見出し画像

心を通わせることの幸せ/『木曜日にはココアを』を読んで

癒されたくて読み返しました。
明日への希望が持てる一冊。各章のテーマがBrown, Yellow, Pink…と色になっていておしゃれ!読み終わった後に明るい気持ちになるのは、活字でもカラフルなイメージが湧いてくるからかなぁ。田中達也さんのミニチュア作品が表紙なのも可愛いですよね…!
登場人物のそれぞれが優しい気持ちで周囲と関わっていて、交流関係が少しずつ混ざり合って…マーブルカフェから広がっていく素敵な世界。大好きです。

今回読んでみて惹かれたのは、 [Red / Sydney] の一節。結婚50周年の素敵な夫婦の「この人がわたしで、わたしがこの人になっていく感覚。お互い血がつながってないことに我ながらびっくりするくらい。」という言葉に、新婚3日目の理沙が心打たれるシーンです。

赤い糸。それは、小指と小指をつなぐたよりない一本のことではなく、互いの体の中をかけめぐる血のことなんじゃないだろうか。あらかじめ結ばれた線を手繰り寄せるのではなく、いろんな出来事を重ねながら、それぞれの中で脈々と流れるたくさんの赤い糸を共鳴し合っていく

『木曜日にはココアを』5. めぐりあい [Red / Sydney] より

自分があまり好きになれない私。欠点はいろいろあるけれど、そのひとつが優柔不断なところです。
思ったことをその場で言うのが苦手で、人から「これはどう思う?」と聞かれたときにパッと答えられません。母や妹は自分の意志がはっきりしているから、私が口ごもると「はっきり言ってよ」とイライラされてしまいます。
だから、簡単な質問でもそうでないときでも、その時に思ったことをなるべく早く伝えようと頑張っていました。

結婚してからも、私の優柔不断のせいで夫に不快な思いをさせないように、できるだけYes/Noで分かりやすく答えるようにしていました。

ところが「提案したことをNoで却下されることが続いて傷ついた。『そんな提案ありえないから』って言われているような気がした」と夫から言われてしまったのです。

私としては、聞かれたことに真剣に答えようとしているだけで、夫に対して「何言ってんの」なんて思ったことはありません。意見をはっきり伝えなければ夫が困ると思っただけで…
提案してくれたことにNoと言うことが多かったのは事実です。これも夫の考えが的外れとかそういうことではなく、「今の私には必要ないかもしれないから、やってもらったらかえって申し訳ないことになる」という私なりの配慮でした。

180度反対に受け取られていたんだなあ。そういえば夫も、ある面での意志ははっきりしているけれど、基本的には思ったことをズバッと言うタイプではないから、母や妹とは違うタイプだからなあと気づきました。

たしかに、好意で提案したことを「やらなくていいよ」って言われるのは、私が提案した立場だったら寂しいです。あと、こっちは柔軟に考えて申し出ているんだから、あなたも少し頭を柔らかくしたほうが楽なんじゃない?という気持ちになる。実家ではよくそういうことがありました。

「ありがと~やってもらえると助かるかも!でも、どっちでも大丈夫だからね。」これだけ伝えられたら十分なのかなあ。

お互いタイプが似ていて、
リアルタイムで頑張って意見を言わなくてもいいのかなと分かって、ほっとしました。夫と一緒のときは無理することないんだな、と。

一緒にいる時間が長ければ長いほど、気づくことは増えますよね。
お互いの価値観、すり合わせられることと譲れないことを共有して…100%分かり合えなかったとしても、話して伝え合うことはできるから。

毎日を一緒に積み重ねていく間柄として、心を通わせ、共鳴し合って生きていけたら、とっても幸せだなあと思いました。
結婚してまだ3年目。これから続いていく長い人生の間、そんな風に赤い糸をつないでいけたらいいなと思います。

アイキャッチの写真はUnsplashでお借りしました。イエローのマグカップなら元気が出そう☺

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?