刺さって抜けない
アルというマンガサービスでライターとして活動しています。midori(みどり)です。
幼いころ、何より嫌だったことは魚の骨がのどに刺さること、あめちゃんをまあまあの大きさで丸のみしてしまうことだった。
そのどちらにも共通するのは、圧倒的な自分の内側への不快感。特に喉の内壁へのストレスは尋常ではなく、自分の手や指も届かない状況に勢い良く白米を飲み込んだり水を流し込んだ。
異物が取り除かれた後もじっとり残る「なんかヤダな」感
思い出すのは、とある人から言われた言葉が、あの日の魚の骨と同じように刺さって抜けなかった経験である。
浴びせられた何気ない言葉はわたしそのものにブスッと刺さって、じわじわとメンタルを蝕む。挙句、そのブスッと刺さった何かは数日ベッドの中まで付いてくる。きっとその言葉を放った本人は今頃アイスでも食ってテレビをみて笑ってるだろうに。
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しかしわたしも過去、友人にこんなことを言われたことがある。「midoriが昔に私に××って言ったの、実はものすごい傷ついたよ。」
その言葉を聞いて、わたしは本当に頭が真っ白になった。彼女はもう気にしていないと、昔の話だと言ってくれたけれど、わたしは自分の発言すら覚えていなかった。悪気なく発した言葉で相手の心を追い詰めていた。そしてちょっとトラウマになった。
『名探偵コナン』にはこんな有名な名言がある。
特に文字を書くわれわれは、より一層注意しなければいけない。音となりその信号を受け取った人にしか届かない声と違って、わたしたちはインターネットの海に刻むように文字を書きつける。一度放たれた文字は自分の手を離れて時代や時間を超え、国境も超え、自分の存在が消えた後も残り続ける。素敵さと恐ろしさが入り混じると思った。
今後一切自分以外の全てに慮った文章を書くことは到底出来ないかもしれない。けれど、少なくとも心掛けたいと常々思うのは、悪意を持って何かを否定し、傷つけ、踏みにじる言葉になっていないか?と冷静に判断すること。
そしてそんな気付きを教えてくれたのも、やっぱりマンガだ。
『違国日記』にこんな言葉がある。
物語が始まる2話。突然両親を亡くした15歳の姪の朝へ、槙生が言い放った言葉。葬儀の場で親戚一同の無責任で醜悪な感情の飛び交う場にいた朝の孤独を退けて、そして叱った言葉。
「わたしは決してあなたを踏みにじらない」
この言葉を画面越しのあなたに約束できるよう精進していきたい。
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PS.魚の骨が刺さった時に白米丸のみはあまり良くないみたいです。かえって骨が深く刺さってしまうそう。気を付けよう。
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