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追憶の世界「蜘蛛の巣」(2)

たまたま今日は少ないのかなと
疑問に思いつつも1歩1歩山を登る

ザッザッ…

中腹までくると”意宇の源”という標識が見えてきた
松江で有名な意宇川の源流がこんなとこにあるとは
この歳まで知らず驚きを隠せずにいた

この天狗山は古代熊野大社の本宮があったとされる
歴史は深く出雲風土記にも”熊野山”とある霊山

いかに自分が地元のことを、いや日本の事を
全く知らないか痛感

そこから気を取り直して更に登った
すると前の方がキラッと何か光る物が見える

何だろうと顔を近づけてよく見てみると
まるで僕を通せんぼをしているかのように
光に反射した綺麗な蜘蛛の巣が張ってある

「無駄な殺生をするでない」

漫画バガボンドの宝蔵院胤栄の言葉がよぎった

だから蜘蛛の巣を払うのをやめて
僕は草を掻き分ながら”迂回して”遠回りをした

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そんな出来事の後もひたすら登り続け
息もだいぶ切れてきたから水を飲む

ゴク…ゴキュ…

天狗山標高はそんなに高くはなく
600mぐらいのはずだが妙にしんどく感じる
昨日飲みすぎたせいかと少し後悔した

ハァ…ハァ…

木でできた標識も要所要所で立っているが
ボロボロで何が書いてあるかわからない

道は合っているのかと不安をよそに更に登ると
ハッキリ見える標識が見えてきた

“祭祀場”と”磐座"この上
もう一息で頂上で道は間違っていなかった

そして頂上に着き松江の綺麗な景色を見てから休憩
休憩後は頂上付近にあった磐座に行き手を合わせた

…サァー…サァー…

猫バスが通ったぐらいの強い風が通り過ぎる
閉じた目を開けるとここは現世か写世か

…チリィン…

気持ちを切り替えて下山しようと思ったら
どこからともなく鈴の音が聞こえてくる

追憶の世界「蜘蛛の巣」(3)へ続く


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