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CASE10:明日という一日
ー彼女は黙読をしていた。ー
新たな仕事で使用する資料、計40p。
たかだか40pを読み上げるのに、2hも使ってしまった。
年齢には勝てないという言葉に振り回されたくないが、取り敢えず年齢のせいにしておこう。脳がスピードを緩めることのメリットも、きっと多いはずだ。
彼女はここ最近、ポジティブ面に視点を向け直す癖が戻ってきている。
元来の彼女が戻ってきたのである。
「なんでもやってみればいいんだよ。」
脳に休憩を。とSNSを開いては一人で呟く。
やらずに後悔、やらずに他人のせい、やらずに他人に妬み僻み嫌がらせ…
(なんて病んでいるんだ、この国の人たち
…別に、この国だからってことでもないか。
人間って不憫な生き物だ。)
彼女のおおっざっぱな断定は気分によってコロコロと結論を変えるが、この点に関しては今までの人生の中で一貫している。
人間への嫌悪が強い反面、動物や植物への愛は大きい。
きっと、繊細なのだろう。
投げやりに垂らした片足を、鼻の先でツンツンとつつくペットの兎に癒されつつ
彼女は明日からの一日一日を想像し、軽い気持ちで考える。
(明日は明日の風が吹く。ってなぁ。)
寝る前に、次の休みには髪を切りに行こう。と小さな予定を書き残し、明かりを消した。
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