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「スピリットサークル」~おすすめの漫画紹介①~

「生まれ変わりって信じる?」
「あんたにはあと7回死んでもらうわよ」

輪廻転生という言葉を知っていますか?自分もあまり詳しくは知らず、調べると「あの世に還った霊魂が、この世に何度も生まれ変わってくること」を言うそうだ(Wikipedia参照)。
今から紹介する水上悟志先生作の「スピリットサークル」という漫画はそんな輪廻転生を題材にした作品で、主人公とヒロインを中心に、何度も何度も生まれては死に、生まれては死に、それでも続いていく因縁が描かれている。
単行本は全6巻と少ないが、6巻分とは思えないほど濃密な物語が楽しめるので、これを読んで面白そうと思ったら是非読んでみて欲しい。

あらすじ

少し霊が見える中学2年生の少年・桶屋風太(おけやふうた)は転校生の女の子・石神鉱子(いしがみこうこ)に一目惚れする、が彼女には背後霊が付いていた。そのことを気にしつつも風太は仲良くなりたい思いで鉱子に近づこうと試みる。しかし背後霊が見えることに気づいた彼女の態度は一変し、突然胸ぐらを掴み「人違いじゃなかったわ、あんたが私の嫌いな奴」と言い放ち、謎の輪っかで風太を殴り階段から突き落とす。
意識を失ってしまった風太はそこで不思議な夢を見る。それは過去生といういわゆる前世であり、風太が最初に見せられたのは靴屋の息子・フォンという過去生であった。フォンはレイという少女と仲良く暮らしていたが、ある日レイは村の伝統の儀式で生贄に選ばれてしまう。フォンは理不尽に殺されてしまうレイを見過ごせず、怒りに任せて儀式中に乱入するが既に彼女は生贄として殺されたあとであった。怒りが頂点に達したフォンは神官を殺そうとするも返り討ちに遭い、逆に殺されてしまう。死にゆく中フォンが見た神官の顔は石神鉱子そっくりであった。その後目を覚ました風太は鉱子に告げられる。

「あんたには私と関わってきた過去生をあと6回体験してもらう。その後あんたの魂を完全に滅し、私たちの戦いを今生で終わらせる。」

これは風太と鉱子、二人の魂の因縁をめぐる物語である。

長ったらしくなったが、これは第1巻の3話までの内容をざっと要約したものだ。
風太と鉱子の過去生に一体何があったのか、そして二人は過去生をどのように歩んできたのか。たったこれだけでもだいぶワクワクしませんか?

二人がどのように生き、死ぬのか

基本物語は風太目線で語られ、過去生も風太の過去生が終わるまでが描かれる。
もちろん過去生によって時代や環境は全く異なる。中世ヨーロッパ、日本の戦国時代、古代エジプト…など本当に様々だ。
そして彼らはいずれ死ぬ。必ず死ぬ。時には殺し合い、時には他の人間によって殺され、時には寿命で死ぬこともある。7回の人生があり、7回の死がある。

作者の水上先生はその死までを描くのが本当にめちゃめちゃに上手い。キャラクターの感情や想いが読んでるこっちまで伝わってくるような、そんな感じだ。
また過去生のキャラクター性がそれぞれで違うのも良い。風太の過去生はあくまで過去生であって、風太ではない(厳密には風太なのだが割愛)。つまり過去生には、風太とは違った過去生それぞれの考え方や生き方があり、それらを全うして彼ら(過去生)は死んでいく。それが本当に面白くて、過去生のキャラクターそれぞれにとても愛着が湧いてくる。1つの漫画なのに主人公が違う色んな物語を楽しめる、みたいな感じだ。
ちなみに自分は4人目の過去生が大好きだ。本当に泣くかと思った。

また二人との因縁だけではなく、彼らの友人、家族の過去生もそこには存在し、まさに輪廻転生を表している。もちろんそれらは現代と同じ関係性ではなく、時には友人、敵、家族、と様々だ。それも物語を見ていく上で面白いポイントだ。

ちなみにタイトルにあるスピリットサークルとは過去生を見るための道具のことで、鉱子が風太をぶん殴った輪っかがそれだ。これが一体どうして存在するのかも物語で語られる。

あまり話すとネタバレに繋がりかねないので、彼らがどのような過去生を歩んだか、二人はどうなってしまうのか…というのは是非実際に本を手に取って見て欲しい。

文章が支離滅裂な気がするけど、とにかく読んで欲しいことが伝わればオッケー。読んでくれたら尚のこと良し。

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