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さらば マンガ家アシスタントのおしごと!-シュラバの戦士たち-(「薔薇はシュラバで生まれる-70年代少女漫画アシスタント奮闘記-(笹生那実・著)」読了にかこつけて)【番外編】

☆「最終章」とは…

司会者:「えー、この度はお集まりいただき、誠にありがとうございます。それでは今回の経緯を、担当者の方から説明させていただきます」
くおん:「…えー、この度は「最終章」を名乗りながら、延長戦と称する記事を一本、増やしてしまったことについて、当方としても誠に遺憾に存じております」(フラッシュの嵐)
記者:「今回の私文書虚偽記載、どういうおつもりですかー!」

てな感じで、はい、延長戦開始でーす(軽くクドい小芝居)

えー、実際はですね、仕事場(漫画制作の現場)とそのシュラバにおいて聞き、体験し、見てきた実例や聞いて驚愕したうわさ話などを、前回の最終章に織り込んで書こうと思ったわけです。しかし、話の素材をリスト化したときにですね、「あれ?コレ全部書いちゃうと、トータルで2万字超えるんじゃね?」となったんですね(最終章のアレは約1万2千字あります)。それはちょっと…なぁ?と思ったんですよ。1個2個に絞れば…とも思ったんですが、「そうそうガッツリ思い出す機会もあまり無いだろうし、今後もあるかどうかもわからんし、だったら今、この際だからいっそ”思い出アルバム”的なものにして分けちゃって、記憶の総棚ざらえをしちゃわない?」という悪魔の囁きに、ついウッカリ耳を傾けてしまった、というわけなんです。

最初はベストテン形式で重要度でカウントダウンしようかな?と思いましたが、ちょっと順位付け選定が面倒くさいなと、その辺ちょっとへっぴり腰になったので、単純に事案を羅列して解説、という形にしようと思います。
名前出して問題ないやつはそのまま実名で書きますが、出すとヤバいやつは氏名もイニシャル(しかもランダムアルファベットでしっかり当てはめません)でお茶を濁します。多分20世紀中にアシスタント業をやってた人の中にはピンとくる人がいるかもわかりません。そんな感じなので、分かった人だけ、一人でほくそ笑んでください。

事案タイトルに【噂】印の付いたものは、あくまで噂です。定かではありません。確実ではありません。あなたがドヤ顔で第三者に言って自慢しても、後であなたが恥をかくかもしれません。なので、その辺のご理解はよろしくお願いします。

「浮世の空を眺めていれば、白い雲あり、黒い雲あり」

アシスタント業なんてものをやっていれば、その間には山も谷も、幸も不幸も、波乱も万丈も、無情も劇的も色々様々あるものです。

私の場合、劇的の最上級たるものは交通事故(前述。もちろん労災はない)でしたが、そのレベルに達しないものでも他に色々ありました。ココではアシスタントをしていたときに体験した面白いこと、スゴかったこと、悲惨だったこと、ピンチだったこと、窮地だったことを(言える範囲で)列挙してみたいと思います。もうこの際、抱えてる逸話はすべてココに書き残しちゃおうと。将来ボケたときに、ちゃんと思い出せるようにね!(笑)

■Case1「猫にゃん棒、と言われましても…」

みなさんは、「猫にゃん棒」というおもちゃをご存知でしょうか?某「鬼滅の刃」レベルのメガヒットではないものの、(確か)そこそこ世間的にはブームに近い売り上げを記録した(と思った)おもちゃです。グリップ部のレバーを握ると、先端の猫の手が招き猫のような手に、クイックイッと動きます。ソレだけです。その「かわいさ」のアクション一点だけのおもちゃです。よくそんなの製品化したもんだなと、今更ながら感心です。
オリジナルはとうの昔(20世紀)に廃番になっています。ですので、メーカーも同じだから問題ないし、最近の人気アニメに便乗可能だったからサクッと作ったよ!と言わんばかりのソレっぽいモノを、見本として下に提示しておきますね。以上、基礎知識。

それは、初アシの地、しらいしあいさんの仕事場でした。ある日、仕事場に出勤すると、引き出しの中に自分で入れた覚えのないモノが入っていました。むきだしの「猫にゃん棒」です(えー)。それは、アシメンバー(チーフ含め4人)すべての机に配られていたようでした。
皆、「え?ナニコレ?」という感じでしたが、ひとしきりイジった後、飽きてしらいしさんが来る前に机にしまっていました。ですよねー「仕事場」ですもの(笑)。

で、しらいしさんも来て、その日の仕事が開始されましたが、少し経った後にしらいしさんが皆に向かって言いました。「もぅ!なんでみんな猫にゃん棒で遊ばないの?」

実はコレ、しらいしさんが漫画の参考(不意に流行り物おもちゃを手にした時、人はどう遊ぶか)にしようと、そっと忍ばせておいたらしいのです。心理学実験か!w

いやぁ、派手なリアクション期待されても…ねぇ。オジサマ2名と20代女性&10代の私が、少女漫画の登場人物のように遊べるかというと、ちょっと無理ある気が…。「なーんだ、そうだったんですね」と皆もやっと事態を把握しましたが、以後積極的にソレで遊びだしたかというと…まぁ、休み時間にちょっと触るくらいで…結局ソレ止まりだったというオチになりました。私なんて言われるまで「誰かの忘れ物かもしれないし」と結局触らずじまいでしたよ。

結局、皆「しらいしさんらしいね」という感想を導き出し、笑ってジ・エンドでした。申し訳ないっす…期待してたリアクション取れない不肖なアシということでお許しください(笑)。

■Case2「L-アスコルビン酸(なお、福利厚生)」

そんな(どんな?)しらいしあいさん。アシの健康状態も気遣って、サプリメントを皆にくれたことがあります。でも当時の私は、それがサプリとひと目でわかりませんでした。だってパッケージには、こう書いてあるだけなんですもの。

「L-アスコルビン酸 原末」


「原末」…響きが強そうです(そうじゃない)。当時そっち方面の知識に薄かった私は「???」となります。だってタブレットやカプセル、飲料の類じゃないし。蓋を開けると「龍角散か!?」という感じの細粉末(原末)。オマケに専用サジまで入ってます。
答えは簡単で、これは俗に言う「ビタミンC」。「L-アスコルビン酸」とはビタミンCの正式名称なのです。

コレもアシ各自に一個ずつ配られました。たしかに健康管理にはビタミンCは必須ですし、量も多く(500g)お得でした。しかし、タブレットでもカプセルでもなく、単なる「白い粉(意味深)」です。使い方が…(;´Д`)
摂取方法でパッと思いつくのは、粉薬的に使うか、お湯に溶かして砂糖加えてレモネード…ってくらい。
でも、「仕事のための健康管理、しっかりせーよ」とのお気遣いは嬉しかったです。

結局、私は交通事故で専属を途中解雇となったので、在職中に消費して健康に職務を行えた…というわけには行きませんでしたが、プライベートでフルに使わせていただきました。瓶がカラになるまでには何年かかかりました。その期間のビタミンC摂取と健康に多大なる貢献をしてくれました。しらいしさん、ありがとう。あの数年間の期間の健康は、しらいしさんのおかげかもしれないですw。

■Case3「ただしいスクリーントーンのつかいかた」

数少ない男性作家さんのトコでのお話。青年誌などで活躍している超ベテラン「ひきの真二(引野真二)」さんトコの仕事場にての出来事。

ひきのさんの部屋とアシ部屋は別なのですが、ある時、ひきのさんがアシ部屋に来るなり「この原稿のココのトーン貼ったのだれ?(関西弁)」と真剣な顔をして原稿用紙とスクリーントーンのシートを掲げます。私含め三人ほどいたアシの中で、貼った人はAさん(名前忘れた)という人でした。
「キミなぁ…スクリーントーンの使い方知らんか?」と脱力した感じのひきのさん。
問題のトーン(網トーンNo.61)を貼った箇所は、だいたい1センチ角の小さな四角い箇所。とりあえずハミ出すでもなく欠けるでもなく、ちゃんとは貼れていたのです。しかし、問題はスクリーントーンの貼り方ではなく「使い方」の方でした。

ひきのさんが同時に持ってきたトーンのシートは、一見まっさらで卸したて。しかしよーく見ると、シートのド真ん中にポツーンと1センチ角の四角形の使用跡が…。そう、Aさんはいきなりシートのド真ん中から小片を一つだけ切り出して使い始めていたのです。

コレの何が悪いのかと言うと、スクリーントーンというのは一般的な大きさが、概ねB4判大の大きさのシートなのですが、使用する時はだいたい辺や隅の方から使っていきます。そうでないと、効率よく使えないからです。
スクリーントーンは使用部分により、1枚全部をまるまる使う事があったり、原稿用紙の3分の2、半分といった比較的使用部分が大きい箇所に使用することがあります。そんな時は、未使用のまっさらなスクリーントーンをおろして使います。さきほどのド真ん中の1センチ角だけ無いシートも、パッと見ではそういう所にも使用できそうな気がしますが、微妙に使えない事が多くあるのです。いかなる角度で試しても、その使用された1センチ角のせいで使用箇所に欠けが生じたり、扱いがやりにくくなったりします。細かい網点トーンは特にそれが顕著です。

それに加えて、スクリーントーンというのはお値段が結構お高いツール。今では、それこそ1枚200円台の物があったりと、かなり廉価なツールになりましたが、そのシートは「レトラセット」社製の物(レトラトーン)。スクリーントーンの品質、そしてお値段においても最上位のメーカーです。それゆえ、無駄な使い方は大変はばかられました。(後年、レトラトーンにも廉価版が出ることになりますが、その当時はまだありませんでした)

後でわかりましたが、Aさんはこの時がアシスタント初体験だったようで、ツールの使用方法も教えられてはいなかったようでした。多分ソコソコの経験者がコレをやると、先生で怒る人はめっさ怒ると思いますw。でもひきのさんがそんなに怒らなかったのは、いわゆる「初犯だから大目に見てくれた」という事だったんでしょう。
ちなみに、私はしらいし先生の所でソレを習っていました。…知ってて良かった(笑)。

■Case4「少女漫画家…サロン…?」

とある、女性誌(レディコミ誌)の作家さんの所であったお話です。
アシスタントが複数集まれば、いろいろ会話はするもので、初対面でも打ち解ければ「私はアレがスキ、コレがスキ!」的な話や、好きなタレント話、出身地話…等々いろいろします。

そんな会話の中で、「自分は何を描きたい(ジャンル的なこと)?」という主旨の話題になりました。「私は少女漫画」「私も」「私は青年誌」…という話題に花が咲き、そして臨時お助けで呼ばれていたとある女性の方の番になったのですが、「私は漫画家にはならないの。それよりサロンが開きたいワ」と話し始めます。私を含めた他のメンツは「へぇ~ ……ん??」となりましたw。

詳しく聞いてみると、「一軒家かマンションを借りて、そこに知り合いの少女漫画家やアシスタントを大勢集めて、サロン(おそらく社交場的な)を開くの!そこから有名漫画家が輩出されたり、アシスタントや漫画家同士の交流の場所になるのよ」とのことでした。

これ、ちょっと聞きなら「へぇ~奇特だねぇ」で終わったのですが、もっと深堀りして、よくよく聞いてみると、どうやら「アテクシのサロンにはこんなに有名漫画家がいるの。アテクシのおかげでデビューした人もいるワ!アテクシの審美眼はダテじゃなくてよ~!オホホホ(誇張)」みたいなコトを目指しての事らしく、そのそこはかとない黒みを察知した周りの皆の口数が、みるみる減っていくのがわかりました。漫画のシーンで言えば、各自の吹き出しに「………」しかない状態です。
ひとしきり語っていただき、頃合いを見て他のメンツが「はい!(次の)アナタは?」と違う人に話題をふってくれました。アレはGJ!でした(笑)。

その目標に関しては、良いとも悪いともジャッジはしません。人の野望は千差万別、いろいろあって良いからです。まぁでもやっぱり、少々突飛な夢だったな…という感は否めませんでした。ソレ以来、どの仕事場でも彼女とは会うことはありませんでしたが、あの彼女は、今どうしているのでしょうか?目標のサロンを開けたのでしょうか。いや、知らんけどw
で、当時その時、私がどういう感想を抱いたかというと…正直に言いますと

「ポリニャック夫人かな?(ベルばら)」

でした。まぁなんとなく、自然にスッと出てきた感想でしたが(笑)。

■Case5「密です」

アシスタントの人数は所によりいろいろ違います(当たり前)。私が体験した所だけの話でいえば、1対1もありましたし、超多人数も体験しました。

1対1で覚えているのは、当時女性誌で活躍していた流郷妙子さんという方。すごくスケジュールを綿密に立てていて、かつソレを実行できているからか、シュラバみを一切感じなかった稀有な所として記憶しています(流郷家の娘ちゃん、元気かなぁ…)。
もう1件は小山田いくさんの所。ココは、ただただ緊張したという点で記憶。なんせ小学生の時、夢中で愛読していた程の方だったので…そりゃもう緊張するでしょ?

多人数で最も記憶に残っているのは、阿部ゆたかさんの所に呼ばれた時。部屋の中に、も~!ってくらい人がめっさいました(笑)。のべ10人くらいはいたんじゃないかなという記憶が残っています(正確な人数は定かではない)。締め切り間際的な状態時に呼ばれたので、もう追い込みも追い込み、来れる人をかき集めて総力戦!みたいな状況だったんでしょうか。もうホント、戦場のようでした。

あと、人数的には大したことないけど、部屋面積という点から「密」だったなという所もあります。D先生のお宅は6畳1間のアパート。そこにね、5~6人(先生含め)も人がいたらソレはね、もうまごうことなき密状態なんですよ。トイレ行くのにも外出るのにも、必ず人をまたぐ形にならざるを得なかったり、私、廊下で画板で体育座りで描いてましたし(笑)。

で、なんでそんなに阿部ゆたかさんの所が記憶に残っているかというと、人数のインパクトもそうなんですけど、お手伝いメンツの中に「名探偵コナン」でおなじみの青山剛昌氏や丸伝次郎氏がいらっしゃったんですよ。

…そりゃぁ記憶に残りますわ(笑)。

■Case [no number]「…しかいません!」

※コレは漫画アシスタント&シュラバのエピソードではありません。

純粋なアシスタントエピソードではありませんが、アシスタント先に着くまでにあった、インパクトある出来事として記憶しています。もう単純に「地方あるある」です。

それは前述の小山田いくさんの所に初めて派遣された時のこと。東京から列車に乗って、途中で名物釜飯を買い、ソレを頬張りつつ到着したのは「小諸駅」!そう、自分史上初のアシ遠征です!

よく晴れた日、駅に降り立ちタクシー乗り場を探します。担当さん(秋田書店)からは「駅前でタクシーに乗って一言、 『田上さんトコ行って!』って言えば連れてってくれるからね」と言われてました。「え?ホントにソレだけですか?住所とか番地とか言わないでイイんですか?」と聞いたんですが、必要ないと…。半信半疑だったのですが、やってみましたら…さすが地元の名士です、一発で送り届けてくれました。すごいです、小山田先生…。

すこし時間を戻しますね。駅前でタクシーに乗るべく乗り場を探した時、ふと上を見上げた時、私はとある目立つ看板が目に入り、秒で目がソレに釘付けになりました。デカイ看板です、目立ちます。しかし書いてある事はソレ以上に「え?」となりました。なにが書いてあったかと言うと…

「キャバクラ○○(店名失念) 日本人しかいません!

「……あーー…、ねぇー?」(;^ω^)
コレが偽らざる感想でした。いや、だって、ココまでハッキリかつストレートに書いた看板、私、見たことなくて…(笑)。

フレーズのインパクトだけやないかーいw。いや、あそこまで書かせるのは、やはりそういう需要があるということなのか…とか、それほど出稼ぎさんが大量にいるのか、ココではマジョリティなのか、ならソレもバリューになりうるのか…とマーケティング的な観点からの少考察を、タクシー内でチョイとしちゃいましたもんね。

あと、仕事場で見たTVのCMで初めて知った「ビタミンちくわ」。初めて見たコレが妙にツボに入ってしまい、仕事終わりに小山田先生に「なにかお土産買っていく?」と聞かれた時、「先生!私、ビタミンちくわが欲しいです!」と言ってしまう私(何やってんの)。駅に送って貰う前に、近くのスーパーに寄ってもらい、買いましたよ!(ふんす!)お味は…100%ちくわでした!(当たり前)
(後日聞きました。この「ビタミンちくわ」、長野県民のソウルフードだということを。…そうだったのか!)

あ、もちろんアシスタント作業はちゃんと全うしましたよ!(当たり前)
初対面だったのですが、小山田先生のお人柄は、その作品通りというか、まんまというか、裏切りが無かった!(私の言う作風とは「すくらっぷブック」とか「ぶるうピーター」を指します)トシちゃん感激!(作者が違う)
あとね、妙に嬉しかったのは「小山田先生宅でカマドウマを見た」ということ。コレは先生の作品を知らないと、わからないネタと思うのですが、「ああ!ホンモノだ!」とならざるを得ないモノなのです。

前述の通り、小山田先生は憧れの方でしたからもう、個人的にはもう「お腹いっぱいだよ!」って感じのアシスタント勤務でした。
結局、小山田先生の所には4回行かせていただきました。はー、コレめっさ良い思い出の一つ。時は1990年春。私の商業誌デビューの年でもあった時の良き思い出でありました。

■Case6「現実逃避」

※はい、このへんから話題やエピソードがだんだん生々しくなっていきますよー(笑)

いやーコレは、とある男性作家のEさんの仕事場でのお話なんですけどね。いやー、その時は泊まり仕事で、睡眠をとって、で、翌朝を(注:昼正午過ぎ)迎えたわけなんです。ちなみにね、その回の(原稿の)進行は…まあ結構遅れ気味だったんですよ…。

でね、私、起きてから仕事場の机がある部屋に向ったんですけど、部屋見て、んー、なんかおかしーなー?おかしーなーって思ったんですよ。でね、仕事部屋にはチーフ格の人がいる。その人以外いないわけなんですけど、私ね、思い切ってチーフに聞いたんですよ。「おはようございます。…あれ?先生は?」ってね。
で…チーフがね、なんかこー…複雑な顔して…教えてくれたんですよ…

チーフ「Eさん、ゴルフ行っちゃったよ…」
私「……」

─ 完 ─

(ちょっと稲川風に脚色)
いやぁ、怖いですよね~ホラーですよね~(笑)。結局は締切には(伸ばしてもらった上で)間に合ったわけですが。いや~怖いっ!怖すぎます!(これ以上は語りませんw)。

■Case 7「人と人、男と女、にんげんだもの」

この世の中は、男と女、そしてカテゴライズが難しい方々等、様々な方々によって構成されています。マンガ業界においてもソレは変わりません。男と女、いや人と人がいて交流すれば、様々な模様が紡がれるものです。
…遠回しに言ってはみましたが、すっ飛ばしてぶっちゃけて言えば、「業界の中でも恋愛事は確実に発生する」という事。その1パターンとしてあるのが「漫画家と編集者」です。

このパターンは、アシスタント期だけで見ても数組、身近で見たことがあります。主に「女性漫画家と男性編集者」が、ですが。
一説によると「漫画家は外界に出て人と交流することが極端に少ないので、唯一接点の多くある編集者と以下略」という事らしいです。ソレが真実かは定かではありませんが、私が認識していたのはまさにこのパターンでした。

だが惜しむらくは、「先生、ソレは一方的過ぎませんか?」といったものや、「言いにくいんですが…ソレは先生の勘違いでは…」といったものが結構多かったという…。(当然、口には出していません)

しかし、恋愛は個々人の自由であり、私がソレをどうこう言う謂れはありません。しかし、あえてなにか言うのが許されるのであれば、「周り(仕事場)に気を使わす様なのは、どうかと思いますよ?」というのは言いたいかもです。

チーフから「○○さん(担当編集)の話題は出しちゃダメよ」と言われた事があります。先生自ら公表はしてませんでしたが、仕事場のレギュラー間では、もう公然の秘密みたいな感じで認識はされていた感じの事案。
まぁ、そういつもいつも四六始終、話題のメインストリームに出るような話ではないので、特別にタイヘンとか苦労はすることは少ないですが、それでも話の流れ上、別話題から連結されて編集者の話になる…というのは時々あるのです。こちとら、そのお付き合いが今、蜜期なのか乾燥期なのか、正確に知る由もないので、しまいには編集者話題になりそうな時は、皆の心にリミッターがかかる感じもあったりして、変なトコで苦労させられる場面があったようにも記憶しています。

こういう仕事場でも、カタギの仕事の職場でも難しいもんですね、こういう同フィールド内のアレコレ事ってのは。(^o^;)

■Case8「座布団」

人の生活様式もいろいろあるもので、アシ先でもビックリするような事がタマにあります。それは先生自身のだったりアシのだったり様々。

アシで行った先のJ先生は「布団で寝ない」人でした。かといって、ベッドで寝るというトンチでもありません。「住まいに寝具がない」のが普通なのです。見た所、引っ越ししたてとか、泥棒に入られてみたいなことも無いようでした(布団盗んでいく泥棒とか昭和初期かな?)。
なので、必然的にアシも寝る時は布団がありません。では皆、何で寝るのか…。

仕事場には敷くもの掛けるものとしての「座布団」が用意されていました。

ちょっと擁護しておくと、「そんな環境です」と言われても、不思議と悪感情が発生しないタイプの方だったんですよね。私も「あ、仕方ないっすね~」で済ませちゃいましたし。まぁコレが、赤の他人で派遣されたアシさんならどうかわかりませんが、アレは人徳・パーソナリティあっての案件だなと思います。あ、今でも好きですよ、J 先生の事は(笑)。

加えて、(私の見た目ですが)執筆欲旺盛な人で、寝る暇なく一人で公私含めて色々精力的に描いて量産していた人でしたから、あっても使わない!とあえて買ってない主義の人だったのかもしれません。アシの人自体、あまり呼ばないのかもなとも思いました。私の他に来てた方は「アシ」というより「友人でお手伝い(ヘルプ)に来てくれた」といった面々でしたから。
あとね、今じゃ信じてもらえないような話ですけど(小声)「食事はファンの方が作って、お重に詰めて玄関先においてある」という、なにそれドコ地方の神話?という逸話もお持ちの方でしたので、座布団のこと含めて「私が知らない世界って、世の中にたくさんあるんだな…」と思ったものでした。

(今思うと、あの就寝スタイルができてたのは、J 先生も私もひとえに「(当時の年齢的に)若かったから」ってのもあると思います。若いうちはね、霞さえカロリーに変えられるんですよ!若さの特権なんですよ!(例え))

■Case9「爽やかな目覚め」

睡眠ネタでもう一つ。結構ベテランの作家さん「G先生」です。それなりに知名度はおありになりますが、「ビッグメジャー」かと言われれば…即答はできかねます。知ってる方は知っているといった、俗に言う「マイナーメジャー」という感でしょうか。そんな方の所に行った時の思い出。

地方在住の方で、仕事場…というか、お家は一軒家な環境です。
G先生は「少々クセのある方」とは、その方の担当氏から言われていましたが、ご本人の仕事姿勢自体には特に問題はなく、私的にはその点は全然問題ありませんでした。問題はソレ以外の所…。

アシメンバーは私と同様に臨時で派遣された、同じ歳か…少し下?と思われる女の子1名。計2名。アシ作業はキッチン・ダイニングルームの大テーブルがあてがわれて作業。アシとしての作業は、特に滞りなく行われました。
そして一区切りもあり、二人共寝ることになりました。で、アシ部屋で寝ます(表現雑)。…まぁソコまではイイんですよ。

起床時間。目が覚め、横向きで寝ていた私の視線は当然、枕元横あたりに落ちます…。そこには…

「う、うんちー!!!?」Σ(゚∀゚ノ)ノキャー

…一気に目が覚めます。(そりゃそうだ)

人のじゃありませんよ(当たり前)。枕のすぐ横に鎮座ましましていたのは「猫」のうんち様でした。
私ね、寝る時に枕を外して、枕横の平面上に顔を移して寝ることもあるんですよ。そう考えたらね…「ヘルメットがなければ即死だった」という某アニメの名台詞のアレを思い出しました。
とりあえず、もう一人のアシの女の子にその話題を振ります。
「…あ、そうなんですよ…」と、苦笑が返ってきました。(ゎぉ…

彼女は私より1日早く、ココに入っていたそうなのですが、そこで気づいたのは「ココで飼われている猫(複数)は、トイレしつけが一切されていない」という事でした。
家全体でいうと、床等に置いてある荷物、生活品等が結構多めな感じだなという感じはありましたが、人の通れる通路と荷物との間をよく見ると…放置されているんですよねえ…大も小も。大テーブルのあるダイニングにも、よく見ると私が偶然踏まなかっただけで、かなり危ない位置にブツがあったのが確認できました。…飼い猫だったらさ、ちゃんと躾けた方が良いと思うんですけどね。飼い主の方針なんですかね?野生のままであれ…みたいな。

先生に苦情を申し立てなかったのは確か、「執筆中はえらく不機嫌(そうに見えた)だったから」だったと思います。下手にヘソ曲げられて作業が滞るのは…まぁアレですからね。だってね、タダでさえご本人の執筆速度が超絶遅くて、仕事を待ってるアシ二人は、世間話に花を咲かせる時間の方が多かったのですよ!(いや、楽しかったけどさ!)ぉぃw

まぁ、それ以外は何事もなく、数泊で私の派遣期間は終わりましたが、あの回の原稿…どうなったんだろう。ま、いーですけど。
私ともう一人の子が去る時点で原稿はまだ未完成。アシは入れ代わり立ち代わり来ている様子だったそうなので、もしかしたらアシ自体は、先生の遅筆を憂慮した編集者が策略で手配した「お目付け役」的な役目も兼ねてのコトだったかもしれません。策士かw

…にしても心残りが一つあります。一緒にアシしてた、あの女の子…「カワイかったんだよなー(おいおい)」。連絡先くらい交換しとけばよかったな~(コラ)。(そんなオチで良いのか

■Case10「(自分)史上最○の魔王、現る」

さー、クライマックスですよ(何の?

コレは漫画家・クリエイターに限らず、全人類的に言えることですが、
「世の中、善人・仙人ばかりではありません」

…なんか、このシリーズでは私、当たり前の事ばっか言ってる感じはありますが、まぁコレも不動のデフォルト事象だと思うんですよね。

唐突ですが私、「レディースコミック(広域に於いての女性向け漫画誌。ヤングレディースとは微妙に違う)」とは、大きく3つに別れると(個人的には)思っています。

1:少女漫画の延長線上にある「ストーリー重視の女性向け漫画」
2:女性としての実生活共感と解消に特化した「共感系実録あるある漫画」
3:リビドーに忠実で、そっちに全振りしてるいわゆる「レディコミ」

長い歴史の中で今、残っているのはやはり1や2が主で、3については一斉を風靡した少し前のあの勢いは、今はあまり感じられないなぁ、というのが最近の正直な私の感想です。(BLモノは除く)
で、これから語るXセンセは、3のいわゆる「レディコミ」の方。

最初、なんの縁でココに呼ばれたかは覚えてないんですよね。歳は自分よりかなり遥か年上の方。最初のうちは、なんの変哲なくコミュニケートできていましたし、仕事もしていました。しかし、ある日のXさんの行動・言動で、それまで自分が抱いていたそのセンセの性格、人物像は突然揺らぎ始めます。ソレは何回かそこの仕事をこなした後の、ある日のとある一本の原稿の最中でのことです。
仕事中に担当氏から電話がかかってきました。何やら口調から察するに、妙な雲行きを感じます。Xセンセはいたくご立腹のご様子。その時点では私は特に何も感じませんでした。担当との意見の交換で、意に沿わない感じになれば、まぁ自然とそうなるかなと。そしてしばらく経ち数時間後、玄関ドアのドアベルが鳴ります。センセは一向に気にせず、原稿に向っています。何回も鳴るので私が「出ましょうか?」と尋ねると、「いいの、出なくていいワ」とだけ。そのうちベルは鳴らなくなり、もう一回電話があった後、特になんのコメントもなく、ただ仕事は進行していきました。
少し時間を置いてセンセは玄関へ行き、なにやら箱の様なものを手にして戻ってきて、そこでセンセは勝ち誇ったように少し笑いながら言います…

「ホントしょーもない男よ。詫びに菓子を(玄関先に)置いていったけど、ムダなことするわね!フンッ(要約)」
(セリフの正確さには自信がありませんので、「こんな様な趣旨のことを言った」という感じのアレンジを加えたものでお届けしています)

事の経緯は私ら(アシ)にはわかりません。しかし先程の訪問者は担当編集者であり、誰も玄関に出なかったので、玄関先に菓子折りを置いていった…という事のようでした。とことん相手を蔑んだような発言に、私は違和感を覚えました(表には出しませんでしたけど)。
そして、決定的なことが数回の仕事を経た後、突然やってきます。

それはシュラバも終わり、担当氏(前述の担当氏とは違う人)が仕事場にやってきて、原稿を受け取りがてら、次回の小打ち合わせをしていた、という場面。その傍らではアシスタントたち(二名)がシュラバで散らかったトーンシートや道具たちを片付けています。そこで私は気づきました。近くに置いてあった「ポテチ袋」が無いことを。
「あれ?どこに置いたっけ?(…何かの勢いでどこかで落としたりして散らばってたりしたら、汚れて申し訳ないな…探さなきゃ)」と思い私は、打ち合わせが終わった後のセンセに尋ねます。「先生、この辺に置いてあったポテトチップスの袋、知りませんか?」と。
センセは「え?知らないわね」と答えます。…その場はそれで済みました。
そして担当氏が原稿と共に帰っていった後、部屋にいるのは私とXセンセ含め3名。その時、私は何やらXセンセの様子が変なのを察知します。最初の切り出しはXさんからでした。

X:「○○さん(私)、ちょっとイイ?」
私:「…あ、はい?」
X:「あなた、なんであそこで、あんな事を言ったの?」
私:「? …何のことですか?」
X:「担当がいた時に、私に聞いてきたことよ!」
私:「??(えーと、なんだっけ?そんな重要なこと言ったっけ?)」
X:「『ポテトチップスの袋、知りませんか?』って言ったでしょ?」
私:「…ああ!はい、言いましたけど…」
X:「そんな事、なんであの場で言ったのよ!」
私:「???」
X:「アレじゃまるで、私がアシスタントにポテトチップスしか食べさせてないみたいじゃない!!何考えてるの!?私が恥かいたでしょ?!」(音声:大)
私:「(脳内の様子)……?????? ピー(「しばらくお待ち下さい」画面に切り替え)」

…皆さんはどう思われたでしょうか?私は正直なところ「ナニソレ?」という感想しか出ませんでした。実はこの問答には、もう少し続きがあります。

X:「(さらなる糾弾の文句ありつつーからのー)この前だってあなた、ウチのビデオデッキ借りてTV番組を録画していったわよね?アレもどう思ってるの?ものすごく不真面目よね?」

はい、ではココで、その時の再現ビデオ(テキスト)を御覧ください。

私:「あのー先生、申し訳ないんですが、もしココのビデオデッキが(先生の録画予約など無く)空いていましたら、30分ほど貸していただけませんか?家での予約をし忘れてしまって…」
X:「ええ、いーわよ。大丈夫よ。何を録るの?」
私:「○○という…」
X:「へぇ、それ面白いの?どういうの?(笑)」
私:「コレコレこういうカクカクシカジカな作品で(照)」
X:「へぇ、そういうのがあるのね(笑)」

という、あまりにも平穏かつ普通のプロセスで許可を得て、ビデオデッキを借りた物でした。(こういう時、ひねくれた方は「その時のソイツの腹の裏を察しろよ」と言われるかもしれませんが、そもそも、この場面にわざわざそんな手の混んだワナ、仕込む必要性ありますか?

ところで、皆さん、この場にはもう一人アシがいることを覚えてらっしゃいますか?アシのZさんは私より年上の女性で、ココの仕事場は私より長いほうです。はい、その人もこのやり取りに加わります。

Z:「私もそうだと思ったのよ!先生!常識よね!」

もうすっかりXセンセのシンパでした(苦笑)。
実はこの方、コレより前に他所の仕事場で一緒になる機会が多く、そこでもそれなりに話す機会も多かったし、そこそこ仲良くもさせていただいてた感じでした。この方がXセンセの所に行きだしたと聞いてからは、その他所でも会う機会、ちょい少なくなったなぁと思っていたのですが……ああ、そういうことですか…と、自分ちょっと悟りを開きかけました。

さて、この結末はどうなったと思いますか?
私は、この間にも様々に言葉で責められながら、脳内ではリアルタイムに分析を始めます。そして導き出されたのはコレです。まずは「相手の行動様式」。

私:「(ああ、この人は多分、糾弾する相手が納得するレベルまで折れないとコレを延々続ける人だ。コレ…簡単に言えば…全○闘がやってた「総括」だ…そういえば年齢的にソレと重なっててもおかしくないよな…)」

「あ、すいません」「ごめんなさい」「申し訳ありませんでした」レベルのことはもう既に済ませています。…でも終わらない。もうそうなると、向こうの感情、カタルシスに訴えるしか無いと分析。「勝った」「上に立った」という感情を引き出さないと、多分コレ終わらない…と結論づけます、故に…ソレを終わらせるべく、取る手段を決定しました。

私:「(よし、自分、泣こう!)」

泣く事自体はカンタンです。「過去の悲しいこと」「こんな事に巻き込まれてしまった不甲斐ない自分」「単純に泣けるシチュ」を思えば、栓は開きます。「泣くことは恥ではないか?」…いえ、こんなクローズドの中で泣く事自体は、自分的にあまり問題ありません。それより事態の収束が先です。相手を「ステイ!」させる方が先です。

では…「実行」…(ポチ)。

X・Z:「分かってくれたのね。そうよ、私はアナタのためを思ってあえて言ったの…(肩ポン)」

「…納得してくれてありがとう(訳:チョロくてありがとう)」
ともかく収まりました。今考えても、未だにあの人の沸点・沸きどころがわかりません。「積み重ねたものじゃないか?」?…そんなに積み重なるほどココに草鞋は長く脱いでいません。まぁ、感情融点の閾値の問題だとは思いますが…。
その後、よく観察してみてわかりましたが、Xセンセ、感情の起伏の高低がかなり超絶に極端な方でした。(わからんかったかって?まぁ、最初から相手を全分析はしませんからね。イントロが穏やかなら、わざわざ、んなこたぁはしませんて)

さて、この妙に熱の入ったケースファイルも、この辺でやっと締めになります(笑)。
この後の自分ですが、「この人の元にはもう草鞋は脱げないな」と判断。後にくる依頼も、もっともらしい理由を付けつつ、徐々にフェードアウト…という移行作業に移りました。ワケのわからないコノ人のもとでは、多分学びの要素は皆無でしょう。あったとしても「こんな人もいる」という経験や、それをいなす処世術と気苦労だけかと。

アシスタント時代で、まだ若かった頃の、苦い思い出・教訓でした。
今はもう許したか、って?…え?なんすか?ソレ(真顔

☆噂の真相(点描画)の泉

(点描画と言われても元ネタ知らん人の方が多いんだろうなぁw)

さぁ、ココからは【噂】レベルの話です。サクサクっと行きたいと思いますよ!
…コレの前がムダに重かったからね!(ははは
(この「噂たち」には読み手様の方で「へー!へー!」といった効果音を付けていただくと、なんとなくソレみが出て、面白く読めるかもしれませんので、とりあえず推奨しておきます(笑))

あ、とりあえずステータス的には全員「大御所」かもしれません。

【噂】Case1「超絶作画」

「少女マンガのC先生の作品に出てくる戦車は…三面図から起こされてたもので、ビックリするくらいの超クオリティ作画」

コレは別のところでも書いたかもなので、わざわざイニシャルにする必要もないかなと思いますが、噂話として伝わってきたものですので一応。場を見たわけではないのでね。事実、先生のその作品シリーズに出てくる戦車はちゃんと描かれているので、少女マンガに親しみのない、いわゆる「少女マンガナメてる系男性諸氏」は初見驚くかもなぁ…と思うのです。初めて話が伝わってきた時は「うわ、すごいソコからなの!」と皆驚愕したものです。

【噂】Case2「メルセデス・ベンツ」

「少年誌のQ先生。そこのチーフアシの車は…メルセデス・ベンツである」

…単純に収入差に驚いただけです(笑)。実際そうなのかはわかりません。
ベンツも中古か新車か、クラスはどれくらいか…というのは伝わってきてませんので、ひょっとしたらお財布にもお優しい車種なのかもしれません。
でも…夢ですよね。「純白のメルセデス、プール付きのマンション」的なw

【噂】Case3「住めるスメル」

前述でも似たような話を書きましたが、なんとコレも「ソッチ系」の話です。(食事中の方、スマン)

「U先生の仕事場兼お住まい(戸建て)は…遠方からでもニオイで分かる」

解説しましょう。具体的には家にたどり着くまでの道で、2~3つほどの手前の角(住区画)から、つまり、まだ家の姿(ビジュアル)が見えない段階でも「家から放たれるニオイが感知できる」ということだそうです。嗅覚で感じるということです。

ココまで止まりだと、ニオイは薔薇でもプワゾンでもドルガバでもNo.5とも言えるかもしれませんが、みなさん、冒頭にも言った通りコレは「ソッチ系」の話です。
U先生は動物を飼っていらっしゃるそうで、一頭なのか多頭なのかは覚えていませんが、とにかく飼ってらっしゃると。で、何がニオってくるかと…もう皆さんお分かりですね。固有名詞そのものはあえてイイませんが、そう、生物が食べたり飲んだりすると、必然的に体内で生成され排出される「アレ」です。そのニオイが、家にまだ着かないのに遠方からでも感じられてしまうと…。コレだけでもスゴイことですが、この話にはまだ続きがあります。

ニオイが出るという事はつまり「トイレしつけ」がされていないということです。しかし、単純にソレだけなら物理的・面積的な限界からも、ひどいニオイでも屋内か敷地を超えないレベルに留まるでしょう。人間が生活をする上で、いくら不精な飼い主でも「されたら困る所」くらいはありますから、相対的にもそんなレベルになるには無理が……と、普通の人ならココまでの解釈で収まるかもしれません。しかし、それだけのモノを放射をするには、それだけの理由があるとのコト…。

コレを教えてくれた方いわく、
「U先生は、ソレに関しては非常に不精な方なのです。そのお宅の室内様式は主にカーペット床なのですが、例えば某動物が床に致してしまったとします。U先生はソレを発見しても、片付けや清掃することをしません。邪魔と感じても、ニオイを感じても何もしないのです。ではどうするか?ある一定のレベルに達すると、買い置きの新品カーペットを取り出します。…取り替える?いやいや、その致したモノがある上に新品のカーペットをおもむろに重ね敷き、ニオイが緩和された、ソコを歩ける…ということで「ヨシ!」とするのです。その被害のないカーペットにもされたら?それはそれの繰り返しです

ミルフィーユ!(ミルフィーユに謝れ)

教えてくれた方いわく、その枚数は、もう立派な階段の段差になるくらい、それはもう何年も何年も伝統のように積み重ねられ続けているそうです。
ニオイの多層構造でした。そういえば、放熱フィンはその多層構造ゆえに、熱を効率よく外に逃がすことができますよね…。
コレは…長年続ければ、遥かからニオわせる事ができそうです。こうなるともう立派な兵器です。(;´Д`)

…あ、あくまで【噂】ですからね!

【噂】Case4「赤と黒」

「Y先生の所に(アシスタントに)行くと必ず…赤字になる」

ギャーっ!(ギャーっ!)(今頃キミが叫ぶな

だって恐ろしいじゃないですか、ねぇ?
…解説しましょう。通常、呼ばれて(派遣されて)アシスタントに行けば、その労働代価としてアシスタント料(ギャランティ)が支払われます。こちらは領収書を先生にお渡しします。当たり前の雇用関係、真っ当な報酬です。

しかし、この方の所にアシスタントに行くと「宿泊費」と称して、泊まった分×4~5千円くらい(?)を「アシスタントが先生に払う」そうです。
具体的な理由や背景を語ると、超一発で誰なのかを特定されてしまうので、ソコには言及しません。お口チャックです(死語)。私だって命は惜しいのですよ(真顔)。

しかしコレだとアシスタントの来手が無くなりますし、第一そのアシさんが報われません。よってアシ代は、後ほど出版社によってアシさんに直接支払われるそうです。(よかったー)

ハイ、これココで終わり!心当たりある方だけ、シミジミしてください!(逃走

【噂】Case5「その生々しさ列伝、逆に清々しく…」

「B先生の…イイ噂を聞かない…全く聞かない!ぅゎぁ…」

私もこの業界に入って、ソコソコの年数は経っているはずなのですが、この方に関しては、良エピソードをまったく聞いたことがないのです。ちなみに今、令和の世の現在もです。逆にスゴいです(ぉぃ)!
知名度はあるはずです。認知度もあるはずです。皆の思い出に入り込んでる度も中々のものだと思います。だがしかし…!

私が今までお世話になった、いわゆる「大御所」たちの方の口からも、中堅の方々からも、アシスタントたちからも…なんというか、ネガティブな事しか出てこない。エピソードのすべてがもう、アレだ…なんというか…アレですよ!ね?(語彙力

…ん~、私の口からは、コレが限度です。漫画家いろいろ、人間いろいろです。(ハイ、当たり障りない締めで終わります!…ぷしゅー)

☆「瞳の扉を…静かにそっと閉めれば」

あらかた、アシ時代の(かろうじて外に出せる)思い出、体験記、噂話の主要なヤツは出し尽くしました。忘れてることもあるかもしれませんけど、思い出したらその時はまた、ココに追記しましょう。(確約はできませんが)
多分、今後は「友達・知り合いのちょっとしたお手伝い」以外の、昔みたいな業態のアシスタント業はやらないと思います。てか、もう無理よ、体力的に(笑)。

アシスタントを始めたのは10代の頃でした。定形文句ですが、ガムシャラに走り抜けました。笑って泣いて、疲れて喜んで、良いことも悪いことも、一切が混ぜこぜでありきたりで…でも、それでも貴重な経験でした。

これから漫画界、アシスタント業界に飛び込もうという方々へ、こんな一介のヘタレな流しアシ風情が偉そうに言える事じゃありませんが、それでもその道(漫画家)を目指すなら、一度はやっといて損はないですよ、アシスタント業。「酸いも甘いも」一回くらいは経験しときなさい。「素人から即作家デビュー!人生イージーモード!」も充分魅力的ですが、回り道しても絶対後で肥やしになりますから!ね!(笑)。

それでは、ココで本当のお開きです。

紛うことなく確実にクドい長文に耐え、今までお付き合いいただいた読者の方々、誠にありがとうございました。「スキ」ボタン押してくれた人もありがとね!
では、普通の漫画家もどきに戻ります!(戻れるのかなぁ…


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