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⑧稲川俊昭さん(雙松寺)

こんにちは。
今回は高山村のお寺(雙松寺)の住職をされている稲川俊昭さんにインタビューしました。

ほとんどお会いしたことがなかったのですが、先日協力隊の企画で関わる機会があったのでゆっくり話をしました。お話すると面白そうな方だったのでインタビューを依頼しました。

穏やかな口調と優しい笑顔で、お寺の話から始まり趣味の話を中心にお話しを聞かせていただきました。

終始優しい笑顔でインタビューに答えていただきました

お寺の住職

ー これまでどんなお仕事をされていたのですか?

俊昭さん:養護老人ホーム中心に働いていて、昭和62年、ここの副住職になったのかな。まだ父がいましたので。平成22年から住職になった。12.13年になるのかな。

実家がお寺で、渋川や高山、前橋などの老人ホームに勤めていたそうです。今は退職されて住職を専門にされていますがその前は、老人ホームとお寺の仕事を兼業していたそうです。

ー 僕の中ではお寺の住職さんはお寺のお坊さんとして働いているイメージだったんですが、そういうことでもなく兼業の方が多いんですか?

そうですね。檀家の数が400か500とかであれば専業でないと忙しいみたい。
300以下になっちゃうと他に主たる職業についていないとお葬式がそんなにないんで、なんか他に職持っていないと食っていけない。

曹洞宗(雙松寺は曹洞宗)は1万5千くらい全国であるんですけど七割型は300以下ですって。ほとんどは小さいお寺なので、兼業していないと食えないんですよ。
臨済宗なんかは退職した人をお坊さんになってもらうみたい。無人の(住職いない)お寺があるみたいですよ。退職した人にもう一度勉強してもらって資格を取ってもらって無人のお寺に入ってもらうらしい。

お坊さんと一般の人の生活は完全に違うと思っていたけど、
お坊さんは兼業の人が多くて、一般の人とそんなに変わらない生活をされているんですね。

能登藤吉(ノトフジキチ)先生

ー 趣味はありますか?

特に無いですねー。草むしりとか草刈りが趣味みたいな感じですね。
携帯で撮る花の写真くらいかな。
趣味というのはそのくらいしか無いですね。

お宅の前のコスモスと俊昭さん

(携帯のカメラロールのお花の写真を見せていただきながら)
ー うわー綺麗!iPhoneを駆使されてますね!笑

そうですね笑

ー iPhoneの画像はやっぱりいいですね。

これ(iPhone)だといつでも持ってるじゃ無いですか。ちょっとした感じで撮れるのでいいんですよね。
兄弟の子供とのグループLINEでお花を送り合ったりしているんですよ。

稲川さんの撮影したお花
稲川さんの撮影したお花


ー 今年の4月くらいからお花が好きなって、家の中に観葉植物やお花があるといいなぁって思い出したんですよね。やっぱりお花や生き物を大切にすることって大事ですよね。

昔、高校の時に彫像とかを作る能登藤吉という先生がいた。沼田高校の工芸(今でいう美術や版画など全般を扱う授業)の先生で。
工芸だけじゃなくて、毎週お茶(裏千家)を教えていた。
お茶やったりお花をやったりダンスや座禅もやったんかな。
とにかくすっごい人間的に大きな人だった。その人の影響でお茶やったり陶芸をやったりしたんかな。

ー へー、そういう人がいたんだ。

あと先生のお花の投げ入れが、何気無く入れてあるんがすごいんだよね。なんかいい。普通は天地人とか生花にもやり方があるんだろうけど、ただ、ぽっと花瓶に入れただけだけどすごく綺麗なんですよね。

ー へー!

壁掛けなんかの花瓶もあってそこに一輪だけなんだけど、なんかいい。屁糞葛(ヘクソカズラ)っていう草花(揉むと悪臭を放つ草花)があるんだけど、それなんかもなにげなく生けるんだよね。そこら辺にある花なんだけど、生きてるって感じ。

ー すごい人ですね。

すごい先生だった。
高校入った時に、普通生徒のことみんな呼び捨てじゃないですか、その人はみんな「さん」づけで呼ぶんだよね。

ー その頃ってスパルタ教育の時期ですよね。その時代の中、「さん」づけすごいですね。

そうそう

能登藤吉先生、もし生きていたら実際に会ってみたいと思いました。その時代背景の中で生徒を「さん」づけで呼べる先生はどんな人だったのか。
また、その人のことを当時から素敵だと感じている稲川さんも大きな人なのだろうと思いました。
それからもいろいろ聞いていくと関心のある本をたくさん出してくださいました。

稲川さんの関心のある本


寝る前に聞くラジオ

話を伺っていると夜寝る前にラジオを聞いて寝るとのこと。
好きなラジオは『高橋源一郎の飛ぶラジオ』、NHKの『宗教の時間』だそうです。

4・5年前からNHKラジオの「らじる★らじる」をたまたま聞くようになったんです。
聞き逃し配信で、1週間は聞けるんですよ。(ものによっては1週間以上聞ける番組もある)
なるべく早く聞かないとね。夜布団に入って聞いてると寝ちゃうんだよね。
寝る前で1回聞くだけじゃ覚えないから4・5回聞いて、あーこんなこと言ってたんかとわかるようになるんですよね(笑)

ー ラジオを聞き始めたのはいつくらいからですか?

3.4年前かなぁ。

ー なんでそういうラジオに興味が湧くんですか?

詩人が出てきたり、対話が面白い。高橋源一郎が感じた本のここが良かった面白かったというのが聞ける。本の作家も出てきて面白い。
本の話って言っても、結局人生を語っているってことなんですよね。

『高橋源一郎の飛ぶラジオ』で取り上げられた本

ー 稲川さんはお花とか人生とか、生きとし生けるものに思いを馳せていますね。

多神論的なのかもしれない。結局は神様仏様じゃないけど、大きな力で生かされているんでしょうしね。木も人間も動物も。
聖武天皇は全ての植物と全ての動物が共に栄える社会を願って盧舎那仏っていう大仏(奈良・東大寺の日本一大きな大仏)を作ったって。
普通人間だけが栄えればいいと思うじゃない。すごいなと思ったのが、動物と植物と言ったこと。

ー 確かにすごいですね。



インタビューは以上です。

話をしていてとても面白かったです。
ここでは割愛しましたが、宗教や死生観についても話をしました。
自分は宗教の話をするのが好きなので宗教の話や、死生観について話すことができて、とっても楽しかったです。

インタビューから、稲川さんの生き物を大切にする姿勢が伝わってきましたし、実際に雙松寺には綺麗なお花や植物がたくさん植えられています。
稲川さんの話す内容や雰囲気からインタビュー中、とても優しい時間が流れていたような気がします。
それがとても心地よかったです。

稲川さん、お忙しい中インタビューを受けていただきありがとうございました!



読者のみなさまも、読んでいただきありがとうございました!

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