イルカがいない海

島に着いた！！

ショップのオーナーが桟橋でお出迎え
ソワソワして、何か難しい顔をしている
簡単な挨拶を済ませると
申し訳なさそうに

「イルカがいなくなりました」

ほほぉ～そう来たか！

利島のイルカは時々いなくなる
理由はハッキリしていない

何度も利島へ来ているけれど
イルカに会えなかったことは無い
今回も大丈夫だろうと思っていたが

ほほぉ～

イルカと会えないこともあります。
それは承知の上で申し込んでいる5人の参加者
さすがに顔の表情が変わった
でも、こればかりは仕方ない

ボートは出しますか？
海へ出ても今日はイルカに会えないですよ
他の方は諦めて行かないそうです

オーナーからの問いに
みんなで相談した
出た答えは全員一致

海で泳ぎたいのでボートを出してください！！

オーナーは少し驚いた様子でしたが
快く船を出してくれた

ボート貸切りのシュノーケルツアー
凪の海、風をきって走るだけで気持ち良い
水温は30度、透明度抜群、
潮の流れに乗って海を漂うドリフトシュノーケル
自分で泳がなくても景色が変わってゆく
ボートが伴走しているので安心
15分、、、30分、、、
好きなだけ海に浸かっていられた
身体がほぐれ、気持ちがほぐれ
海の青に染まってゆくような
最高に贅沢な時間になった

海から戻ると
身体も気持ちもスッキリしていた
海には浄化作用があると言う
皆の顔を見ていると
それを知らない人に教えたくなる

オーナーは
イルカが明日戻るかどうか分からない
と、渋い顔をしていたけれど

僕は心の中で
よしっ！準備は出来た
これで明日はイルカに会える！
小さくガッツポーズをした

「ミチオおまえがイルカを探している時にイルカは来ない
お前が海や自然を楽しんでいる時にイルカは来る」

これは1993年
僕がイルカに癒しを求め
単身カリブ海まで旅をした際
現地のイルカ保護観察官に言われた言葉

この時僕はイルカに会うことだけを考えていた
イルカに会えないことをひたすら嘆いていた
協力してくれた人達のことを思う余裕がなく
カリブ海の青い空、青い海さえも眼に入っていなかった

そのことに気付かせてくれ
人生の転機となったのがこの言葉
僕の身体に染み込んで広がり深みを持ち
僕の一部として生きており
今、小さくガッツポーズをした

翌日
利島にイルカたちが戻って来た！！

僕たちはイルカたちとたくさん泳いだ
イルカに感謝し、自然に感謝し、
島の人や、旅の仲間に感謝した

イルカに会い行ったのに
イルカがいない
正直ショックですが
そのショックを通しての学びはしっかり身に付きました
自然は本当に多くの学びを与えてくれますね
(＾～＾)

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