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鰻の蒲焼に関する一考察

(この文は日本の事物紹介web Picture Book of Japanに英語で掲載した内容を加筆訂正したものです。picturejapan.com

鰻の蒲焼は日本人が大好きな食べ物の一つです。醤油を使った甘めのタレをつけて割いて平たくした鰻を焼き、白米のご飯の上にのせて食べるのが一般的です。鰻を焼くときに香ばしい香りが漂います。 一説によると、うなぎの蒲焼きは15世紀ごろから食べられてきたそうです。 日本人に長く愛されてきた料理です。

江戸時代には鰻や鰻の蒲焼も落語に登場しました。 例えば貧乏人が鰻の蒲焼きの匂いだけで飯を食べる話や、ある鰻屋の店主が店から逃げ出したぬるぬるする鰻を捕まえたまま、歩き回る話があります。 どこに行くのかと問われると「鰻に聞いてくれ」と答えます。ともかくも鰻の蒲焼はご馳走と考えられていました。

現在、日本で消費されている鰻のほとんどは日本で養殖されたものか中国産のものですが、日本の天然の鰻も存在します。 それは味が良いと言われていますが、私は正直よく分かりません。 むしろかば焼きの味は焼き方、蒸し方、タレの質に大きく左右されるようです。 つまり、料理人の腕で決まるのではないでしょうか。

東京に、いつも客で賑わう人気の小さなうなぎ店がありました。この店、 鰻の蒲焼きの調理に時間がかかります。 店の入り口には「調理に時間がかかります。すぐに料理を出すように急かさないでください。急かされると調理を止める場合があります」と書かれた紙が貼られていました。 ある日、この貼り紙を見なかったと思われる客が、料理がなかなか出ないことにしびれをきらし店員に早く出すように言いました。 そこにいた他の客の間に一瞬緊張が走りました。皆、怒った大物の料理人が出て来て客を怒るかもしれないと思ったのです。 ところが数分後、優しそうな顔の青年が笑顔で蒲焼きを持って現れて、そのお客に料理が遅くなったことを丁寧に謝りました。いずれにしても 日本人はおいしい食べ物なら辛抱強く待ちます。

ああ、鰻の蒲焼きが食べたい! (独り言)

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