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ほんもの 白洲次郎のことなど


ジープウェイレター

ヘンリープールのツィード

オイリーボーイのカントリージェントルマン


白洲次郎に惚れている男を愛した。

それに後悔などあろうはずがない。


最近は政治家でも何でも、すぐに「命を賭けて」なんて安っぽいこといったり、窮地に陥ると平気で涙をみせるじゃないですか。美意識が高く、苦労は人に見せず、常にかっこつけ続ける、ということなんかいまやないでしょう。だからこそ、次郎さんのような人間がまた興味を持たれているのかもしれませんね。まさに孔雀のような男でしたから。 つくづく思うのは、やっぱり白洲次郎という男と結婚してよかった。いいパートナーでしたよ、私にはね。他の女性だったらとても耐えられなかったでしょう。それは彼にとっても同じだと思います。私みたいなじゃじゃ馬は他の男のひとでは到底駄目だったでしょうから。 いま考えてみると、なんとなく私の方がジロちゃんを馬鹿にしてたみたいなところがよかったのかもしれませんね。とにかく可愛いひとなんです、弱虫毛虫でね。生まれ変わってももう一回一緒になるかと言われたら──やっぱりちょっと考えちゃいますけどね。

ほんもの 白洲次郎のことなど
/ 白洲正子

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