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学校の登校時間について

はじめに

先生方の学校では、児童生徒の登校時間は何時ごろでしょうか?
ぼくの経験上、おおよそ7:45ごろに開校し、8:15分を過ぎたら遅刻となっています。全国的にも、そのような時程で動いている学校がほとんどではないでしょうか?
しかし、このような現状は以下の2つの点で問題があります。

1.職員の勤務時間外の登校が常態化している
2.児童生徒の対応のため、職員の前残業が常態化している可能性がある

そのため、上記のような時程の学校であれば、児童生徒の登校時間をさらに後にズラし8:00~8:30ごろに設定(8:30が遅刻の基準時刻)すべきではないかと考えています。今回の記事では、その点について考察していきます。


現状の分析

まず、登校の早い子だと7:30ごろには玄関前で待っている子がおり、8時前には玄関を開放している様子が見られます。しかし、その時間は職員の勤務時間外であり、児童生徒への対応は基本的にできません(※給特法により、時間外勤務は認められていない)。ただ、『独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程』によると、通常の経路および方法により通学する場合「通学するとき」「登校中」「下校中」は学校の管理下であり、災害給付の対象となっています。
ただし、2017年の中央教育審議会において「登下校の見守りは自治体の業務」と結論を出しています。つまり、学校の管理下ではあるが、教職員が見守らないといけないということではないのです。

独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程

本資料で根拠としているのは、特に『4 通常の経路及び方法による通学(園)中』の部分です。ただし、これらはあくまでも『独立行政法人スポーツ振興センター』の保証の範囲の話であって、公務員として従う必要のある法(憲法、法律、政令、省令、教育委員会の定める規則)でないことにも留意する必要はあります。
しかし、自治体が登下校中の児童を見守っているかは不透明であることから、責任の所在ではなく、安全管理上とても看過できない状態であると考えられます。また、朝早くから登校している児童生徒への対応が日常的に発生しているという現状により、一部教職員の前残業が常態化しているという実態もあるでしょう。
そのため、児童生徒の登校時間をズラすことは必須です。ただし、実際に時程をズラす際には以下のようなメリット・デメリットが考えられます。

≪メリット≫
① 職員の勤務時間外に児童がいる、という安全面での危惧が少なくなる
② 職員の前残業の常態化を防げる

≪デメリット≫
① 保護者の理解を得る必要がある
② 学校の時程表を見直す必要がある

当然、上記のメリットを享受するためにもこの登校時間の見直しは必須だと思います。ただし、デメリットを無視することもできません。そこで、以下、デメリットへの対応策まで述べてみます。

デメリットへの対応策

①保護者の理解を得る必要がある

上記で示したことから「安全管理上必要な措置である」と学校が判断したことを周知しましょう。公文を出すことも必要になります(※下記参照)。
100%の家庭から許可が得られるわけではないだろうし、反発の声も当然予想されます。しかし、学校の時程表は校長裁量で決めることができ、なにより児童生徒の安全面から必要であることを示せば、理解を示してくれる保護者が大多数である考えます。

登校時刻の変更に伴う公文例

②学校の時程表を見直す必要がある

上記の提案通り8:30を遅刻の基準時刻とすると、時程が全体的に後ろにズレ、登校時間もそれに伴い遅れる計算になります。そのため、各学校の実態に合わせ「朝の時間を削る」「休み時間の短縮」といった工夫により、時程の調整が必要になることが予想されます。そして、その調整が難しいため、この提案が通りづらくなる可能性も危惧されます。
しかし、本提案は「児童生徒の安全面の確保」を最重要事項として考えたときには必須です。ここにその点を強く主張し、登校時間の見直しについては積極的に検討すべきと考えます。(※各学校の実態により調整の仕方は無数にあるので、ここでの具体案は割愛)

さいごに

いかがでしょうか?
今回の記事では、登校時間の見直しについて検討してみました。結論としては、教員の残業が常態化し、安全管理上問題も大きいことから、登校時間をもっと後にズラしていければという提案です。
このような提案はとても大変なように感じますが、実際には学校長の裁量1つでいつでも変更できるものです。行政の動きを待っていても、こうした現状が解消されることはほぼありません。気づいた先生方から声をあげていくしかないのです。
学校で働く先生方が、適切な職場環境を実現していくには、こうしたところの見直しは必要だと個人的には考えています。ぜひ一度、ご自身の勤務校の実態と照らし合わせて、考えられてみてください。


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