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ビジネスフレームワーク「組織統制モデル」前編

はじめに

私は、中小企業診断士として経営コンサルをしていることもあり、企業を俯瞰して分析する機会が多々あります。分析の際、一般的なフレームワークを活用することが多々ありますが、状況によってはオリジナルのフレームワークを用いて思考する場合もあります。
最近、バリューチェーンフレームワークを応用して少し面白いフレームワークを作りました。せっかくなので、紹介させていただきます。

フレームワーク「組織統制モデル」

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今回紹介するフレームワークです。(Image 01)
組織全体をピラミッド構造で表現しています。いまのところ、ピンとくるネーミングがないため仮名として「組織統制モデル」と呼ぶことにします。
この組織統制モデルですが、バリューチェーンフレームワークにピラミッド構造を追加したものになります。

一般的なバリューチェーンフレームワークはこちらですね。(Image 02)

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下の段に主活動として、組織の機能が順に並んでいきます。例えば、営業→設計→製造→販売などの順番です。そして、上段には主活動を支える支援活動として財務会計やシステムなどが並びます。

今回、私が表現したフレームワークは、このバリューチェーンにピラミッド構造を組み合わせたものになります。

組織の基本はピラミッド構造

「組織は戦略に従う」という言葉があります。アルフレッド・チャンドラー教授の考え方です。私もこの考え方に共感しているタイプです。何よりも最初に戦略があるべきで、その戦略に沿って組織設計を行う必要があると考えています。最近では、「ティール組織」なんかが注目されていますが、実際には「ティール組織」に到達することは非常に難しく、まだまだヒエラルキー構造の旧来型の組織ばかりだと思います。
私が表現したフレームワークは、組織全体を統制する情報の流れをプラミッド構造に置き換えて、組織を機能単位で分析するものになります。

もう少しわかりやすい表現に変換します。

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製造業を例として、各層に部署名をマッピングしました。

Strategy層:経営者
Support / Control層:総務、人事、財務、システム
IPO層:営業、設計、製造、品質保証、物流、販売

組織統制モデルとしては、この3層構造にしています。これらについて順番に解説していきます。

Strategy層

ピラミッド構造の最上位は、Strategy層として経営者をマッピングしています。経営者は組織全体に対して旗振りをする存在ですし、企業の全体戦略を立案する役割をもっています。よって経営者をピラミッドの頂点に配置しています。情報の流れとしても、頂点からピラミッド全体に指示をだすイメージになります。(Image 04)

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IPO層

次にピラミッドの土台を支えるIPO層を説明します。念のため説明しておくとIPOとは、Input、Process、Outputの頭文字をとった略語です。バリューチェーンフレームワークでいう主活動の領域になります。
バリューチェーンフレームワークでは、価値連鎖の分析を目的にしているため、機能単位で横に並べます。対して、こちらのフレームワークも考え方は同じなのですが、抽象化して表現しているためInput、Process、Outputでまとめています。このIPOの視点を用いることで、組織をより俯瞰的に見るきっかけを作っています。また、「利益を創出し企業を支える」という意味合いも込めてピラミッド最下層の土台に配置してあります。(Image 05)

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この例でいくと、Inputとして営業と設計が協力して製品の受注を得ます。それをProcessにおいて製造がモノづくりを行い、品質保証が品質のコントロールを行います。Outputとして、製品を物流が輸送し、販売するという流れです。

Support / Control層

最後は真ん中にマッピングされたSupport /Control層についてです。個人事業主や小規模企業の場合は、組織の構成人数が1人だったり、数人だったりしますので、ピラミッド構造を意識することはないと思います。しかし、企業規模が大きくなり、従業員数が増えてくると、機能別に組織を設計する必要がでてきます。機能別の組織を制御するためには情報統制が必要となりますが、企業規模が大きくなるにつれて社長がすべてをコントロールすることは不可能になります。結果として、Strategy層の経営者とIPO層の機能組織を繋げるSupport / Control層が必要になります。
Support / Control層は、バリューチェーンフレームワークの考え方と同じで主活動となるIPO層のサポートやコントロールを行います。ただ、本フレームワークである組織統制モデルはただサポートするのではなく、ピラミッド構造における情報統制としてStrategy層の戦略を周知させる「情報発信」の機能と、戦略策定に必要となる「情報収集」の機能を備えているという考え方を用います。
「情報発信」のイメージは、(Image 04)になり、「情報収集」のイメージは、下図の(Image 06)になります。

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少し長くなってしまったので、今回はここまでにさせて頂きます。
続きはこちらです。


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