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ちょいちょい書くかもしれない日記(乗り換え)

正直、東大阪にある歯医者さんに行くより、東京に行くほうが気が楽なのである。
私は、電車の乗り換えがあまり好きではない。
立ったり座ったり、ホームで次の電車を待ったりというのが、どうにも苦手なのだ。
東京へ行くときは、在来線は馴染みの路線でしかも1本、そして新幹線に乗ってしまえば、東京駅に勝手に到着してくれる。
こんなに楽でありがたいことはない。
とはいえ、そこから目的地まではちょっと大変だ。
慣れない土地では、土地勘がないせいで、常に「この電車で合っているんだろうか……」と不安な気持ちでいる。
それに、在来線の乗り換えが多いと、それぞれに混んでいたり空いていたり、車内の空気がちょっと臭かったり、ホームのどこに並ぶのがよかろうかとウロウロしたり、とにかく色々と気疲れしてしまうのだ。
歯医者さんの最寄り駅までは、在来線を3本乗り継ぐ。
3本が私には限界である。
駅から歯医者さんへの道は、夏はつらいけれど、他の季節はちょっと楽しい。
昔ながらの大阪の下町風景がちょこちょこ残っているので、父方の祖父母の家があったあたりに似た雰囲気を感じながら歩いていく。
街中の小さな墓地もよい。墓石の文字を、つい読んでしまう。
歩くための歩き、つまりご近所ウォーキングはまったく好きではないが、こういう歩きなら嬉しい。
今日は、玄関の引き戸を開け放ち、土間に椅子を出して座っているパイセン女子に、「お姉さん、そのシャツええね、どこで買うたん」と声をかけられた。
マジでオールド大阪下町のパイセン方には、驚くほど気さくに話しかけてくる人が一定比率いる。
「売りものではなく、日本将棋連盟のクラファンの返礼品です」と答えたが、おそらく意味は通じていなかっただろう。
詳細な説明をしなくて申し訳ない。歯医者さんの予約時間が迫っていたのだ。
「パイナップルの絵ぇやな」
「そうです。藤井聡太先生がデザインなさったパイナップル星人です!」
「?」
パイセンが目をパチクリさせている間に、一礼して足早に歩き去った。
次回の通院時、また会えたら、そしてそのときも声をかけられたら、もう少しちゃんと説明させていただこうと思う。

歯医者さんの帰り、以前から気になっていたお店がまあまあ近いことに気づき、立ち寄ってみたのだが、まさかの取材真っ最中。
カメラを回しているため入店不可、2時以降なら店に入って買い物してもよい、とのことだった。
残念だけれど、熱中症になりやすいのを自覚していながら、外で1時間以上待つのはあまりに愚かだ。即座に諦めることにした。
たぶん、今はご縁がないということなのだろう。
一方、そこからJRに乗り継ぐと新大阪駅に寄り道できんねや! という地味な発見があり、道草の選択肢が増えた。いいこともある。

大阪駅で降りて、眼鏡屋さんに寄った。
読書用に度を下げた眼鏡を作ってもらうためだ。
「お仕事用の眼鏡ではダメでしたか?」
「読めないことはないのですが、自分が読みたい距離より少し余分に離さなくては焦点が合わず、離すと今度は近視なので、字がとても小さく見えてしまうんです」
「ああー、なるほど!」
その場で、スマホを見るとき、本を読むときの距離を実測してもらって、30cmの距離に合わせて作ってもらうことにした。
ストレスフリーに使い続けられるように、軽くてやわらかなかけ心地のフレームを選んだ。
今回の担当者は、売り場に連れて行って「さあ好きなやつを選びな」ではなく、「ご希望の要素を満たし、お顔の形やサイズに合う、レンズの厚みが目立ちにくいフレームを数点持って参ります」というタイプの人で、私にとってはとても助かった。
カスタマーを尊重するって、何でも好きなようにさせることじゃないと思うので、こういうプロと長くお付き合いしたい。
無論、セレクションが適切なことが前提だけれど。
今回はバッチリで、4つだけ選んで持ってきてくれた中に、最高にしっくりくるフレームがあった。
手持ちの眼鏡も調整してもらい、ここでも仕事を再開するための準備が少し進んだ。よし。

紀伊国屋書店大阪本店にも立ち寄った。
気になっていた本と、来年のカレンダーを買った。
拙著「#ちびすけlovesおおきい猫さんたち」のボードを飾ってくださっていて、とても嬉しかった。
書店さんに感謝するとともに、版元の営業部の活躍に思いを馳せる。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。