見出し画像

厳選投資を行うエイトローズが出資を決めた理由とは ~MicoworksシリーズA資金調達の舞台裏~

MicoworksのシリーズA資金調達におけるリード企業の一社である、Eight Roads Ventures Japan(以下、エイトローズ)さん。

BtoB/SaaS企業ならびにメディア分野を中心に投資を行うベンチャーキャピタル(VC)として著名であり、ヤプリやプレイド 、Kaizen Platformなど多くのSaaS企業を上場へ導いた実績を有しています。

パートナーの村田純一さんはForbes JAPAN掲載の「日本のベンチャー投資家ランキング2022」でトップ10に選出されています。

日本有数のVCであるエイトローズさんが今回なぜ、Micoworksに出資を決めたのか?

Eight Roads Ventures Japanパートナーの村田純一さん、同社アナリストの澤田風雅さん両名を迎えて、Micoworks代表の山田が対談形式で語りました。

「完全に油断していた」Micoworksとの出会い


Micoworks代表 山田修(以下、山田):
今回はありがたいことに、エイトローズさんからMicoworksに出資オファーをいただき、シリーズAの共同リードとしてご支援いただくことになり、大変光栄です。

村田さんはこれまでにたくさんの企業、経営者を見てこられたと思いますが、率直にMicoworksの第一印象はいかがでしたか?

Eight Roads Ventures Japan パートナー 村田純一さん(以下、村田さん):

正直にいうと山田さんと話すまでは、それほどMicoworksへの期待値は高くなかったんです。

以前から繋がりのある方からの紹介で山田さんとお話する流れになりまして、「30分でショートにお話しましょう」とお話してみると、開始3分ぐらいで「え、この会社めちゃくちゃ面白いやん。どういうこと?」と思って(笑)

ポジティブな意味での期待値ギャップが、相当ありました。
完全に油断してましたね。

Eight Roads Ventures Japan アナリスト 澤田風雅さん(以下、澤田さん):

ある日、村田さんから急にSlackメッセージが入りまして、「関西にとんでもない起業家を見つけた」と。その後僕も山田さんとお会いさせていただき、社内での議論も盛り上がり、意思決定までスムーズに進みました。


少数厳選のエイトローズがMicoworksに出資した理由


山田:

エイトローズさんには、2022年2月のシリーズA資金調達では共同リードとして参画いただきました。今回エイトローズさんはどうしてMicoworksに投資してくれたのか、その理由を教えてほしいです。

村田さん:
エイトローズがMicoworksへ投資した理由は3つあります。
一点目は、広大なマーケットポテンシャルです。

投資っていろんなスタイルがあるんです。多くの企業に分散投資するタイプや、投資する企業を絞って確実に大きくしたいタイプ。
エイトローズは完全に後者です。

僕は年間数百社の会社と会いますが、実際に投資するのはそのうち数社程度。だからご支援を決めた投資先企業には圧倒的に成功してもらわないと、ファンドとして成り立たないんですね。

そのためには、広大なマーケットにきちんと刺さるプロダクトがないといけない。

その点、Micoworksはものすごいマーケットポテンシャルを秘めてるんです。

MicoCloudが狙うマーケットは大きく3つあると捉えています。
一つは企業がお客さんとやりとりするコミュニケーションツール、
二つ目は顧客情報や行動データを管理して分析するマーケティングツール、三つ目は管理機能、決済機能を一気通貫でできるオペレーションプロセスを平準化させるツールです。

DD(デューデリジェンス)の過程で海外のマーケットを調べていくと、MicoCloudが狙う3つの市場、それぞれに複数のユニコーン企業がゴロゴロ存在している状況だったんですね。

それぞれがグローバルで急激に伸びている3つのマーケットに対してMicoworksは一社で全てアタックできる。

日本のマーケットに目を移すと、グローバルと比べて少し遅れていることもあって、ここの3つのエリアはほぼ空白地帯でした。だから、Micoworksは全てのマーケットにおいて一気通貫を狙えるビジネスチャンスが十分ある。

これはとても大きな発見で、僕たちも感嘆しました。

二つ目は、実行力です。
ありきたりですが、ビジネスを成功させる上で圧倒的に重要なのは言ったことをきちんとやり切るかどうか。

言ったことを実行するのは、意外と難しいんです。
なぜならまずは大きなことを言わないと、人は魅力的に感じないから。

しかし、結果的には、掲げたビジョンを実現する力があるかどうかが、会社の成功を左右します。

じゃあ、Micoworksはというと、トップである山田さんの実行スピードが非常に速い。周りの人をどんどん巻き込んで、ものすごいスピード感で物事を進めていきます。

僕も山田さんに引き込まれて、いつの間にかMicoworksの採用プロセスに巻き込まれていました。

「村田さん、今度採用ウェビナーやりませんか?」
「いや山田さん、僕まだ投資してないんで、、、。」
というやりとりもあったくらいです(笑)

それだけ社内外でいろんな人を巻き込みながら実現していくスピード感は、Micoworksの強みだと思いますね。


三つ目は、Micoworksの成長量ですね。
僕らは実は DD の過程の中で、会社がどれだけ変化しているかも見ています。

投資することになれば3年〜5年の期間を共にします。
当然、投資先の企業には成長を求めています。そして、事業としての成長はもちろんのこと、組織並びに経営陣の成長も大きく期待しています。

DDの過程である2〜3ヶ月間にどれだけ成長に向かえる変化があるか、結果的に見ることになります。

Micoworksは思考の深まりやプライオリティのセットなどの点において、短期間で目覚ましい進化がありました。それを受けて、僕らとしても「このチームに賭けてみよう」という思いを持つことができました。

投資を決めるには十分な材料でしたね。

Micoworksのチームに漂う「野武士感」


山田:
エイトローズさんは投資の過程でさまざまな企業を見てこられたと思います。Micoworksというチームの特徴や印象はいかがでしょうか?

村田さん:
チームとして「野武士感」が漂ってますね。

基本的にキャラクターやバックグラウンドはみんなバラバラ。
でも全体的にチューニングが合っているんです。

レスの速さやコミュニケーションのテンポ、思考の回転など、一貫した行動・思考パターンを全員が共有している。この点は非常にユニークだと感じています。

また、組織内での山田さんの立ち位置は絶妙ですよね。

山田さん一人が中央集権的にバシバシ決めているという形ではなく、基本的にはトップとして決断すべきことは山田さんが行い、その他のことは権限移譲して任せている。

でも現場に任せっぱなしということもなく、状況に応じて山田さん自身が末端まで入り込んで動くこともある。

サッカー選手でたとえると、フランス代表のエンゴロ・カンテ。神出鬼没でどこにいるかわからないけど、実はゲーム全体を支配してる。

会社のステージの変化と共にご自身も役割を少しずつ変えておられてるのかなと思いますが、社内での山田さんのポジションはMicoworksを語る上で外せない特徴です。

澤田さん:
山田さんの推進力は非常に際立っていて、まさに「ブルドーザー」のように物事を進めていきます。

山田さんが、グロースに対して真摯に向き合って、Micoworksを成長させるために何が足りていないのか、自問自答を繰り返していらっしゃる。

そして、社外の方々、我々や他のVC、投資家の方々、アドバイザーの方も含めて、ビジネスのトップを走る方々が数多くMicoworksに協力している。

その裏にあるのは山田さんがグロースジャンキーだから。

プロセスと向き合って足りないものを吸収しようとしていく姿勢を山田さん、そしてMicoworksというチームから強く感じました。

エイトローズがMicoworksに寄せる期待とは

山田:
エイトローズさんは、今後私たちMicoworksにどんな期待を寄せてくださっているのでしょうか。

村田さん:
僕らの投資先にはさまざまなタイプの企業があります。
「この企業は確実に安定して成長するだろう」とか、「この企業はタイミングがよければ、大きく伸びそう」とか。

そんな中でMicoworksは「この先どうなるかわからないけど、もしかしたらとんでもなく爆発しそう」という感じで、僕の中では捉えてます。

急いで上場したりしないで、焦らずに大きな企業価値に成長してから上場してほしいと思っています。

いつか山田さんから「村田さん、ごめんなさい。公募価格1000億ぐらいかなって思ってたんですけど3000億ついちゃいました」ってメッセージが来るような、そういう絵を想像させてくれる。

今はまだ「夢のまた夢」というような光景だけど、ものすごい飛距離を出してくれるかもしれない会社という印象を持ってます。

特大ホームランを期待してますね。

澤田さん:
感覚的な話ですが、Micoworksの経営メンバーのみなさんに今後会社フェーズが大きくなったとしてもきちんと経営判断をしていけるオーラを感じています。

仮に今のMicoworksの経営陣を紹介されて「時価総額3000億円規模の企業の経営メンバー」です、と言われてもしっくり来る。

人という観点からも時価総額3000億〜1兆円の企業クラスに到達できるポテンシャルを僕も同じく感じています。


村田さん:
もう一つ付け加えると、Micoworksが大阪発のスタートアップという点も僕にとっては意味が大きかったです。

僕自身、関西出身で地元に思い入れがあることも一つですが、Micoworksが大阪発スタートアップから今後日本を代表する会社になってくれれば、日本のスタートアップエコシステム全体にとっても意義が大きいと考えています。

日本のスタートアップ投資額はすごく伸びてるんですけど、いまだにスタートアップは東京一極集中の傾向があります。

海外に目を向けると、アメリカってシリコンバレーはもちろん、ボストン、シアトルなど、エコシステムの拠点が複数都市に存在しているんですね。中国も北京だけでなく上海、深センなど複数ある。

日本国内に東京だけでない「第2極」、違うやり方で成長してるスタートアップ拠点があった方が、日本のスタートアップエコシステム自体の堅牢性が上がると以前から考えていました。

だからこそ、大阪発のスタートアップであるMicoworksには絶対成功してもらいたいと思ってますし、そのために僕らができるサポートは全力でしたいなと考えています。

広大なマーケット開拓の鍵は、自律駆動型の組織


山田:
ありがとうございます。僕たちとしてもエイトローズさんの期待に応え、会社としてもさらにグロースしていく必要があると改めて感じています。

そのために、これからMicoworksが成長し続けていくために必要な要素とは何だと思われますか。

村田さん:
自律駆動型の組織づくりが必須だと思っています。

これからMicoworksは広大なマーケットに挑んでいきます。海外ではいくつもユニコーン企業が存在するマーケットに対して乗り込んでいく、しかも3つあるところに。

山田さん一人の頭ではとても対処しきれません。

今後とも成長し続けるには、小さな組織を複数つくり、それぞれが戦略を練って、最適解を考えながら有機的に動いてマーケットを開拓するやり方が必要だと思います。

小さな組織が独立して動いているものの、会社のメンバー全体が一貫した思考パターンを持ち、お互いを頼り合うピア意識を持っている状態。それを持って、会社としては一体として形をなす。
これが組織としての理想状態だと思います。

今のMicoworksは素養はあるけどまだ発展途上だと思ってます。

だから、今後社長と同じくらいの思考を持って、高い水準の意思決定をできるリーダータイプが集まると、マーケットの開拓もどんどん進むと思います。

そうなるとさっき話した時価総額3000億円みたいな話も現実味を帯びてくるのではないでしょうか。

澤田さん:
絶対にぶらさない方がいいのは、Micoworksのカルチャーに共鳴できる人を採用していくことだと思っています。

先ほど村田さんも言っていた「野武士感」というか、Micoworksのメンバーは全員が一貫した芯を持っている印象を持っています。「お客様のために行動する」というカスタマーサクセスの体現や、第三者からのアドバイスをすぐに行動に移すエンゲージメント の高さが、どのメンバーにも徹底しています。

カルチャーの浸透度は、競争優位性の元になると思ってますし、SaaSビジネスを考えたとき KPIにも現れてくるんですね。

顧客を思って行動をすることがチャーンレートを1%引き下げ、アップセルを数万円押し上げる。大きな成果を出してる会社はその積み重ねだと思うんです。

もちろん今後会社規模が大きくなるにつれて、さまざまなバックグラウンドやスキルセットを持った人にジョインしてもらうのは必要ですが、「Micoworksのカルチャーに共鳴できるか」という軸はぶらさず採用できると良いと思います。

山田:
自律駆動型の組織づくりや、自発的な行動を推進するカルチャーにはこだわっていきたいですね。

私は基本的に性善説に立って「制約条件がなければ、その人は必ずできる」という前提で、組織をつくっています。そのために、働く上での制約やルールを極力少なくして、一人ひとりが自律的に動き、最大のパフォーマンスを出せる環境を整えたい。

たとえば、メンバーのAさんがうまくワークできないときに、一方的に問い詰めるのではなく、「Aさんはどうしてパフォーマンスを発揮できないんだろうか。会社で解決できることはあるか。」と一緒に向き合って改善していく。

経営陣とメンバーがお互いに寄り添う組織は個人的に好きですし、目指したいと考えています。

村田さん:
ビジネスとは、大きな一つの目的に向かって、異なる役割を持ったメンバーが同時に動き、相互作用によって達成していく営みだと思っています。

サッカーのプレーで例えると、ボランチがボールを持ったときに、サイドバックが上がります。サイドバックがトップ下を駆け抜けてつくったスペースをフォワードが走り込む。それからパスが行って、クロスが行って、ゴールが決まる。

これって一つひとつの事象が別々のタイミングで起きてたら、全く意味がないわけですよ。異なる順番で起きてもゴールできない。

目的に向かってあらゆる部署のメンバーが動いて連鎖的につながることで、インパクトの大きい成果をスピード感をもって生み出していく。
そういう組織になってるといいですね。

山田:
世界のトップクラスで戦える組織にしていきたいと思ってます。
上をみるともっと大きなステージで戦っている起業家やチームはたくさんいます。
現状維持で満足するのではなく、僕たちも挑戦を続けていきたいですね。