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【野党の賛否】野党は国会で何をしているの?【可視化】

1.はじめに

 毎年恒例の通常国会が、今年も開かれています。安倍政権や与党議員をめぐる様々な疑惑や、突如襲来したコロナウイルスへの対策など問題は山積みで、今年も国会は穏やかに進みそうにありません。
 ところで、国会が始まるたびに聞こえてくるのが、野党に対する辛辣な批判です。曰く、野党は与党の足を引っ張ってばかり、与党のやること何でも反対、意味のある政策議論をしない、政権を倒すことばかり考えている…
 でも、本当に野党って、足を引っ張ってしかいないのでしょうか?与党と野党はそんなに仲が悪いのでしょうか?この記事では、野党の閣法への賛成率や議員立法のデータから、野党に限られない、国会全体の本当の姿を見てみます。

2.野党は反対ばかりか?

 ではまず、野党は反対ばかりしているのか、チェックしてみましょう。
 第196・198回国会を対象とし、内閣が提出した法律案に対して、どれくらいの政党が賛成したか、衆議院での賛否を見える化してみました。

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※第196回は2018年、198回は2019年のそれぞれ最初の国会(通常国会)の衆議院
※計上対象としたのは、内閣が国会に提出した法律案(閣法)のうち、採決に至ったもの
※政党のみ対象(自由党、(新)希望の党除く)。社会保障を立て直す国民会議など、無所属会派は考慮していない(ただし、全会一致は無所属系会派含め全ての会派が賛成)
※略称は次の通り
 自:自由民主党、公:公明党、立:立憲民主党、希:希望の党、国:国民民主党、維:日本維新の会、共:日本共産党、社:社会民主党
※希/国は、2018年5月7日以前は希望の党、以降は国民民主党

 左に行くほど賛成党派が多くなります。見てのとおり、閣法の多くは、広く各党の支持を受けた上で可決されています。実に60%もの法案が、全政党に賛成されるか、1政党だけの反対を受けた上で法律になっているのです。
 全政党の賛成を受ける状況よりも、与党だけが賛成しているという状況の方が珍しいということもわかります。196回国会に至っては、与党の賛成のみで可決された法案はありませんでした。自民・公明の与党に加えて、野党の中でも安倍政権に近い日本維新の会も賛成している法案の数を見ても、全体の20%にも及んでいないことがわかります。
 確かに、全政党が賛成するような法案は、わざわざ対立するような内容でもないものが多いので、このデータでもって「与野党は仲がいいんだ!」と主張するつもりはありません。しかしながら、いつもテレビで報道されるのは与野党が激しく対立している姿ですが、実はそれは政治のほんの一部でしかないのです。

 立憲民主党の中谷一馬衆院議員も、野党が「反対ばかり」ではないことをデータで強調しています。こちらはこの記事と違って、各政党の賛成率を計算しています。併せてご覧ください。

 後編では、内閣ではなく議員が作る法律案=議員立法について、日本の現状を見ていきます。

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