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劇場閉鎖でも演劇は打てるか?学生演劇は続くのか?オンライン演劇を試演します!

こんにちは。絶賛引きこ森(引きこもりとあつ森をかけている)のモハです。本当は松橋百葉といいます。少し真面目な話をします。

この度、所属する大学のミュージカルサークルにて、ライブ配信の演劇公演『(ある・非・日常)の出来事』を主宰することになりました。経緯や思いや事後の分析などを、私含め座組一同でnoteのマガジンに記していこうと思います。

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ミュージカルサークルEM(以降EM)は、慶應義塾大学SFCという1学年800人の小さなキャンパスにある小規模のミュージカルサークルです。大体1学年10-15人くらいで、学園祭公演や1年生が主体で行う1年生公演、新歓公演、そして1年の集大成である3月公演を定期公演として行っています。殆どが大学の教室を頑張って目張りして行う教室公演ですが、3月公演ではキャパが50-70人規模くらいの小劇場を借りて公演を開催しています。
また、年によっては有志で学外公演を行ったり、人によっては外部の劇団に所属したりしているような、すさまじく強いサークルではないにしろ1年で何回も舞台を建てるような、そんな団体です。

今年も3月1週目に公演を打つ予定でした。しかし慶應義塾大学から団体活動の自粛要請が出た後、その他含め座組で話し合った結果、中止の判断となりました。このときはまだ、この脚本を新歓公演で使うだの、8月の公演で使うだの話していて、まさか公演が打てなくなるなんて予想だにしていませんでした。


4月になりました。

SFCでは学生に向けた学部長の簡潔で強い言葉が盛り上がっていましたが、状況としては大学は春学期前半までフルリモート授業、後半も怪しく、入学した新入生の入学式は中止になり、授業開始日程も後ろ倒しになりました。
各サークルは戸惑いながらTwitter上でそろりそろりと新歓をしています。EMでは私はもう執行代(中心になって運営する学年)ではないので、新歓に苦戦していそうだなあと横目で見ていました。しかし、EM同期とWebex飲み会をしていて、現状を改めて考えたところ、全くこの先の公演の見通しが立っていないのだ、ということにようやく気づいたのです。


3密の権化である小劇場演劇は、緊急事態宣言発令よりも前からバタバタと中止を迫られ、現在我々サークルのような団体からプロまで幅広く舞台公演が開催できない状況になっています。GW明けには…という話もありますが、ピークを過ぎたら一斉解禁!公演も自由にどうぞ!とはならないのではないかと予想しています。さらに今後2年は元の生活には戻らないという話もあります。
プロの劇団では過去公演の上映やグッズ販売をしたり、早い劇団はオンライン演劇を開催したりしています。オンラインビッグウェーブに乗った劇団立ち上げもぽつぽつ見るようになりました。

学生演劇の厳しいところは、新入生が加入しないと早くて1年後には殆ど公演が打てなくなるというところです。例えばEMは小さなサークルなので、新入生が入らないと今後ろくに公演が打てなくなるのではないかと危惧しています。
それなら頑張って宣伝して新入生を入れようとしても、公演の予定のない演劇サークルなんてテニスをしないテニスサークルと一緒で、すなわち演劇サークルは演劇を打ってなんぼだと思うのです。


ここで私個人の話になるのですが、私はサークル外では普段メイカーコミュニティに興味があって、メイカーとしての制作などを行いながら、人がものを作る機会や交流する場づくりをしています。その根底では、人がものを作る行為自体ががとても尊いものだと思っています。
学生演劇もそうです。演劇が打てないアマチュア団体は自然淘汰されていけばいいという厳しい意見もあると思います。しかし、演劇サークルは授業や研究でもできないことを大勢の有志で作り上げていく場と捉えることができるのではないでしょうか。学生が受け継いだ技術でひとつづつ作っていくものづくりの行為や、寸暇を惜しんで演劇のことを考えた日々を、手段が閉じられたからといって失ってしまうことが惜しくて仕方ないと思いました。


本題です。

以上の思いから、舞台を立てる以外の演劇の形態を模索するため、サークル有志でオンライン演劇を試演することにしました
また、私ごとですが舞台照明(とたまに宣伝美術)をずっとやってきた私にとっては、演劇を始めてから初めての主宰公演となります。

いわゆる普通の形式のミュージカルや演劇を打ってきた私達にとって、オンライン演劇はあまりにもその表現方法が違います。すでに早い劇団が行ったオンライン公演を見ましたが、舞台らしい音響も照明も美術もなく、役者と舞台空間の関係や観客と空間と時間を共有するということができないためか、周りを見る限り、好き嫌いが分かれているようです。

しかし、一度公演実施をサークル内で提案し、興味を持って集まってくれた座組の人たちと脚本の中身を実際に考えてみたところ、今まで深く考えずにも打ててきた「演劇とはなにか、演劇を定義する要素はなにか」などという話を座組全体で議論することができています。
例えば、演劇と映像の鑑賞者の視点の位置や見立て演技、リアルタイム性、編集有無、役者の身体性…また、チェルフィッチュが提唱している映像演劇の話や、研究会で輪読したベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」など…座組各人の演劇経験や研究分野がぶつかりあって、日々脚本会議と題しながら意見交換が止まりません。


今回、この取り組みを試作公演と位置づけました。
既存の形での公演開催が不可能な中で、学生演劇が生き残っていくための表現方法を考えていく、1回目の公演にしていこうと思います。

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公演概要

ミュージカルサークルEM 試作公演『(ある・非・日常)の出来事』
主宰 松橋百葉 / 作・演出 高橋宙

日程・開演時間
4月29(水)21:00開演(公演時間は約20分を予定しています)

配信ツール
YouTube Live(無料配信)

お問い合わせ
mail : micromeeeter[at]gmail.com (主宰・松橋)
HP : http://em.sfc.keio.ac.jp
Twitter : @EM_sfc #ある非日常の出来事 #EM試作公演

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