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航空会社の決算資料の読み方をChat GPTに指示してみる


はじめに

前回の記事にて人力で分析した結果を、Chat GPTに実施させてみました。調査業務をChat GPTがどこまで担えるかを実験するものです。

前提として、Chat GPTに丸投げでは分析ができないことはわかっているため、ある程度の分析の方向性を指示し、適宜起動修正して分析を進めてもらいます。

1)必要データの読み込み

ファイルと分析方針を提示

ひとまず、全体の分析を指示してみますが、営業利益が書かれている対象ページを特定できなさそうなので、具体的なページを指示してあげます。特定できなかった理由は、営業利益=EBITと読み替えられなかったためでした。

読み込むページを具体的に指示

指示し直したことで、適切なデータにたどり着けました。企業のPDFファイルは構造化されていないデータだったり、表記が揺れていることで分析を妨げそうです。

2)売上高の分析

売上の分析を指示

国際旅客収入の増加によるものだと認識

ここから、国際線旅客収入の増加の要因の考察を依頼しましたが、うまくできませんでした。EBIT同様に、ページ名を指定しないと、分析の材料となるデータにたどり着きませんでした。定量的な分析を指示しないと、すぐに定性的な情報に頼ろうとするのが悪いクセです。

定性的な記述を抽出してお茶を濁そうとするので中断

ここまで指示をして、国際線の単価増加に気がつけました。

3)分析結果のプレゼンテーション化

分析結果をまとめてもらいましたが、数字が誤っていたり、グラフが見にくかったので修正を指示してアウトプットを繰り返しました。結局EBITの値は自己修正できなかったので、数値を直接指示しました。


Chat GPTのプレゼンテーション

1. EBITの変化

概要:

  • 2024年3月期 第1四半期のEBITは、2019年3月期 第1四半期と比較して大幅に増加しました。

詳細:

  • 2019年3月期 第1四半期のEBITは25億円でしたが、2024年3月期 第1四半期には120億円まで増加しました。これは、5年間でEBITが約5倍に増加したことを意味します。

2. 売上収益および主要な費用の変化

概要:

  • 売上収益はわずかに増加しました。

  • 燃油費も増加しましたが、その他の費用は大きく増加していません。

詳細:

  • 売上収益は、2019年3月期 第1四半期の3500億円から、2024年3月期 第1四半期の3826億円へと増加しました。

  • 燃油費は、637億円から795億円に増加しましたが、その他の費用(燃油費以外の費用)は、2848億円から2911億円にわずかに増加しました。

3. 国際旅客収入が増加した理由

概要:

  • 有償旅客数とRPKが減少しているにも関わらず、旅客収入が増加しました。

詳細:

  • この増加の主な理由は、単価の大幅な増加です。単価は、2019年3月期 第1四半期の53,768円から、2024年3月期 第1四半期には93,892円に増加しました。これは、航空券の価格上昇や、プレミアムクラスの席の販売増加、付加価値の高いサービスの提供など、さまざまな要因が考えられます。


おわりに

まだJALの分析のみ、かつ市況影響の分析などはできていませんが、限界も見えたのでここでとどめました。

レベルとしては、コンサルティングファームのアナリストクラス(一番下のレベル)くらいかなという印象です。理由としては、

  • ファクトの抽出は指示されればできるが、正確性は担保できない

  • 上司の方向性の提示があれば、抽出したファクトの分析ができる(自分一人ではできない)

  • 上司の指示があれば、簡単なプレゼンテーションのまとめをできる(自分一人ではできない)

からです。コンサルタントクラス(アナリストの一つ上)になるには、自分一人でできるようになる必要があります。ただし、プレゼンテーションの内容・見せ方はかなり下手くそなので、アナリストとしてもレベルは低いかなと思いました。

参考記事


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