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2021年11月の記事一覧

詩 憐憫

詩 憐憫

くぐもる声で囁く少女

石の上のバイオリン弾きが
片目を瞑り
汗をかきながら働く人夫が
怠け者を蹴り上げる
踊り子達が軽やかに羽を広げれば
王様が角を磨く

頬を赤らめた少女は
囁きを止めて歌い出す
拳を突き上げ
とうとうと語る思いのたけ

ハーメルンの嘘つき市民
お腹を空かせたグレーテル
鼓動の高まりはミュージカル

虫達を舞台装置に見立てた少女に
観客はお前自身だと囃す蝉
驚いた少女は背をむけ

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詩 はね

詩 はね

あれほど欲しかった
飛び上がるための羽を手にいれた

足を蹴り上げて
ふわりと羽に身をあずける
ただそれだけで
鬱蒼とした世界を見下し
風と遊び
思い描く
どんな世界へでも行けるのだと思った

掴めるものに限りは無く
ただひとり
自分だけの煌びやかな星の祭りは
学舎の空
先へ先へと広がり続ける筈だった

乳白色の朝陽を浴び
揺れる湧き水を眼下に
身の渇きを覚え狼狽える

降り立つために必要な羽の操

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