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澤隆志「なにかがおわって、なにかがはじまりそうにない生活空間、をズラす」(滞在まとめ)

みなさん同じでしょうが僕も12月は忙しい。お世話になった美術館には2023年の企みを話し、お世話になれそうな美術館には引き続き2022年の妄想の地固めをする。南の提案が受からなかったので、北のペンディングになっている提案に肉付けを打診し、チェンマイの友に謝って、ジョージアの友に色目を使う...
そんな最中のワーケーション。たまたまお話の機会があった「富士の山ビエンナーレ」の中の人、谷津倉さんの企みに共鳴し、もっとお話したいとおもっていた矢先であったのでこのプロジェクトは大変ありがたかったです! なので僕の場合、すでに発見した出会いをより豊かにするというミッション。加えて、サイクリングのポテンシャルの高い静岡県の路と人に出会うという2重構造になりました。短期滞在にしては、驚きも発見も多い一週間となったのでした。

まだ完全に中の人になっていないプロジェクトについて書けないので、妄想段階ということでご容赦ください。日本の、とある山間集落にアートイベントをインストールするとして、どのような解がありえるか。さらに空き家活用をテーマか手段にせざるを得ない場合に、僕になにができてなにができないか。そんなことを思いながら富士市を拠点に多くの方と対話ができました。なかでも、ホスト先となった日の出企画の山田知弘さんとは密な対話ができ、空き家活用に加え、相続案件にも専門性を持たれているので門外漢の僕としても有益、かつ日本中に代入可能かもしれないトピックを拝聴できました。

「あいちトリエンナーレ」のキュレーションを担当したり、大小多くの国内芸術祭を10年ほど視察体験して、街なか物件に作品をインストールしたり、大自然にぽつねんと立体作品が鎮座したりすることに驚かなくなってきている自分に気づく。むしろ、作品が入る前の建築物や風景についての興味が湧いてくる。これ、オープンアーキテクチャーのイベントにしたり、山岳ガイドやまち歩きガイドイベントでもよいのでは? って思ってしまう経験も正直ある。けっこうある。

そういう思いをもちながら、空き家活用について山田さんから生々しい事例を交えて興味深いお話をお聞きし、沼津市、三島市の蘇生物件、仮死物件(ワタシの表現です)を実際に見学させていただき、街のリアルを十分に体験できた。全国津々浦々の問題解決ができるつもりも意志もない、しがないキュレーターの身ではあるが、”だれかのなにかがおわった場所、この先なにかがはじまりそうにない場所”の価値と用途をスライドして、ご近所から小さな変化の火花を生み出すことに関して、おぼろげな絵が浮かんできたのでした...

サイクリングの軸についても、「目的地よりも道中を楽しむ文化」で再編集できることが数多く発見できたので、無理なく脱線できるようにしたいです。自転車の変速機をディレーラーといいます。de-railする機械。つまりチェーンをギアから脱線させて異なるギアに導く装置。このワーケーションの出会いが、来たるべき芸術祭の価値をディレイルするものとなっていたら嬉しいです!「これは!」と思うことあれば、気軽にメッセージお送りくださいね。takashi.sawa@gmail.com 

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