『さくらスペシャル』(すずめ園著)の感想
自由律俳句ユニットひだりききクラブのすずめ園さんの新刊。
2編のエッセイと3編の自由律俳句の連作を収録。
エッセイは、日記風のもので、語り口優しく、軽快に日々がつづられる。
ユーモアのある日常の切り取りに、ささやかな幸せがあふれていて、読んでいて幸せな気分になる。
自由律俳句も秀作がそろう。
傘に降り積もる雪を描写しながら、その傘を持つ人々の営みに心がうつる。
相原かろさんの「トラックの屋根に積もった雪がいま埼玉県に入って行きます」を思い出した。
瞬間の描写なのに、動きが見えるところが巧い。
「カチカチカチカチ、ボッ」というガスストーブの点火音が聞こえる。
日が暮れて、寒さを感じだしている人の息遣いも聞こえてくるような端的な描写。
「○○の○○」「○○の○○」という構造のリズムもいい。
アスパラが浮かれアイテムであるということに衝撃を受けた。確かに、あの鮮やかな緑とフィジカルの強そうなまっすぐな形状は、野菜界隈では、絶対パリピだ。
そんなアスパラを炒めることが浮かれて見える人は、きっとパーティーとは距離を置くべき人なのだろう。
いっときの気分の高揚による行動によって、ひどい目にあってしまうこともある。
自分もアスパラを炒めたくなったら、気を付けなければいけない。
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