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目標比120%、稼働率1.7倍 インサイドセールス組織が生まれ変わった3つのイネーブルメント施策

こんにちは!
Micoworksのセールス統括本部 インサイドセールス部でManagerを務めている浜田です。

私がマネージャーを務めているインサイドセールスチームは当時、以下のような課題を抱えていました。

× 1年未満の早期退職が相次いだ
× 業務経験者も成果が出ず、目標の最低達成率は50%

そんな状況でマネージャーに就任した私は「営業組織を強化・改善するための取り組み」つまり、イネーブルメント施策を実施し、以下までチーム状況を回復させることができました。

◎ 2023年1月~2024年6月にご入社いただいた方の定着率100%
OKR達成率の向上上昇、120%達成者も
某大手よりも充実したオンボーディングという評価を獲得
メンバーがビジョンに沿ったアクションが取れるように

本記事では、なぜこのような状況に陥り、そこから1年足らずで急速にチーム状況を改善することができたのか?施策の詳細について解説します。
インサイドセールスの組織特有のあるあるや、インサイドセールスに限らず、成果がふるわず成長の壁を感じているチームの方にお役に立つような内容になっています。

浜田 真考(はまだ まさたか)
セールス統括本部 インサイドセールス部 Manager
2022年3月に同志社大学卒業。同年4月にMicoworksに新卒入社し、インサイドセールスチームに配属。2023年1月からはインサイドセールスチームManagerに就任。
現在、12名のメンバーを率いてマネジメントおよびインサイドセールス業務を務める。


課題|早期退職が相次ぎ、目標達成率50%のメンバーも

まず前提である、Micoworksにおけるインサイドセールスチームの役割は「新規案件を創出すること」です。社内状況やビジネスの変化に伴ってKPIは変わっていますが、現在はパイプライン創出金額(※)をメインに追っています。
※案件化(具体提案フェーズに進行し、成約確度が一定水準担保された状態)した商談の、受注想定金額の総和

当時顕在化していた課題と周辺状況は以下のような内容でした。

▼当時のチーム状況
2022年1月頃
インサイドセールス組織立ち上げ期で採用を強化したものの、入社者の1年未満の早期退職が相次いだ
▼課題
入社者が増えチームは拡大するもパフォーマンスが出ず、1年未満での早期退職者が相次いで発生

当時の最重要KPIはアポイント獲得数です。目標に対してメンバーの達成率は50~60%ほどが目立っている状況。一方で、目標対比100~110%がアベレージになっているメンバーもいました。つまり、メンバーによって1.5~1.8倍のパフォーマンス乖離がある状態でした。

そして成果が出ていないメンバーを中心に、1年未満での早期退職者が相次いで発生してしまっていました。

要因|インサイドセールスならではの2大困難

これはまずい状態だ、と要因を探るため退職者へのヒアリングや上長、外部メンターへの壁打ち・相談をしていくと、大きく2つの組織的な課題が見えてきました。

成果面
そもそもパフォーマンスが出せていない
キャリア面
インサイドセールスという職種が抱えるモチベーション・キャリアの壁

まず1点目の"成果面"について、そもそも仕事はパフォーマンスが出ていないと楽しむのが難しいものです。つまり、パフォーマンスが出にくい環境になってしまっているのが、まず解決すべき課題だと捉えました。

もう2点目の"キャリア面"については、インサイドセールスという職種特有のあるあるのようなものでもあり、長期的に就業していただく上でも重要な側面です。

インサイドセールスは、フィールドセールスやカスタマーサクセス部門と違って業務が単調になりがちです。今でこそアポイントに至る手法の自由度は広がっていますが、当時はまだまだテレアポが中心のことも多く、業務だけを見た時に意義を見出しにくいですし、スキルアップにつながっている実感も掴みにくい。自分のキャリアに結びついているのか、疑問を持ちやすい職種であると考えています。

施策|成果の仕組み、キャリアの見える化、組織化

前述の要因2点に対して、改善の打ち手を検討し、【成果面】【キャリア面】【組織面】と3点に分けて、施策に取り組むこととしました。

タイミング的にも、会社として成長が加速するフェーズで、インサイドセールスが担う役割は拡大していく見込みでした。即戦力として採用した人材だけが生き残るチームになってしまうと、そう遠くないところで数字が頭打ちになることは想像でき、Micoworksの成長角度には追いつきません。

採用した全てのメンバーがハイパフォーマーとして活躍できる環境をつくり、同じビジョンを持った仲間と高い目標に取り組める環境を作らないと、と感じました。
よく言われる、「早く行きたいなら1人で行け、遠くに行きたいならみんなで行け」ですね。それに、早期に取り組んだほうが、その分後々にレバレッジが効くのでは、とも強く感じていました。

施策①【成果の仕組化】オンボーディングのアップデート

まずはパフォーマンスが上がっていない状況へテコ入れをするため、誰でも早期に立ち上がれるオンボーディングの整備をしました。

▼これまで
× 会社全体のオリエンテーションのみプログラム化されている状態

× インサイドセールスチームは、オンボーディングの大まかな目的や
 スケジュールは組んであるものの、具体的なカリキュラムは不在

× プログラムごとに、都度個別で指導

× Notionに時系列で箇条書きで共有

▼整備後
◎ 
オンボーディングのゴール、メンター、使用ツールなど事前に
  フォーマットに設定し、共通認識として常に掲示

◎ 全日分のスケジュールを子細に設定し、全日カリキュラム化

◎ Notionに各ステップごとにタスク化し、入社者が自発的に消化しやすい
  仕組みに

◎ 各ステップのインプット後はアウトプットが必須になるように
  デフォルト化する

基本的には、5~6時間/日のカリキュラムが用意されています。

入社●日目の欄を見ればインプットに必要な資料や動画が揃っており、上から実施していけば自動的にオンボーディングが進行する。学びのアウトプットやワーク・ロープレも既に予定としてセットされている。

整備は、インサイドセールスのオンボーディングで目指すゴールを設定するところからスタートしました。書籍やネット、SNSを駆使して情報収集し、社内での壁打ちを経て言語化したものです。

ゴールに向けて必要なスキルやマインドを洗い出してカリキュラム化し、所要時間ごとに日割、各カリキュラムに必要なコンテンツを作成し、スケジューリングしたものをNotionで見える化し整えました。

施策②【キャリアの見える化】個々がキャリアを描きやすい業務環境を

次に、キャリアの見えにくさから生じるモチベーションの低下を防ぐべく、キャリア醸成に取り組みました。実施したことは大きく2つです。

キャリア施策1.キャリアを描きやすいルール整備

まず、キャリアのロールを提示することが重要だと考えました。人は、中長期的なビジョンから逆算して今すべきことを認識できている状態だと、頑張れると考えたためです。

インサイドセールスのマネジメント、もしくはスペシャリストを目指すのか、他職種へのシフトも視野に入れるのか。
Micoworksの場合、フィールドセールスやカスタマーエグゼクティブ(CS)に挑戦したいメンバーもいたので、その道筋が開かれていることが見える状態が理想です。

そこで、社内でキャリアを展開する時のルールやチャレンジハードルを明確化しました。どういった条件が揃えば、次のグレードへのステップアップや他職種へのチャレンジができるのかを整理し、他部署の統括部長とすり合わせた上で言語化しました。

組織の状況も関わるため、ルールに適っていれば希望通りに運ぶわけでは決してありませんが、キャリアステップの目安が事前にあるとプランも立てやすいですし、キャリアに閉塞感がありません

キャリア施策2.キャリア説明会を実施し、共通認識を形成

キャリアを考える前段として「インサイドセールスでは今、何やるべきなのか」を明確化し、キャリア設計の種を誰もが持ってもらえるように資料化、説明会を実施しました。
伝えたことは以下のような内容です。

■ インサイドセールスの業務役割と解釈
■ インサイドセールス業務で得られる知見やスキル
■ 描けるキャリア(スペシャリスト・マネジメント・他職種への転向)
■ チャレンジの条件

一部抜粋。社内でチャレンジ可能なキャリアモデルを一部明示している。

インサイドセールスのスペシャリストや、マネジメントへのステップを明確にしたことに加え、他の職種にチャレンジするルートも示しました。インサイドセールスを極める以外にもキャリアはひらけていることを共通認識にし、固定観念なくWILLを持てる部門にすることをねらっています。

上記の説明会を踏まえて、今の業務とキャリアを紐付けするための1on1を、各メンバーと実施しています。現段階では仮置きでもいいので目指すキャリアを設定、目標設計し、足元何を頑張ればいいのかを言語化しました。

この会話をした後は、各メンバーの中に「今、目標達成に向けてワンコールする意義」が芽生えたのを感じました。明確に数にも反映されていて、1人当たりのアクション、稼働量が1.7倍になっています。

メンバー一人ひとりと半期ごとに目指す状態を資料化しすり合わせを実施

施策③【組織化】インサイドセールス業務の意義を浸透させる

次に、インサイドセールス組織そのものをまとめ、成長させる取り組みをしました。
前述した「早く行きたいなら1人で行け、遠くに行きたいならみんなで行け」を実現する組織を築くためです。

以下の流れで実施しました。

インサイドセールスメンバー全員でオフラインMTG

チームのミッション、ビジョン、バリューを策定

「Inside Sales Culture Deck」として資料化

まずはチームメンバー全員でオフラインMTGを実施し、「結局、インサイドセールスって何のためにやっているんだっけ?」と改めて問い直し、日々の具体業務とMicoworksのミッションとの乖離を埋めました。これによってチームの共通言語が定まり、ひとつひとつのアクションに意義が生まれたように感じます。

マネージャーが考えて共有することもできたと思うのですが、それではメンバーは理解するのみにとどまってしまうように思い、全員参加で作るスタイルで実施しました。

ワークやディスカッションを通して一緒に言葉を紡ぐことで、インサイドセールスチームのミッションとビジョンができ上がり、自分たちの存在意義や価値観が明確になったと感じます。
結果、チームの意志決定スピードが向上しています。

ディスカッションの場では自由に発言ができる空気をつくり、当事者同士が参加して内容を決定

前述した施策の2つである、オンボーディングの仕組み化や、キャリア醸成の仕組みは個人の成長に関わる部分なので、モチベーションに直結しやすい内容です。

ですが、Micoworksは当時急速な成長にエンジンをかけているところで、チームとしてもう一段ギアを上げられないと、目標達成に向けて踏ん張る力が足りないと感じていました。そのためにはチームとしての一体感がカンフル剤になるのでは、と感じ、チームMTGを実施しました。

成果|退職のストップ、OKR120%の達成

取り組みの結果、成果として以下のようなチーム状態になりました。

◎ 2023年1月~2024年6月にご入社いただいた方の定着率100%
◎ OKRの上昇、120%達成者も
◎ 某大手よりも充実したオンボーディングという評価を獲得
◎ メンバーがバリューに沿ったアクションが取れるように

冒頭に課題としてあった連続退職以降、2023年1月〜2024年6月にご入社いただいた方の定着率100%となっています。パフォーマンスに関わる数値も目に見えて改善され、入社後半年でOKR120%を達成するメンバーも

それは直接的にはオンボーディング整備の影響が強いと考えています。某大手SaaS企業から転職されて来た方から「前職よりもオンボーディングが整っている」との言葉をもらったことからも実感しています。

成果や仕組みの整備だけではなく、具体的にメンバーのアクションが変化しているのも、大きなポイントです。週次MTGや月次の1on1で自身を振り返る機会を設けているのですが、インサイドセールスのビジョンに沿った内容がメンバーから出てくるようになりました。

次への課題|育成と横展開

私は、マネージャーの仕事で一番大事なことは、メンバーが魅力的な職務経歴書を書けるような成果を残せているかということなのでは、と考えています。あくまでチームの数字を達成するのが前提ですが。

転職前提の話になってはしまうのですが、終身雇用制度が崩れている今、キャリアについて考えられるチームであることはかなり重要です。それに、メンバーひとりひとりが経歴書に書き残せるような結果を出しているからこそ、チームも目標達成ができています。

この考えが源泉になって今回の施策を実施できたと考えています。今後、よりインサイドセールスの組織として成長を続けるために次のチャレンジも見えてきました。

1点目は、次のマネジメントパーソンを育成することです。
現在のインサイドセールスチームは、ここまで記載した仕組み化・組織化をする中で集まったメンバーで、上記施策は私が主導して進めてきた部分が大多数を占めます。

たとえばチーム編成が変化した場合でも同じように成果を出し続けなくてはなりません。マネジメント層の育成のみならず、チームが自律して走れる体制にアップデートすることも同時に必要です。

2点目は、他セクションとの連携を取って、成功施策を展開したいと感じています。すべてをスライドするというよりは、成功した部分や要素をシェアするイメージですね。

Micoworksは成長する中で柔軟に変化を続けています。どのセクションでも早期の成果、キャリアの見える化、チームの共通認識を強く持つことは、組織の地盤を固めることにつながると感じています。

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