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縄文人ごっこ

こどもたちがまだ小さいとき、こどもたちに
1番うけた遊びが

「縄文人ごっこ」

だった。
これは、わたしが発明した。

ルールはただひとつ。

「意味のある言葉を言わない」

というものだ。

まだ言葉、というものが出来上がる前の、
大昔の人類のコミュニケーションを
まねっこするあそびで、
勝ち負けはないが、意味のある言葉を
言ってはだめ。

わたしと、babyちゃん(娘)と、boy(息子)
3人でごろり、と寝転がり、身振り手振りを
交えながら、何かについて話しているような
感じに見せるが、意味のある言葉は
言ってはいけないので、

「あーぅぃーなやしわかかかるーめんだい
もちゃはんさいんでぃーらやなっす〜」

みたいな感じで伝えようとする。

言葉に意味をもたせてはならないので、
自然と、顔で何かを表現しようとする。
縄文人は、表情筋がさぞかし、
発達していただろうなあ。

毎日、やれごはんだ、おふろだ、おしっこだ、
起きなさい、ねなさい、するの、しないの、
と口うるさくて意味のあるお話しかしない
おかあさんが、

「いみのあることば、きんし」

と言ってきたので、こどもたちは歓喜した。

今からおかあさんは、意味のある言葉を
言わない!
という安心感と、意味のないことばの響き、
がおかしくて、ずっと爆笑していた。

表現するほうは、
これは楽しい感じにしよう
とか、
酔っ払ってる感じにしよう
とか、
眠いけど寝ちゃだめ、みたいな感じにしよう
とかいろいろやってみる。

こどもたちも挑戦してみるが、
普段やり慣れないことなので、
難しいのか、恥ずかしいのか、長くは出来ず、
お母さんがやってよー
となり、自分たちは笑い転げているだけだ。

ちょっと前までは、君たちのほうが、
じょうずに出来ていたんだけどな。
言葉を使えるようになる前までは。


口から音を出しているだけ、という意識で
やるのだが、これが案外と難しい。

普段、意味のある言葉しか
使っていないので、それは禁止ね、と
なると、禁止禁止、と思っていても
口が勝手に、意味のある言葉を
作ってしまうのだ。

でも慣れてくると、発するほうも
おもしろくなってくる。

かわいい、と感じて自然に出る音の連なり。

かなしい、と感じて勝手に出る声。

いやだ、と感じたとき、喉の奥から
湧き上がる音。

表現するには、口先だけでなくて
喉も使うのだな。
逆にいうと、意味のある言葉があれば、
口先だけでコミュニケーションできてしまう。
文字なら、口を使わなくてもできてしまう。

など、いろいろ発見があった。

音を思うままに発していると、
なんだかなつかしいようなきもちにもなった。

ぜひ一度、やってみていただきたい。
こどものいないひとは、恋人やともだち、
家にいる人と。

全部近くにいないひとは、
ひとりでやってもいいとおもいます。

たのしくできるコツは、リラックスして
やることです。

それと、ごろん、と寝転がりながらする、
というのが、結構大事かもしれません。



momoro66さま
かわいいイラストを使わせてもらいました。
ありがとうございました!

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