ブッコロスTシャツ

墓が神戸にあるので、墓参りついでに
神戸の高架下をぶらぶらするのが
恒例になっている。
靴屋、古着屋、カバン屋、電気屋など
所狭しとお店が連なるなか、
おもしろTシャツの店を見つける。

高架下にしては割と大きな店だ。
店員は年配の女性2人。
親子のようだ。1人は70代、1人は50代と
いったところか。

おもしろTシャツは一体何枚あるかわからないほどある。いろいろな文字が目に飛び込んで
きて、見ているだけでたのしい。
たのしいというか、、苦笑いだ。

酒しか信じない
褒められて伸びるタイプです
とりあえずビール
虚弱体質
ダイエットは明日から
我が生涯に一遍の悔いなし
金曜から本気だす
もう限界

などなど。
あははたのしいね、
と通り過ぎようとしたところ、14歳のboyが
動かず一点を見つめている。

あ。
欲しいのが、あったんやね。

どしたん、と聞くと
「かわいい。これ。欲しい。」
と一枚を指差す。
見れば、無表情だがかわいらしいネコ
(忍者ハットリ君似)のイラストの上に
「ブッコロス」
とかいてある。
うん。
ブッコロスか。

学校も行ってないし、友達もいないので
着るものも無頓着なboyである。
服が欲しいという事も珍しいことだ。
一考しよう、と思い、サイズや色違いを見ようと店内へ。

客は私達しか居なく、すぐさま娘らしき方が
接客にきた。
「これ、にんきあるね。かわいね。おにいちゃん、このパーカーのしたにブッコロス、いいね。にあうねブッコロス。」

ブッコロスブッコロス連発だ。
親子らしき店員はどうやら中国の方のようだ。

はるばる中国からやってきたのか、ずっと
日本にいらっしゃるのかしらんが
とにかく、日本語のおもしろさとおかしみ
だけを服にデザインしたものを売って
やっていこう、というその心意気と肝の太さ
たるや。
日本人として背筋が伸びる。

ブッコロスTシャツは白も黒もあり、boyは
白地に黒のネコのやつを選んだ。
嬉しそうな我が息子をみて満足。

boyは今日も元気にブッコロスTを着て
家に居る。