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吉田 翠*詩文*
2021年11月20日 17:12
くぐもる声で囁く少女石の上のバイオリン弾きが片目を瞑り汗をかきながら働く人夫が怠け者を蹴り上げる踊り子達が軽やかに羽を広げれば王様が角を磨く頬を赤らめた少女は囁きを止めて歌い出す拳を突き上げとうとうと語る思いのたけハーメルンの嘘つき市民お腹を空かせたグレーテル鼓動の高まりはミュージカル虫達を舞台装置に見立てた少女に観客はお前自身だと囃す蝉驚いた少女は背をむけ
2021年11月6日 17:10
あれほど欲しかった飛び上がるための羽を手にいれた足を蹴り上げてふわりと羽に身をあずけるただそれだけで鬱蒼とした世界を見下し風と遊び思い描くどんな世界へでも行けるのだと思った掴めるものに限りは無くただひとり自分だけの煌びやかな星の祭りは学舎の空先へ先へと広がり続ける筈だった乳白色の朝陽を浴び揺れる湧き水を眼下に身の渇きを覚え狼狽える降り立つために必要な羽の操