【読書】「沈黙のパレード」
東野圭吾さんの本です。少し前、2018年刊行ですが、先日BOOK OFFで見つけて購入しました。
東野圭吾さんの本は好きで、割とこれまでたくさん読んでいますが、最近はある程度パターンが読めてしまいちょっと遠のいていました。が、これはガリレオシリーズの新作ということなので、面白そうだと思い読んでみました。
ストーリーは・・・ある町の小さな定食屋の看板娘が失踪し、数年後遺体となって発見された。容疑者は23年前幼女殺害容疑で逮捕されたものの無罪になった男。しかし証拠不十分でまたしても釈放されてしまう。
その男への復讐劇は誰が、どのようにして遂げたのか?
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ドラマ化もされたガリレオシリーズということで、読んでいてもうおなじみの登場人物は全てドラマの俳優さんたちに置き換えられて読んでいました。
ただ、正直言うと期待しすぎてしまったのか、あまりこれまでの「ガリレオ」シリーズらしくなく、無理やり「ガリレオ」の登場人物にはめ込んでシリーズものにしてしまったような感じがしました。このお話はこの人たちでなくてもいいのでは?と。
以下ネタバレあります。
はじめの方は、黙秘を続けて無罪になった男の罪を解明していき罪を認めさせる話か、もしくは復習を遂げる人たちも同様に黙秘を続けることで罪に問われない、と言う皮肉を込めた話になるのか、などと思いましたが、ちょっと今回のトリックはあまり痛快な感じもなく、「そのトリックで本当に大丈夫?」と思ってしまうものでした。そもそも最初に男が殺された状況を警察の人間(科捜研含む)が誰も解明できなくて、湯川教授しか思いつかないなんてあるのかな?と。
それにこの真犯人は、過去作『希望の糸』の時と同じで、それまで伏線がなかったのに最後に真犯人もしくは解明者が全部説明してしまうパターン。
さらに今回はその真犯人も実は殺害していなかった、やっぱりあの男だったかも、と言う曖昧な終わり方。血痕がなくてバレッタに血の跡がないから殺害していないかも、とか、年月が経ってさらに男がいない今、もう解明しようがないのでは?
ある程度その作者の本を読んでいると、トリック云々ではなく、「こういう登場をしているこの人が犯人になるパターンが多い」とか思ってしまうんですよね。
だからそれはもう読み手側の問題で、この本も、ストーリーも人物描写もやはり読みやすいし、面白いのは間違いがないんです。
ただもう少し、罪を犯してしまう人の葛藤や、読み終わった後に読者の心に残る何かが欲しかったなと思います。