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北海道宇宙サミット2022@帯広に参加しました

はじめに

大昔の学生時代はIDRISIかPhotoshop5.0でリモセンごっこをやっていたMIERUNEの古川(@Yfuru2454)です。 さて、MIERUNEの得意分野である位置情報技術は、地上だけでなく宇宙からの情報とも大きな関わりがあります。たとえば、スマートフォンにはGPS機能が搭載されていますが、GPSは人工衛星からの電波を逐一受信し、ユーザーの位置情報を算出しています。また、台風や大雨、さらには地殻変動といった情報なども人工衛星から得られ、多様な位置情報と重ね合わせることで、日々の生活を守る技術として活用されています。

また、GISフォーマット変換ライブラリとして有名なGDALは、多種多様な宇宙観測データフォーマットを相互変換するというミッションがあり、開発初期の2006年にNASAの惑星探査データであるPDS3 / ISIS2形式に対応したという歴史があります(このためアイコンには地球と人工衛星が描かれているそうです)。宇宙データ発のGDALが、今や世界中のGIS開発者やソフトウェアにとって重要な役割を担っているのはなかなか感慨深いものですね。

みんな大好きGDAL

MIERUNEが関わるプロジェクトでも、人工衛星から得られた多種多様なデータをサーバーから取得して高速に描画したり、形式を変換して可視化や構造化などを行う開発や、Tellusプロジェクトへの参画、JAXA Earth APIのQISのプラグインを公開 など、年々宇宙分野との関わりが増えてきています。

JAXA Earth API プラグイン

宇宙産業はここ数年でも多くの投資を集めています。世界的にみると市場規模が2019年の40兆円から2040年には120兆円に成長すると予想され、今後も製造業・農林水産業・情報通信業などさまざまな各産業分野に多くの恩恵をもたらすと考えられています。たとえば、最近日本国内でもサービスが始まった衛星インターネットのStarlinkも多数の小型衛星による運用をおこなっていますね。また、日本国内でも同様に様々な宇宙産業が年々数兆円規模で成長するとの予測から、北海道でも新たな成長分野として宇宙産業は年々注目されてきています。

北海道内ではロケット開発や宇宙港(スペースポート)を推進している十勝の大樹(たいき)町が知られています。大樹町と同じ十勝管内の帯広市で、国内最大規模の宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2022」が9月29日に開催され、今後の宇宙産業動向を探るべく参加してきました。

今年の夏頃に宇宙産業関係の方々から「こんど宇宙産業のイベントが帯広であるので、ふるかーさん来るんでしょ?」とお声掛けをいただいておりました。しかし「まあ道内イベントだから焦ってチケットとらなくても…」とのんびりしていたところ、開催数週間前にはPeatixのチケットが売り切れていました。追加募集でなんとかチケットを確保することができましたが、現地では700人もの参加があり、オンラインでの視聴数は4000人ほどだったそうです。近年の北海道でのイベントでこの盛況はなかなかなく、宇宙産業への注目度が伺えます。セッション会場もブース会場も常にギッシリで、昨年も参加していた人が仰るには感覚的に2〜3倍は人が来ているのでは…とのことでした(おそらくこの日の帯広で最も人口密度が高かったのはこの会場だったのではないかと思います)。

セッション登壇者ははるか先
ブースも人がたくさん
ロケット打ち上げを行うインターステラテクノロジーズさんのブース
宇宙港を推進する北海道スペースポートさんのブース

セッションでは、今後の宇宙産業支援や、ロケット開発・農業利用・エンタメ活用・投資などについての最新情報提供や意見交換が行われました。また、ブースではロケット製造技術から宇宙港、人材マッチング、宇宙保険などが紹介されており、産学官民など多種多様な分野から宇宙産業へのチャレンジが総合的に集う熱量のあるイベントだったと思います。また、MIERUNEでお手伝いしていた某プロジェクト関連の成果もセッションで紹介され、わたしたちが関わる位置情報分野の技術も今後重要な位置づけになることを実感しました。

会場前にはZEROロケットの実寸大模型が展示

今回のイベントではあまり出番がありませんでしたが、今後は大量に生み出される地球観測データのハンドリングもターゲットになると考えられます。たとえば、これらのデータを利活用するための配信基盤や、市民ユーザーレベルまでのデータエコシステムの環境整備など、データやソフトウェア分野もまた宇宙産業分野における補助ロケットのような存在になることでしょう。 ことし8月に開催されたオープンソースGISに関する国際カンファレンスFOSS4G Firenzeでは、欧州宇宙機構や各国政府機関、様々なベンチャー企業によるオープンソースを用いた地球観測データプラットフォームや解析システムなどの開発・実装事例がいくつも紹介され、宇宙産業における位置情報技術分野の加速度を如実に示していました。MIERUNEでも成長著しい宇宙産業における位置情報データのニーズに今後も着目していきたいと考えています。

FOSS4G Firenzeの基調講演で紹介された宇宙分野もオープンソースで大事よねというお話

※FOSS4G FirenzeはMIERUNEからも現地参加しまして、下記記事やスライドにまとまっておりますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。


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