企業のSNS担当者が「ブランディング」を学ぶのに役立った本11選
仕事をしていると、なにかと日常的に使われる「ブランディング」という言葉。個人的に、なんとなくイメージはあるが、掴みどころがないワードNO.1だ。
今、事業会社のSNS担当として業務の1つとして、1年半ほどInstagram運用しているのですが、アカウント戦略を考えるうえで
「私が運用してるブランドアカウントの、ブランドってそもそもなんなのだろう……ブランドの世界観ってよく言うけど、どうビジュアライズすべきなのだろう……」
と悩みまくって、ブランドを理解するために読み漁ったなかで、特に参考になった書籍を紹介しています。
タイトルに「SNS担当者」といれてますが、SNS運用の戦略・ノウハウに関してではなく「マーケティング業務におけるSNSが持つ役割とブランディングとは何か」を知るためにヒントとなった書籍を紹介しています。
マーケティング業務に携わる人、全般にオススメできるラインナップになってるはず。より実務的なSNSを学ぶ書籍を知りたい方は、2年ほど前に書いたこちらのnoteが参考になるかもしれません。
📕マーケティングにおけるブランディングの立ち位置を考えるための本
仕事において一度でも「ブランディング」という言葉を自主的に発することがあるなら読んでおくと、上司の言っている話を割とスムーズに理解できるようになる系の本。
もちろん会話において言葉の定義は都度確認すべきだと思うけど、マーケティング業務をしていくうえで、自身の前提知識として読んでおいてよかったなって思う本をピックアップしました。
1.実務家ブランド論
実務担当者が、業務における「ブランディング」の概念を理解するための本。
読み始めてすぐ「私がずっと困っていたことに対する答えがここにある…!!!」とちょっと興奮してしまったくらい。なので一番最初に紹介したい。
ブランディングを勉強したくて、有名な書籍を何冊か読んで感じた違和感「ゆうてこの話ってさ、そもそもスターバックスのような最強企業の話でしょ……」って部分を、
明確に切り込んで一般的な企業はブランディングをどう考えるべきかを解説してくれていますし、全般的な内容なので私のような「駆け出しの実務担当者向け」のブランディング理解本です。
アップルやスターバックスなどのスーパースターのブランド論は、この山の一部なんですよ。ってことを明確にしてくれるので、個人的に腹落ち具合しました。
CMやweb広告、SNS業務などのプロモーション業務って、つい目の前のクリエイティブや数字ばかり見がちなので、日常的にふんわり「ブランディング」という言葉を使う人は一読する価値があります。
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2.売上の地図
マーケティングの全体像を捉えられる書籍。
「1.実務家ブランド論」はかなり概要的な理解を促す内容なのですが、こちらは「じゃあ実際私がやってる施策って、マーケティング全体の中での立ち位置ってこれでいいんだよね…?」という悩みを解決できます。
マーケティングの実務担当者(SNSに限らず、広告・PR・キャンペーンなど)って、「この施策は直接的には売上に寄与してないけど…ブランディングには寄与してます…」的な発想に陥りがちですよね。でも実はそのブランディングってその地図を
「ブランディングとは?」という話ではなく、マーケティングを学ぶ本で、1つ1つの施策が他の部署とどう繋がりあっているのかがわかるので、自分が考えている「ブランディングの施策」というのは、消費者にどんな影響を与えて、どう売上に寄与しているのかを知ることができます。この関係性を理解したうえで、
書籍自体は、横書きでちょっと読みにくいんですけど、一度通して読んで全体感をつかんだ後も、都度辞書的に読んでいます。私のようにマーケティングに携わったばかりの人は、手元に1冊置くのがおススメな気がします!
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3.ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11
確実におススメ本なんですけど「学者様が書いたんのか?」って感じ。
文章がくどく、なかなか読みにくいんですよ。でもブランディングについて知見を深める一冊目としてすごいよかった。読みにくいこと以外はオススメ。
「2.売上の地図」に出てくる、パーセプションや想起、ブランドエクイティなどをより深めて
日本で大人気のコトラーに対して真向から反論してて、たとえば「差別化は効きません」「ロイヤルティ・プログラムは効きません」と明言するなど、自分の持ってる誰か偉い人が説いた知識って正しいのか…?と若干哲学的なマインドにさせられる要素もある。
昨今のマーケティングの潮流の「8:2のロイヤル顧客層がお金を落とすから、そこを重要視せよ」と、まったく逆の主張で、要するに「新規顧客獲得のためにちゃんとお金を使いましょう」って内容だと理解してます。(当時の読書メモいわく。読んだのしばらく前なので読み返します)
個人的には「戦略設計ってほんと資源配分なんだな」って考えさせられた本でした。
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4.確立思考の戦略論
「ブランドというものはどのように作り上げられるか」ということが書かれている森岡本。
森岡さんの書籍の中では、数式などが多くて、玄人向けに書いてる内容なんですが、概要だけを読むと超初心者でもわかりやすくわかります。
パッと見難解に感じられるのですが、書かれていることは「プレファレンスを高める」に終始しており、しかも森岡本なので、高校生にも理解できる安易な言葉で書かれています。
分厚いし、お値段も高めだし、読んでも理解できない数式はあるけど、ストーリーというか本質部分は超実務的でわかりやすい点でおススメ。これ読むとブランディングで何をしないといけないかが明確になると思います。
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5.コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則
ブランディングには全然特化してない本です、すみません。
コトラー本は、どれも明瞭で平易な文章で書かれているので、納得感をもって読めます。マーケティング4.0は、2017年刊行で「人間中心のマーケティング」ソーシャルメディアを含むカスターマージャーニーを中心に、解説してくれています。3年前に読んだのですが、SNSマーケティングの全体観をつかむのに最適でした。
この基本的な全体像や概要が頭に入ってないと色々な学びが点のままだったと思うので、早い段階で読んでおいてよかったです。
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📗 ブランディングを意識して、クリエイティブをつくるうえで必要な視点を学べる本
今までの本は「商品が売れる仕組みをつくるマーケティングのなかで、ブランディングの立ち位置」を考えるための本だったのですが、
ここから先は「じゃあどういう風に、考えて、クリエイティブをつくっていくべきなの?」のクリエイティブノウハウの1歩手前の「人間理解」につながる本をピックアップしました。
6.WHYから始めよ!
これはマーケティングに限らず、働く人すべてに名著にあげられるタイプのビジネス本。
どちらかというと「リーダーシップで人を動かす」ためのちょっと熱血系な内容なのですが、「人を動かす」というのはマーケティングにおける大命題。
また「なぜを一番に考える」ことは、仕事の全てに通じているので、これは早いうちに読んでおいてよかったと思ってます。
広告やSNSはつい、目先の小手先テクニックやインサイトなどの数値にとらわれがちなので「そもそも、なんで広告出稿してるんだっけ?」「この施策を通じて、誰にどうなってほしかったんだっけ?」という、基本的な部分が大事なんだなって再認識できます。そして「売上の地図」を思い出して、調べて、自分の業務の立ち位置を把握する流れ。
目的思考のないクリエイティブって、ほんとに再現性もって数字つくれないし、目的思考のない人との業務の会話って、主観でふわふわしてて全然PDCA進まない気がする。個人的には「なんでこれやるんだっけ?」って成果に近づく一番の魔法の言葉だと思ってるくらい。
ただ難点はアメリカの書籍なので、内容が重複しがちで言い回しがくどいこと。もっと薄く濃くできたはず。
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7.ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと
著書がデザイナーで、経営者向けに書かれたブランディング本。
若手の実務担当者としては肌感覚でわかっている話が多い印象。数十年前に消費マーケティングの中で成果を出して偉くなった、そもそも消費に関する価値観が違う上司にブランディングの価値や役割を知ってもらうために読んでほしい系の本な気がする。
デザイナー視点での言及なので、クリエイティブを考えるときに大切にすべきことはぎゅっと詰まっていると思う。一番響いたワードは「ブランディングとは、お客様に与える総合体験の全ておいて正しく演出し、伝わりやすく魅力的にデザインすること」
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8.ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門
こちらの本も読後に「今の私のための本だった……」となった1冊。
世の中で脚光を浴びてるクリエイティブな広告を目にしては「私にはセンスがないからなあ」なんて思ってる人に読んでほしい。
有名クリエイティブディレクターが、どうやって企業のブランディング広告をデザイナーと作り上げているのか、ハウツーではなく、人の心を動かすクリエイティブをつくるうえで、必要なマインドを言語化してくれています。
クリエイティブの話じゃないってのが、ほんとうにミソ!
「人間は好きなものについていく生き物。好きという感情のプログラムによって動く」「好きのプログラムは個人と個人の共感からから生まれる。自身が個人的に感じたことを語れ」
など、抽象的な概念で語ってくれているので、つい「いかにSNSのアルゴリズムをハックして、自社のクリエイティブを届けよう」と考えてしまう私からすると、ハッとする言葉たちがたくさん書かれていました。
ブランディングに寄与するクリエイティブとは「好きからはじまって、愛される表現にする」ことに気づかされた1冊です。
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9.人は記憶で動く 相手に覚えさせ、思い出させ、行動させるための「キュー」の出し方
ブランドにおける大命題の「どうやって思い出して行動してもらうか?」を脳科学的に解き明かす本。要は人間理解本。
人の意思決定のメカニズムを15の変数にまとめてて、実務的にも興味深いんですけど、翻訳本なので読みにくいのが難点。
人間とは忘れる動物だから、人から言われたことの10%しか覚えていられない。これだと「伝えるって大変……」だと思ってしまうけど、発想の転換でこの10%に何を記憶してもらうかを考えてアプローチする。
などクリエイティブをつくる人視点で、多くの発見があるので少し我慢しながら読み進める価値はあると思います。いやでも、おススメしたけど、これ系もっとわかりやすく書かれてる本もある気がする。もしどなたか知ってたら教えてください。
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📘 学んだブランディング知識をどうやって実務に生かしていくかを知るための本
10.星野リゾートの教科書
本から学んだことを実務に丁寧に落とし込んでいった話がメタ的に理解できる本です。
マーケティング本かつ実務担当者ではなく経営者視点なので、ちょっと視座が高いのですが、リーダー的なポジションで人を動かして数字をつくるマネジメントやチーム作づくりが必要な人にとっては、生々しい話ばかりで、おもしろいと思います。
知識やフレームワークを得た。じゃあ自分の組織でどう生かす?を考えるためのきっかけになりました。
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11.ブランドのそだてかた
経営者とブランディング会社の対談形式で、有名企業がどのようにブランドを育てた強くなっていったかについて、まとめてある本。
形式上1つ1つはそこまで深堀はできてないんですけど、思考の軌跡が描かれているので、「じゃあ、この経営者の思考のもとでSNSを活用するならば、どう戦略をたて実行していく?」と自分ごと化して読みやすいです。
個人的にこれ系の事例本は、ヒントとなる視点を得て、自分の事業にいかすには……実験の材料として読むことが多いです。すぐ生かせる系ではないかな。
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おまけ:SNSの運用に関する知識
未経験でSNSマーケティング会社に転職したときに、SNS運用やSNSマーケティング、SNSが与える影響をもっと勉強したくて、読んで役に立った本たちをまとめたnoteはこちら。
どちらかというとノウハウ本多めですが、企業がSNSを運用する上で大切にすべきマインドを学んだ本なども何冊かあります。
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余談:何十冊か読んでみて、自分の経験値とあわせつつ、なんとなくSNSにおけるブランディングの役割との仮説がようやく出てきたので、どなたか壁打ちして欲しいです。笑
いつも読んで下さってありがとうございます! 投げ銭と売上は、ホテルステイの軍資金にさせていただいております。