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山中カメラ「かぐや姫と富士山」(5日目)

朝起きると富士山は霞の中にいた。
かすかに見える富士山。本当は幻なのではないかと思わせる嘘みたいな大きさでぼんやりと、しかし確実にそこに存在していた。

幻のように浮かび上がる富士山

本日は、同じ東部地域のMAWに参加されているアーティストの木村若菜さんに紹介していただいた、坂田芳乃さん(アートと地域をつなぐアルテ・プラーサ代表)に「富士山を知るならまずは世界遺産センター!」と教えていただき、朝から富士宮の静岡県富士山世界遺産センターへ向かった。

富士山本宮浅間大社の隣にある。

坂茂設計。富士山の成り立ちから、自然、動物、富士山信仰に至るまで、すばらしい映像とインタラクティブな展示でとても勉強になりました。
入場料300円。写真撮影OKなエリアと禁止のエリアがある。

逆さ富士を「逆さ」にした建築
登山口付近の映像
五合目あたりの映像
富士頂上付近の映像
富士山頂の映像

建物の中は螺旋のスロープになっており、壁面スクリーン映し出される映像と音を体感しながら擬似的な富士登山が体験出来ます。
富士講の富士塚と同じであたかも富士山に登頂した気持ちなった。
昨日、富士山の近くを自転車で走りながら考えたことと同じで、「しずおか富士山音頭」(あくまで架空)を作るんだったら、こんな感じで風景が移り変わり、踊りを踊りながら富士山を登ったことに出来るようにしようと改めて思った。

「富士山信仰」の展示コーナーで2つとても気になる展示があった。
一つは伊勢に存在する「土路宮本富士講」という富士山信仰の集団。
ここの地域の女性たちは登山の無事を祈って、男たちが登山をしている間ずっと盆踊り(輪踊り)を踊り続けるという事が紹介されていた。
どのような踊りなのか?どんな音楽でどんな歌詞なのか?これはさらに詳しく調べてみたいと思った。

もう一つは、富士山とかぐや姫の関係。
富士山の御本尊は浅間大神(アサマノオオカミ)であるが、歴史の中で仏教の仏が習合したり、他の神様の別名があったりする(木花咲耶姫など)。
その一つがあの「かぐや姫」だというのだ。
富士山とかぐや姫が関係あるなんて思ってもみなかったので、このことをもっと詳しく調べてみたいと思い、近くの民俗資料館、郷土資料館を探したらお隣の富士市にその名も「富士山かぐや姫ミュージアム」という施設があるではないか!
夕方近くに車で30分ほどかけて富士市までやってきた。

富士市の「富士山かぐや姫ミュージアム

入場料無料、写真撮影もすべてOKという非常に太っ腹な施設で、全面的に富士山とかぐや姫を押し出しており、こじんまりとした施設ながら映像と照明を駆使したかなり凝った素晴らしい展示の数々に圧倒された。

こじんまりしていながら中はかなり凝った常設の展示施設がある
静岡(主に富士市)に伝わる数々のかぐや姫伝説を展示している
入場料無料とは思えない素晴らしい展示
写真撮影もすべてOKという太っ腹
フィギュアと照明を使った素晴らしい展示の数々
ライブラリーコーナも充実

静岡のかぐや姫は月には帰らず、富士山から来て富士山に帰って行く。
その時、求婚された帝と一緒に帰ったり、帝を残して自分一人で富士山に帰ったり、いろいろな説が紹介されていたのだが、
中でも、かぐや姫が富士山に帰る際、帝(おじいさんとおばあさんという説も有り)を一緒に連れて行けない代わりに「不死の薬」を帝に与えた。
しかし帝は「かぐや姫が存在しない世の中でいくら生きていても意味がない」とその「不死の薬」を富士山の山頂で燃やしてしまう。
だからこの山は富士(不死)の山と呼ばれることになったというのだ。

こんな話は初めて聞いたので大変びっくりした!
まだまだ知らない事が沢山あるなあ。
そして、「好きな人が存在しない世界で、永遠に生きることすらも意味がない」という物語の終わりが、とてつもなくロマンティックで切ないではないか!
「しずおか富士山音頭」(あくまで架空)はこのかぐや姫伝説がコンセプト、歌詞の中心になることだろう!

各地で音頭を作っていると必ずこのような必然が重なって奇跡的な歌詞と曲が出来ることがある。
それは私が音頭を創り出すのではなく、音頭が出来る瞬間に「立ち会う」とでも言うのだろうか。
今回の旅では、ほんの触りしか調べることが出来ないが、間違いなく素晴らしい音頭になる予感しかしない。
関係者の皆様!コロナ明けに静岡の新しい音頭いかがですか?制作依頼お待ちしています。

※おまけ
富士宮の富士山世界遺産センターを何時間もかけて鑑賞したので、休憩に偶然入った喫茶店がとても素敵だった。
「喫茶らんぶる」

渋い
この花柄のステッカーにしびれる
知らない街の知らない喫茶店に入るの好き

偶然居合わせたこのお店のファンだというお客さんと仲良くなり、ママさんにこの店の歴史やインテリア、ご家族のことなど色々お話をお聞きすることが出来て、ついつい長居してしまった。
昭和35年開業。今年で営業62年目!になるそう。

お客さんと共にお店の古い写真を見せていただく
個性的な照明。すべてピエール・カルダンだそうだ。
開店当時の古い写真。現在のお店より当時は奥行きがあり、店内に噴水や池があった様子が伺える。
ピエール・カルダンの照明とおしゃれなカウンター。
個性的なタイルの壁

こんな素敵な空間、お店、人がいることで、その街全体が好きになってしまう。
すでに私は静岡が大好きになっていました。


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