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育休をとる父親たちへの期待

助産師 Beniです。
助産師として働く中で、社会全体が女性の身体のことを理解できたら、
考え方や仕組みがアップデートされて、女性がもっと生きやすくなると考え、
日々考えていることや伝えたいことを綴っています。

今日は、男性に育児を積極的にやってもらうメリットについてお話しします。

2023年4月より、従業員1000人越の企業を対象に「男性の育休取得率」の公表が義務づけられます。
男性の育休取得率を、2021年では14%(厚生労働省調べ、中小企業含む)であるところを、2025年度には50%、2030年度には85%にするという目標が掲げられているとのこと。

厚生労働省の調査によると、第一子誕生時の夫の家事・育児分担と妻の出産意欲は大きく関係しており、夫の家事・育児時間が長いほど第二子出産となる割合が高まる、という結果が出ています。
少子化対策としては、現在様々な方向から経済的支援や制度の見直しがされ始めています。
この育休制度は、第2、3子出産に向けての制度として注目したい制度です。

結婚したからといって、全てのカップルが子どもを持つわけではありません。
そこには、子どもを持つことを望んでいないという理由や、望んでいるけれど何らかの理由で子どもができないカップルも存在します。
一方で、既に子どもが1人いるけれど2人目は望んでいない、など、“もう1人子供を儲けることは控えている”カップルもいるでしょう。
その理由には、経済面や親の就労状況、子どもの手のかかり具合など様々な理由が存在するでしょう。
けど、既にそのカップルは子どもを産み育てることが可能な家庭を築くことができるカップルである、ということが分かっているのです。
0→1を増やすことも、もちろんとても大切ですが、今の少子化改善のためには1→2、2→3という既に子供がいるカップルが「もう1人産んでもいいかも」と思える仕組みづくりを考えることも有効なのだと思います。

第2、3子の保育料減免や無料、という経済的な仕組みだけでなく、家庭が安心して“もう1人家族を迎えることができそう”と思える仕組みも少子化対策には欠かせない視点であると感じます。
ただ、この育休制度は企業によって数日から数ヶ月とばらつきがあることも事実です。
数字上の取得率を上げたところで、現実は変化しません。
公表する取得率の計算式に、取得日数も加味することも必要なのでは?と感じてしまいました。
また、「育休中、夫にとってはバカンスだった」「夫が育休中に何しよう?と話していた」との声も聞かれることから、育休を取るだけでは本来の目的達成とは言えないことも事実であると考えられます。
会社では、所属部署が変わる際に研修を受けます。
同じように育休に伴って「家庭・育児」に所属部署が変わるのですから、そこに取り組む男性陣には「研修」が必要なのではないでしょうか。
少数人数で構成されている「家庭・育児」に配属されるのですから、配属された日から完璧ではないにしても“それなり”に業務を全うすることができるように身につけておいてほしい知識や技術があるのでは、と考えます。

家事が出来る・出来ないではなく、産後利用できるサービスの種類を把握しておく、産後の母親と赤ちゃん、上の子の体調やメンタル面の変化について知識を持っておく、ということだけでも、その働きは大きく変わるのではないでしょうか。
男性が家庭で、育児で、存分にその能力を発揮することができるように、育休取得の数字に注目するだけでない視点で家族支援が行われることを望みます。


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