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「失恋したとき聴きたい曲」って頼りにならない

 WEBライティングをしていると、ネットにおける “万人ウケ” の重要性は避けて通れない道である。
 誰もが読みやすい平易な表現。言葉には装飾を施さない。小学校で習う「スピーチ原こうを作ろう」みたいな単純構造。

 体裁もそうだが、中身もなるべく万人ウケするほうが良い。8割の人がおよそ8割くらいの気持ちで「ああ~なるほどね」と思えるものを。
 3割の人にクリティカルヒットをかましとところで、半数以上に響かなかったら価値は下がるのだ。

 だからネットによくある「失恋したとき聴きたい曲」は頼りにならない。もしもわたしがそういう記事を書くとしたなら、スマホの中のプレイリストにある楽曲はまず載せない。

 じゃあどうするかといわれると、“失恋ソング おすすめ” でググって上位に出てきた曲のうち「ああ~なるほどね」と思ったものから参考にする。そこから少し深めていって、ある程度ウケそうな曲を探していく。
 まったく知らないアーティストの知らない曲を見ず知らずの他人に紹介されたところで、わたしが読み手だったらわざわざ聴こうとは思えないからだ。

 だから既存の記事には「Lovers Again」とか「会いたくて会いたくて」とかめちゃくちゃ多い。聴いて本気で泣くような人今どきいるのか?と正直思っているけれど。

 本当に好きで大事な曲は人に教えたくないものだ。わたしは至極私的なあの失恋で泣かされた歌詞を “万人ウケ” が必要な記事で紹介するほど、外の世界で生きていない。
「失恋したとき聴きたい曲」を過去に書いてきた人たちも、きっと1番のおすすめ曲は今もひっそり胸にしまっているはずだ。


 EXILEならわたしは断然「A leaf ~螺旋状のサヨナラ~」を推す。でもネットにはYouTubeのリンクすらないので、記事を書くなら「Lovers Again」、せめて「優しい光」くらいを選ぶはず。

 刺さるところにマーカー引いたらいつの間にか全部マーカーになってしまうほど歌詞が良い。ゆえにこの場でぜひとも引用したい一部を選べない。

 とはいえもちろん、わたしが「失恋したとき聴きたい曲」のナンバーワンも決してこれではないわけで。
 本当に大事なことは誰も教えてくれないせいか、本当に好きで大事なものは静かに胸に抱いていたいと思いがち。

 個人の感情問題は大衆向けに論理で書かれたネットの記事じゃ救えない。「失恋したとき聴きたい曲」のプレイリストは恋愛してない間に用意しておこう。


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