里親探しをしています。

さて、MIERUNEでは「MIERUNE BBQ(以下BBQ)」というユルいオフライン勉強会を2023年5月から開始し、この7月開催でついに10回を迎えます。
最近、周辺の方から「BBQいいですね〜」とか「こんどウチの会社でもBBQみたいなの開催していいっすか?」と聞かれることが増えてきてとても嬉しいです。
このnoteではMIERUNEが開催しているBBQ開催にあたっての工夫や大事にしたいことをみなさんに共有し、「BBQ的なイベントをこれからやってみたい!」という方や、「イベントにBBQでのエキスを注入したい!」という方の参考になれば幸いです💁‍♀️

オンラインイベントでの乾き

もうすっかり遠い昔のようになっていますが、2020年ごろから始まったコロナ禍により様々なIT勉強会やカンファレンスは、軒並みオンラインに移行していきました。
オンライン化によって、遠隔地でも気軽に参加できたり、日本だけでなく世界からもゲストをぬるっとお呼びすることも可能になるなど、様々なメリットがありました。また、私自身もいくつか経験があるのですが、オンライン化にあたっては様々な試行錯誤や学びがあり、そのころのイベント運営のみなさまは大変奔走されていました、ありがとうございます。

でも、いつ晴れるともわからないコロナ禍の霧の中で感じていたのは、すごく便利なんだけど「なにかが足りない…」という渇望感でした。
あのオフラインイベントでの高揚感はどこにいったのだろう…

たとえば…

  • あの御大から「いつもブログ読んでますよ」といわれ有頂天

  • 勢いと酔いにまかせてLTをしたら大喝采を浴びて握手攻め

  • 休憩のため入ったセッションでものすごい示唆が得られて役得

  • ほしかったあのライブラリのステッカが取り放題

  • いつもいいねをくれるあのアカウントの人とやっとご挨拶

…などなど

コロナ禍のオンラインイベントに画面越しで参加しながら、どことなくわたしはこんな高揚感を渇望していたのかもしれません、まるで逃げ水を追いかけているかのように。

MIERUNE BBQの胎動

上述のような「オフラインイベントへの渇望」という個人的な欲求のほかに、MIERUNEとして「”ナイス”な人材を地元でも集めたい」という課題がありました。

MIERUNEはさまざまなIT業と同様にエンジニアの確保はとても必要なのですが、位置情報技術という宮大工のようなニッチかつエキサイティングな分野を扱っていることもあり、MIERUNEならではのカルチャーやメンバーを理解していただいた上で乗船してしてもらってお互いの幸せのために「こんなはずでは」のギャップを可能な限り埋めておきたいという考えもありました。

また、本州や東京圏でのエンジニア獲得競争はコロナ禍でも苛烈をきわめており、札幌を本拠地とするMIERUNEとしては本州の人材獲得のために湯水のようにコストを投入する消耗戦にずっと参戦し続けることもなかなか難しい状況にありました。

そんなことをぼんやり考えながら、2023年3月に参加したDevRelJapanカンファレンスで日本経済新聞西馬さんによる「DevRelの考え方を学んでエンジニア採用に生かす」の発表で共有されていた、採用する側・採用される側の芯のある関係性ってほんと重要だなと再認識させていただきました(西馬さんありがとうありがとう)。

そうこうしているうちに、2023年5月の新型コロナ5類移行に伴って、国内のITコミュニティでもオフラインイベントを再開しようとする動きがあることをCOO桐本がキャッチします。

社内MTGで…
「オフライン復活の瞬間(とき)がきたようだ」
「すてきな人材候補さんと直で話してみたい感あるよね」
「ウチがチャレンジしないで誰がやるのか」
「まずはやってみよう、だってリハビリだしね」
…こんな会話が交わされ、トントン拍子に2023年5月末に第一回目のオフラインイベントを開催することなりました。

BBQ初期に出してた言い訳フレーズ

MIERUNE BBQの産声

さて、開催が決まったもののイベント名をどうするかという話になります。MIERUNEではコロナ禍でもオンライン勉強会「MIERUNE Meetup mini」 という名前で開催していました。
そのため当初はBBQのことを「MIERUNE Meetup mini offline in Sapporo」 という仮称で呼んでいたのですが、覚えにくい・要素が多い・呼びにくい…ということで暫く思案していました。

渇望のさなか目指していたイベントのイメージとして、

  • みんなでネタをもちよる

  • 参加者でネタを楽しんで共感し合う

  • ロジやルールはつらくない程度に

…ができるといいなと考えていました。

しばらくして、これってまるで河原やキャンプで仲間たちとたのしむBBQみたいなものじゃないか!と突如シナプスが結合し、「MIERUNE BBQ」というイベント名にしました。

BBQ初期に出してた雑い背景説明

また、ややユルめなイベントのイメージは2010年前後に見聞きしてアコガレていたイベントのイメージがありました。たとえば、green drink tokyoとか、東京ピクニッククラブなどです。
どちらもシビックプライドをベースとした、双方向性やその場で得られる物事やヒトとの関わりを重視したイベントデザインで、いつかこんな雰囲気をもったユルめのイベントをやってみたいな…という思いがありました。

東京ピクニッククラブによる公共空間での活動
引用:未来町田会議

また2010〜2014年頃に私自身が参加して、居心地が良く影響をウケた場がジオメディアサミット(GMS)のコミュニティでした。このイベントは、まだクラウド技術もスマホも黎明期だったころ、今となってはジオ業界の巨人となった方々がIT界隈の方が毎回登壇し、様々なチャレンジやトレンドが毎回共有される刺激的な勉強会でした。
毎回イベントの開始時には「オープン・中立・交流重視」というモットーが掲げられ、硬苦しい「勉強会」がスタンダードだと欠如モデル的な上から目線で考えていた当時のわたしとしては目からウロコがぱらぱらと落ちたものでした。

このとき浴びたさまざまな経験や剥がれ落ちた目ウロコは、のちに立ち上げるFOSS4G HokkaidoやそこからスピンアウトしたMIERUNEの根本思想になっているような気がしています。

FOSS4G Hokkaidoの様子。たぶん100人くらい集めてたような

※あと、ちょっとハイコンテクストですが、わたしはTaraf de Haidouksというロマ楽団が好きでして、村にいるメンバーたちがひとりひとり(およそピカピカではなさそうな)楽器を持ち寄り、やがて大きなうねりを生み出すこのPVストーリのイメージもどこかにありました。

MIERUNE BBQ開催と運営

こうして「まずはやってみよう!」ということで、2023年5月末にMIERUNE BBQ #01を札幌で開催しました。
PRを入念に行ったわけでもないのに、定員30人はあっという間に埋まり、ほぼ全員出席し、だれも懇親会前に帰らないという熱気あふれる状況でした。やはりみなさん、オフラインならではの臨場感やコミュニケーションを求めていたのかもしれません。

BBQ#01のころのConnpass
一番集客してたw

そのときのnoteやTogatterはこのあたりになります

BBQイベント運営にあたってはさまざまな工夫をBBQにインサートしていきました

参加したくなるしかけ

まず、ユルくてぐっとくるイベント名に負けないロゴを、MIERUNEのちょうゆうめいデザイナー加藤さんにお願いしました。
当初BBQ串・BBQ網・炎(人々の情熱・熱気)の3つのアイデアが出てきて、どれも甲乙捨てがたいデザインだったのですが、MIERUNEカラーの紺と対象的で、ちょっとポップな炎バージョンが選ばれました。

当初のロゴマークラフ案
超レアなプロトタイプ3種

また、会場限定のステッカーも作成し、現地参加によるプレミア感も演出してみました。

このほかにも、ささやかな飲み物やお菓子などもMIERUNEから提供し、楽しい時間を過ごしてもらうためのちょっとしたおもてなしも演出してみました。また、connpassのすみっこに「焼かなくても食べれるモノの差し入れ大歓迎!」のテキストをかいたところ、毎回BBQ味のポテトチップスや焼き鳥(!)を差し入れてくださる方もいて場を盛り上げてくれました。

この日はエベちゅんも参加。焼鳥注意

場作りでのひとひねり

勉強会の登壇者についても、ちょっとした工夫をしてみました。 よくあるIT勉強会ですと、先着順での登壇エントリーの場合すばやくいつものツヨツヨエンジニアの方が毎回揃い踏みになったり、いつまでたっても「登壇者なし」となってしまうことも予想されます。また、社内依頼の場合もうまく意思疎通を図れていないと「やらされ登壇」となってしまい、ライブ感の維持が難しくなることにもなります。

このため、BBQでは社内・社外で各2名の4名の発表フォーマットとし、社外登壇者についてはシニア&ヤングなどの組み合わせで「このヒトにお話聞いてみたい!」という候補を運営で選び、依頼をかけていきました。また、2回目以降はBBQ懇親会などで「どうすか、今度BBQで発表してみませんか〜?」とゆるやかな勧誘を行ったり、イベントアンケートに「こんど登壇してみたいです!」の立候補欄に記入してくださった方たちから依頼を行いました。

また、社内に関しても運営からエンジニア指名を行い、ユルくてためになる内容づくりの壁打ち、タイトルのブラッシュアップといったサポートも適宜運営から行いました。

(こんなタイトル見たくなるじゃないですか!)

みんなにやさしくね

せっかくみなさん時間を割いてイベントに来てくれるので、気持ちよく帰ってもらいたいというのはあまたのイベント運営としての希望だとおもいます。近年の様々なイベントでも謳われているCoC(行動規範)や肖像権に対する確認や、質問やコメントは「Yes,and…」の姿勢でおねがい!など、ユルいけど「安全な」場づくりのお願いも毎回のイベント開始時にお伝えしています。

毎回BBQイントロで出す良い子とのお約束

また「おなじみさん」の割合が高いイベントは初めて参加する方にとって敷居が高く、ハイコンテクストな雰囲気になったりしてちょっと緊張しがちになりますよね(わたしもそうでした)。

でも、はじめてさんはイベントやコミュニティの宝だと考えています。
そこでBBQでは初心者さんに対しても気兼ねなく参加できるようにconnpasエントリー時に「はじめて参加枠」を一定枠設けています。「はじめて参加枠」の割合は、いつも全参加者の30〜50%くらいとなっていて、ちょうど良い混ざり具合になっていると思います。

このほかにも、懇親会では興奮して登壇者さんを囲んじゃったり、知り合い同士で固まらないように、トークの輪に入りやすくするパックマンルールの紹介も懇親会前に行うなど、相互交流をしくみでサポートするやり方を実践しています。これはふらっと見に行ったCHIYODA Techイベントでのやり方を参考とさせていただきました(西馬さんありがとうありがとう)

via: The Pac-Man Rule

BBQの成果

毎回運営で振り替えりながら小さなアップデート10回ほど繰り返したBBQイベントですが、いくつかの嬉しい成果がありました。

まず、BBQきっかけでMIERUNEで地元から2名採用できました🎉

BBQイベント中では求人募集スライドが0.01秒ごとに表示される秘密のしかけは仕込まずに、最後に「よかったらカジュアル面談応募してね〜」程度の謙虚なスライドを差し込んでいたのですが、入社を考えている方にとって、メンバーと気さくに話ができたり、会社の全体の雰囲気をつかむにはBBQはとても良い機会だったようです。

また、予算は毎回おやつと飲み物と場所代程度なので、人材サービスよりもかなりおそらくコスパは良いような気がします(イベント開催人件費もかかってますがまあそれはオイトイテ…)。同様に入社検討中や面談中の方もBBQに参加することで、同様にジョイン後のイメージもつかみやすくなったようです。

このほかにも、コロナ禍でなかなかオフライン発表の機会がなかった学生さんのよい対人練習になったり、BBQで出会った人たちでサービスを開発したりキャンプに行ったり(!)と、BBQを囲むようにヒトとヒトのあたらしいきっかけづくりにも一役買っているようです。

現在はBBQ入社第一号となったSさんがBBQの運営を引き継いで、さらにパワーアップしてくださっています。

なんと7月に開催される10回記念は、以前から「いつか勉強会やってみたいなあ…予約あいてないかな…」と思っていた札幌時計台での開催です!楽しみ!界隈の方々からは「え、時計台で勉強会できるの…?」と盲点だったようで、その声を聞いて運営はニヤニヤしながらこう思っていることでしょう…「ウチがチャレンジしないで誰がやるのか」ってね。

参加者80人いきそう…

ささやかではありますが、日本各地でこんなBBQっぽいユルい勉強会が開催され、各地でつながりが生み出されることを願ってやみません。
もしあなたの勉強会ですてきなことが起きたらみなさんにぜひお知らせくださいね🍖🔥🍖


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?