次世代の人事戦略を考える3 (企業と従業員の共感)

前回の続きになりますが、次世代の人事戦略として「企業ニーズと従業員ニーズのマッチング」や、「企業と従業員の共感」が有効だと思います。今回は「企業と従業員の共感」について私の考えをまとめてみたいと思います。なお、下記が関連記事になります。

「企業と従業員の共感」とは
簡単に言うと、こだわり抜いた「経営理念」「経営目標」「経営方針」を共有するといったことになります。
古典的な理論ですが、チェスターバーナードが提唱する「組織の成立要件」というものがあります。組織の成立には「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」が必要であるという理論です。私も日々の管理で意識しているのですが、この理論が非常に実践で有効です。そして、雇用の流動化と働き方の多様化が進むにつれて、この「共通目的」の重要度が今まで以上に高まるとも思います。今回はそんな話です。

ギルド化が進んでいる
参考までに、最近はフリーランスや独立士業の方々が横の繋がりでコミュニティを作り、チームで仕事をこなすケースが増えています。個人事業主以上、会社員未満のようなビジネスの仕方です。ギルドなどと表現されています。また、企業勤めの方も副業としてギルドに集まるケースも出てきています。企業勤めであっても一定の時間を確保することができれば、その範囲内でチームを形成し数人でビジネスを成立させることも可能です。雇用の流動化により、今後は会社員とフリーランスの境界線があいまいになっていくのかもしれません。
ギルド的な仕事の仕方をしている方々は、今のところフリーランスや士業が多いのではないでしょうか。そもそも、それなりの能力があり、企業に属さなくても生活ができている方々です。そのような方々が一緒に仕事をする上で重要視するのは「仕事のクオリティ」や「仕事への考え方」「連携のメリット」など、ビジネスにおける「共感」だと思います。一緒に働く仲間を選ぶ上でとても重要だと思います。

価値観の多様化を結びつける「共感」
企業経営とギルド運営を正面から比較するのはナンセンスですが、参考になる部分はあります。雇用の流動性が高まる現代で、企業が雇用条件以外で労働者を引き付けるのはギルドの説明でも触れた「共感」だと思います。「会社の考え方が素晴らしい」「とても将来性のある魅力的な事業だ」「会社の仲間みんなが前向きで仕事が楽しい」などなど、今後は「共感」が企業の魅力として今まで以上に重要視されると思います。競合と雇用条件で差を出せないなら、「共感」で差をつけることが優秀な人材の確保につながると思います。ギルドは個人同士が「共感」で繋がっていくのに対して、企業は「共感」が生まれるように意図的に仕組んでいく必要があると思います。
「共感」を生むために必要なのが、こだわり抜いた「経営理念」「経営目標」「経営方針」などだと思います。「共感」などと大げさに言っていますが、チェスターバーナードが提唱する「組織の成立要件」と同じです。会社のビジョンを明確に提示し、そこに「共感」を感じる従業員と組織的な一体感を醸成していく。極端なことをいうと「共感」を感じない労働者は採用しないという考え方もあります。そうしたときに、前回触れた「必要な人材の明確化」にも繋がってくると思います。

3回に分けて、次世代の人事戦略について個人的な考えをまとめてみました。実際のコンサルでは企業の状況によって選択肢は大きく変わります。そのため、今回の内容は流動化が進む雇用環境に対するアプローチの1つだと考えて下さい。
長くなりましたので、ここまでにさせて頂きます。最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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