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BOOK 死の壁

「死の壁」養老孟司

幼いとき
自分が死んで
お葬式をしているのを
上から眺めている
夢を見たことがあった

目がさめて
何とも体が居心地悪いような
不思議な気分だった

昔は死は身近にあったもの
茶道のお炭を片付けていると
このようにこのまま
灰になっていくことを
尊厳としているのだなと感じる事がある

道端に立ち上る煙に
あわれを感じている句

都会は死を遠ざけ
それを見えなく綺麗に
収めてしまうようになった

死の瞬間を定義することは難しい
連続して機能が止まっていくことだから

生きている身体であっても
中身は毎日入れ替わり
違うものになっているので
自分はずっと自分であるわけではない
常に変わっていく 揺らいでいる
存在なのだ

死も
その先にある
連続なのだ