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【経営】キーエンスの秘密③直販営業

キーエンスの秘密第3弾です。今回は、どのビジネスにも重要な営業についてです。

はじめに、私は営業を経験していません

これまでの記事にも記載したのですが、私は理系採用の本社で企画・開発部門に所属していましたので、営業という職種を担当していません。

ただ、開発をする中で、営業担当とお客さんを訪問することはしょっちゅうですし、企画に至っては直接お客さんとコンタクトを取り、電話や訪問でニーズを確認したりします。

これらの職種を通じて、私なりにキーエンスにおける営業の仕組みについて、記したいと思います。


なぜ直販営業なのか?

まず、キーエンスの商品はあちこちで購入することができません。メーカであるキーエンスのみです。しかも営業担当が直接訪問し、その必要性などを確認してからになります。

ですから、競合他社にとっては入手しにくい状況と思います。もちろん、お客さんが競合に流してしまうこともあるのですが。

直販体制を採用している理由としては、以下のようなことが考えられます。

・営業担当が商品知識をダイレクトに習得でき、それをお客さんに伝えることができる。

・価格のコントロールがやりやすい(値引きの抑制など)。

・顧客ニーズを直接確認することができる。(お客さんの顔が見える)

・メーカが顧客リストを直接得て把握することができる。

商社の営業マンのように、いろんなメーカの商品を扱うのではなく、自社の担当する商品のみに特化する、こういう仕組みにより、最大の効果(利益)を出しているのです。


営業担当の動きは?

営業担当の動きを見てみましょう。まず、営業担当は機種(担当する商品)とテリトリ(地域)が割り振られます。

つまり、あるお客AさんがXという商品がほしい!となると、キーエンスにおける担当は1人特定できるようになっています。

営業担当は半期(6ヶ月)や四半期(3ヶ月)、月ごとに目標設定をしています。内容は"売上"ではなく"営業成果"という数字です。

これは、本社から商品を仕入れ、営業担当が販売した価格の差分のことをいいます。

営業成果 = 売上 - 本社からの仕入れ値

ある期間ごとに営業成果の目標がありますが、その達成に向かって営業活動をするわけです。


1ヶ月は暦の影響を受けて、月によって稼働日が異なります。

毎月の平均稼働日はだいたい20日、そのうち11日くらいを外出します。それ以外の日は内勤。外出の日のアポイントを取ったり、チームで外出している人のフォローをしたり、外部からの問い合わせの対応を行います。

1日あたりの外出件数は5-6件(取り扱い商品やテリトリによります)。しかも効率よく回ることができるように、移動を少なくするなどできるだけ"成果"に結びつく動きをします。

上記内容をまとめると、1ヶ月に60件程度の訪問をするわけです。ネットやニュースでカタログ請求があったお客さん、以前から引き合いがあり交渉中のお客さん、いつか導入してもらいたい攻略先のお客さんなど、バランスを考え営業していきます。

1回の商談は数ヶ月に渡ることもありますので、一概に表現しにくいですが、上記60件のうち、商談が1/3あがると20件、その内6-8件程度が売れるという感覚だと思います。1回の商談単価は、取り扱い商品に異なり、売上で数10万円から1000万円程度でしょう。

単価が安い商品というのは、後々リピートが期待できます。つまりストック収益になるんですね。ですから当月が目標すべてでなくても、過去に積み上げてきたリピートで目標の一部がまかなえます。突然の転勤でリセットされたりするのですが…(転勤先でのリピート会社はもらえます)。


営業に限らず、全員が当たり前に仕事をしている

キーエンス全体に言えることですが、利益率が高い、お給料がいいのは、全員が仕事の時間はしっかり仕事をしているからです。これって当たり前のことなのですが、一般的な会社員は「いかにさぼろうか」とか「給料分しか仕事しない」とかしか考えていないんですね。

キーエンスでは、仕事は仕事、プライベートはプライベートと分けています。ですから、仕事中に個人スマホは見れませんので、株価のチェックもLINEの返信もできません。

余談ですが、キーエンス時代、ドラマや映画を見ていて、お仕事中に個人スマホを見るシーンがあると、テレビ画面に突っ込む自分がいました。

このように、仕事の時間は仕事に集中することで、最大の成果が出せるわけです。

私は企画開発の立場で、営業同行をかなりの件数実施してきました。多くの営業担当と接してきましたが、みなさんとても楽しそうです。もちろん目標やキツイ状況は多々あるのですが、その環境を楽しんでいるのです。

また、普段入ることのできない現場に入ることができます。大手ですと、トヨタ自動車、パナソニック、森永製菓などのよく耳にする会社や、海外ですとボッシュ、フォルクスワーゲン、大手製薬会社などに実際に訪問しました。


お客さんは法人、つまりBtoBビジネス

キーエンスにおけるビジネス成功の別のポイントとして、法人を相手にしていることが挙げられます。法人営業なので、とてもやりやすい点がいくつかあります。

・その法人にとって、金額換算できるメリットが提案できる。

・採用を決める担当者の個人の懐は関係ない。

・採用が決まると、安定して継続した売上となることが多い。

・(デメリット)説得しないといけない人が多くなる傾向がある。


営業にまつわるいろんなウワサ

最後に、キーエンス営業について世間でいろんなウワサがあるようです。ここにない項目で気になることがありましたら、コメントをお願いします。

①車にGPSなどが搭載されて監視されている

   はい。GPS以外にドライブレコーダー、ETCカードの通過時間などもすべてチェックされています。ただ、ルールを守り堂々とお仕事すれば何の問題もありません。

②電話は録音されている

   はい。すべて録音されています。電話件数や時間などもカウントされています。

③飛ばしている営業車はキーエンスだ

   ケースバイケースですかね。他の会社の飛ばしている営業車もあると思います。事故は一定確率で起こってしまうので、会社としてはそれを抑制するため安全運転を指示しています。

ちなみに、スピード違反などで捕まると、それは個人の責任。運転免許証もなくなってしまうケースもあり、車で営業ができなくなり、成果が出せないこともあります。どうしてもデモ機などを運ばないといけないので、これだけは避けるべきです。


次回は、別の職種について書きたいと思います。

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