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医療DXのはじめの一歩

医療DXの第1歩はシステム選び?

医療機関が医療DXを進める上で何から始めたらよいのでしょうか。医療DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル技術を活用した業務改革」です。そのため、誰もがデジタル機器の導入をイメージし、「システム選定」が頭に浮かぶのではないでしょうか。
実はこの考え方は「大間違い」なのです。システムを導入しても、あんまり意味のないものがあったりするのはそのためです。「〇〇買いの銭失い」にならないようにする必要があるのです。(システムは高いので、あえて安いは使いませんでした。)

第1歩は「悩みを書き出すこと」

わたしが考える医療DXの第一歩は、まずはクリニック運営における「悩みを書き出す」ことです。これには多くの時間を割く必要があります。まずはひたすらに悩みを書き出すんです。この紙は絶対になくしてはいけません。後でとても使い道があるので。悩みを書き出すことで、後からDXの効果測定がしやすくなるのです。
使い古された表現ですが、PDCAサイクルの中でPlanが大切なのです。いきなりDoする人もいますが、まずはやってみて、考えるというやり方は早いのですが、外れも多く、組織運営には向きません。急にシステムを院長が導入すると宣言し、導入したらスタッフが混乱に陥る、なんて事例をたくさん見てきました。
まずはPlan作りのためには、ひたすら悩みを書き出すことが重要なのです。それも院長だけでなく、幹部スタッフも巻き込んで行うといいと思います。

クリニックにおける悩みとは?

しかし、「悩み」と一概に言っても、たくさんあります。たとえば、スタッフのこと、診療報酬のこと、税金のこと、患者のこと、システムのこと、待ち時間のこと、電話のこと、クレームのことなど、挙げたらきりがありません。クリニック経営には悩みがつきものです。経営者になると、とても多くの悩みを抱えることになります。
そこで便利なフレームワークとしては、「ヒト・モノ・カネ・情報」に分けて整理することです。先ほどの例を整理すると、

ヒト…患者、スタッフ、待ち時間、電話、クレーム
モノ…システム
カネ…税金
情報…診療報酬

院長の悩みの多くはヒトの悩み

たまたま悩みの多くがヒトに関することに集まってしまいました。これって本当にたまたま何でしょうか。実はこれ、たまたまではないんです。クリニックのサポートを20年間、3000件以上やってきたわたしが断言します。院長の悩みの9割はヒトの悩みなんです。
つまり、ヒトの悩みが減れば、もっと院長は幸せになれる。それくらいヒトが多くの問題をもたらすのです。だから、それをデジタルの力で何とかしたいというのが医療DXの原点であり、わたしが人生をかけて進めたいことなのです。

システムとヒトのすみわけ

システムは「疲れた」「休みたい」「給料上げろ」なんて言いません。24時間365日、電源さえあれば黙々と働いてくれるんです。たまに、トラブルは起こしますが、それも解決すれば、またまた黙々と働いてくれるんです。遺恨は残さずに。AIが日常的に利用できるようになった時代。システムとヒトのすみわけはとても大切なテーマです。(これはまた書きたいと思います。)
いずれにしても、システムを導入する前にまずは、悩みという院長の心の声に耳を傾けて欲しいのです。

(次回に続く)

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