マガジンのカバー画像

180
自作の詩です☆読んでいただけたら嬉しいです。
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

散文詩 花散る

散文詩 花散る

たった一輪が残るのです。
他の花は短い日々を染め上げて、ものも言わずに散ってゆくというのに。
たった一輪だけが残るのです。
落ちてゆく姿を見せたいただひとりを待っているかのように。

天真爛漫を装って、ただ無邪気に振る舞い続けた意味を知って欲しいと待っているのかも知れない。
散り際が美しいなどと、やめてくださいね。
残して欲しい姿は、きっとそれではないのですから。
来年また会えると人は言う。でもそ

もっとみる
詩 思い違い

詩 思い違い

だから切ったのに
あの人もこの人も口々に可哀想だと言った
いいからわたしの腕の中で
ゆっくりおやすみなさいな

あなたが大切にしてきた
繭から生まれた艶やかな髪が
誰かに奪い取られる前に隠してしまうことは
悪い事なんて思い違いなのよ

人形の髪が伸びないなんて
いつの時代の幻想か
ビロードの緞帳の中で宝箱を見つめる

そうやってわたしは大人になる事を
いつまでも拒んで拒んでこの場所で
白いものが混

もっとみる
四行詩

四行詩



星の瞬きはメロディー
どうにも眠れない夜の戯言に
諦めろと片眉をあげながら
冴えた月が笑った
#詩 #四行詩