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霜月某日日記

某日。

この夏から、上の子が九九を練習中。

息子は数字に強いので、何回か一緒に練習すると繰り返すと大抵覚えている。

ぱっとわからなくても、2の段だと2だけ増えていくということをもとに頭の中で計算して答えていたり。

数字にはめっぽう弱い私は、素直にすごいなと尊敬してしまう。


小学生のとき、親に計算や九九を見てもらう際に、「ん?」とか「それ、あってる?」って聞かれるのが苦手だった。

親に悪気はなくても、子どもごころにはそれが大きなプレッシャーで。

答えや、やるべき計算がますますわからなくなって、頭の中が数字に埋め尽くされて、もう何を言っても間違いなのではと途方に暮れるような気持ち。

できるだけ、息子たちにはそうした気持ちは味わわせたくないなと思いつつ、たまに彼が苦手な国語の宿題を見ているときなど、同じ気持ちにさせているかもということがある。

空の一点を見つめて、口がむむっとなっている息子の顔を見て、やってしまったと思う。

むずかしい。



某日。

毎年、この季節は鬼門だ。

秋は子どもの行事が多く、年末進行が近くなるがゆえに仕事も慌ただしくなり、そういうときこそイレギュラーな相談ごとがきて、ますます身動きが取りづらくなる。

そうなると、心もガチガチに固まる。息がしづらい。

こういう時こそ、おいしいものを食べて、推しを補給しながら楽しみを増やして生きていかねば、と思う。



某日。

4回目のコロナワクチンを打って発熱。

以前まで少し微熱が出た程度だったのに、今回はなぜか熱が高く出た。ただ熱以外はまったく元気。

そんなわけで、全話一挙放送していたアニメ「少女革命ウテナ」をだらだらと見ていた。

王子様になりたい女の子と、世界を革命する力を持つ薔薇の花嫁との出会い。

少年少女各々が持つ秘密が交錯し、拒絶し、求め合う。

アングラな音楽と、現実離れした舞台装置。

隠された真実と、驚愕の結末。


熱で朦朧としながら見る「ウテナ」はますます現実離れし、夢と化して、すべてを飲み込んでいくようだった。

熱が下がってきた今もふわふわと、違う世界にいる感じがとれない。


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