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大人がバンドをするということ

僕は大学生の時
ヘビーメタルサークルに所属していた。

先輩たちはみんな長髪で
マニアックなバンドトークばかりしていた。

サークルの扉をたたいた時
先輩に好きな音楽を聞かれて

「ボウイが好き。」
と言ったら

「デビッドボウイか?」
と聞き返され

「いや,布袋と氷室のボウイです。」
と言ったら

「テニスサークルに行けよ!」
と言われたのは,素敵な思い出である。


でもまぁなんやかんやで
僕はそのサークルに入れてもらえることになって
それから先輩たちが
僕をヘビーメタル好きにしようと
洗脳のような日々が始まるのだけれど

それはまた後日に話すこととして,
今日は大人がバンドをすることについて話してみたい。


大学時代の多くの先輩たちは
就職活動を始める時期から
髪を短く整え,結構いい会社に就職していった。

音楽を辞めて社会人になるという図式である
(この時の気持ちは,浅野いにおの「ソラニン」と同じなので機会があったら読んでみてほしい。)。

世間では宇多田ヒカルや小室ファミリーなんかが売れ始め
グレイなんかもポップな曲をたくさん出して売れまくっていた。

身近なバンドマンたちはそのシーンをうらやましがると同時に
そんな音楽くそくらえだと強がっていた。そんな時代だった(ちなみに僕はミーハーなのでグレイも宇多田も小室哲哉も好きだ。)。

そんな気持ちを代弁してかしないでかはわからないが,
日本の音楽シーンにもパンクロックブームが到来する。

ハイスタとか。メロコアとか。
この時代に僕は
大学のサークルの音楽活動から
一歩踏み出し,
ライブハウスに出始めてバンド活動を始めることになった。


紆余曲折を経て,
つい最近までバンド活動をしていたのだけれど
なぜ大人になってもバンドを続けているのか
お客さんだってたいしていないのにどうしてか
なんてことも時には考える。


答えは「楽しいから。」だったと思う。


ライブハウスに出る以上,
いいものをやらなきゃいけないというメンタリティーは
僕もその時代を経験しているからよくわかっているし,
そういう思いも強かった。

でも本当はどんなステージも,
そんなにハードル上げずに,
おじさんが歌いたい歌があるから
ちょっとライブハウスで歌ってくるわ!みたいな感じでいいのだと思う。

近所のママさんバレーとかコーラスとか草野球とかフットサルみたいに。


ステージで思いきり自分らしく声を出せたら
それはもう立派なロックミュージックだ。

音楽は若い人だけのものではない。

その人なりの接し方で楽しめるものだ。
特にパンク・ロックミュージックは。

そんな音楽を言葉を発せられたら,
大人になった自分がバンドをやる甲斐があるというものだ。


若い時の自分に
今の自分のステージを見せたらなんて言うのかな。

ああ,そろそろバンドやりてえな。

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