#15 開業準備はじめの一歩 「お産を語る会」をやってみました
助産師のHiroです。
私はいまは地域の病院で勤務助産師をしていますが、近い将来は助産院を開いて開業助産師として働きたいと思っています。
開業したらやりたいこと、いっぱいいっぱいありますが、「お産を語る会」もその一つ。みんなに「こんなことやりたいんだよねー」と話をしていたら、産後のお母さんから「ぜひやりましょう!」と声をかけていただきました。今日は助産院開業プレ企画として試しにやってみた「お産を語る会」の話を書こうと思います。
「お産を語る会」とは
お産を語る会とは、開業助産院などで開かれているイベントです。
お産について、みんなで語り合う。
基本的にはただそれだけを目的としたイベントです。
なぜ私が「お産を語る会」をやりたいか。
お産は女性にとって、その家族にとって、人生の中でそう何度もあるわけではない、とっても貴重なライフイベント。
お産の記憶は、扁桃体という脳の原始的な場所に刻み込まれるそう。動物としての本能に関係するような、自分を守るために大切な記憶を残しておくところ。扁桃体に刻み込まれた記憶は、まるで昨日のことのように鮮明に思い出すことができます。
お産を取り巻く女性の感情は様々。
喜び、嬉しさはもちろんだけど、いまの現代社会ではそれだけではなくて、不安や恐怖、苛立ち、葛藤などなど。
ポジティブな感情もネガティブな感情も、色んな思いを抱えながら、女性は妊娠期を過ごし、一つ一つ乗り越えながら、出産して母親になっていきます。
お産の体験もほんとにさまざま。
よかった、しあわせだったと思えるお産も
大変だった、つらかった、こんなはずじゃなかったというお産もあります。お互いの経験を受け止めあったり、共感したり。
私はそんな思いを抱えた一人一人が自分のお産を思い出して語り合うことは
自分の人生を受け止めよりよく生きていくための力になると思っています。
しあわせなお産を語ることは、
その人の原点を思い出すことにつながります。
つらかったお産を語ることは、
辛い記憶を受け止め癒していく
新しく書き換えるための体験へとつながります。
お互いがエンパワメントしあえる、
語りには、人を勇気づけ、傷ついた心を癒す無限の力があります。
お産を語る会で起こったこと
記念すべき第一回目の「お産を語る会」は、予想通りの温かいイベントとなりました。
興味をもってくださった方に声をかけていただき、私を含めて6人の参加者で行いました。産後すぐの親子2組、小中学生のお母さん、妊婦さん、そして産むつもりはないけれど姉の産後のケアをされた方、途中からは参加者のパートナーも一人加わって、男性からのお話も聞けてとっても良かったです。
参加された方がとても印象に残る体験を話してくれました。
高齢で1人目をクリニックで出産し不安でがんじがらめになっていたお産を体験し、2人目はその経験を振り返りしっかり準備をして助産院で産んだ体験談。「動物としての自分を感じた」「宇宙というような広いつなりがあって、自分が今ここにいるのを感じた」という語りは、とても力のあるエピソードで、聞いている私までその情景が浮かんでくるようでした。
私自身も、3人の子どもを出産して宇宙とつながってる感覚をあじわったので、とっても共感するエピソードでした。
自分の産む力を信じて、身も心も解放する、そうやって家族と一緒に臨むお産があるということを、多くの人に知ってもらいたいと思います。
この感想にも書かれているように、そんなお産があるということを知ってもらえると、「子どもを授かる、産む、育てる」に対してのイメージが変わるんじゃないかな。「お産を語る会」は産後のお母さんだけのものではなくて、老若男女問わず色んな人とやっていけるといいのにと思いました。
その他にもお産との向き合い方、誰が立ち会うのがいいか、田舎の子育て、パーマカルチャー、生き方についてなどなど、話が盛り上がり予定していた2時間あっという間に過ぎてしまいました。
2名が子連れ参加してくれたので、赤ちゃんがぐずりだすと色んな方が交代で抱っこをしたりオムツを替えてくれたり。
お母さんは少し子どもと離れてのんびりお茶をする時間を持てて、
お世話をしてくれた方も、久しぶりに赤ちゃんと触れ合えてうれしかったと感想を書いてくれました。
お互いが癒される幸せの好循環が起こっていました。
2024年、命を語れる場所をつくる
去年の終わりに、私が所属している母親アップデートコミュニティ(HUC)のnoteリレー企画で、今年の目標を考える機会がありました。
その中で出てきた「命を語れる場所をつくる」のが今年の目標。
「お産を語る会」を開催して、一つ目標がクリアできました。
定期開催を希望される声も多く、語り合える仲間を増やしていけたらと思います。死について、性教育などなど、今後も色んなテーマで語る会を開いていこうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?