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DOPAMINE NATION: Why the Modern World Puts Us All at Risk for Addiction

Dr. Anna Lembke は著書 “Dopamine Nation" の中で、現代には快楽を得る刺激が過剰なまでに溢れていると指摘する。スタンフォードで依存症治療に関する研究を重ねてきた Anna は現代の「刺激」(インスタグラムから様々なかたちのマスターべションに至るまで) を正しく理解することでこの不健康な依存を克服できると述べる。本 Podcastは Anna の著書の解説と深堀りする。

In “Dopamine Nation: Finding Balance in the Age of Indulgence,” Dr. Anna Lembke says today’s superabundance of pleasurable stimuli makes us all vulnerable to overindulgence. But don’t lose hope. Anna, the medical director of addiction medicine at Stanford, says that by understanding how modern stimulants — from Instagram to masturbation machines — prey on our primitive brains, we can find ways to overcome the unhealthy dependencies that prevent us from leading balanced lives.

以下はPodcastを聞いて派生した私の興味についてのまとめ。

ドーパミンが出やすい現代社会

Anna Lembke は著書 “Dopamine Nation” の中で現代は快楽を得る刺激へのアクセスがかつて無いほど簡単になっていることを指摘する。快楽物質と言われるドーパミンが過剰に生成されやすい環境はひょんなことから快楽への飽くなき追求に繋がると述べる。

SNS はドーパミンが出やすい環境の代表と言える。乱暴に言えば SNS はユーザーをどれだけ長時間滞在させられるかを目的として作られたサービスであり、滞在時間が長くなるほど (基本的に) 運営先は収益を多く上げられる。彼らは サイトデザイン、通知音、フィードの更新頻度などサービスの細かいところまでどれだけユーザーの「エンゲージメント」を高められるかを日々研究、実装している。Instagram と TikTok のシェアの奪い合い はその徹底した姿勢が顕著に観察できる。

“Social media apps become drugs by augmenting the features of human connection that make any substance or behaviour addictive: Access, quantity, potency, and novelty. “

Dr. Anna Lembke “Dopamine Nation” 

人が本来持っている人と繋がりたいという欲求と「注意 (Attention)」を上手にハックした SNS は誰しもがアクセスできる開かれた環境である結果、若者を中心に深刻な依存症を引き起こしている。少し前に流行した The Social Dilemma (監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影) はこうした内情を知れる良い映画になっている。

例として SNS を取り上げたが、私は現代の快楽を得る刺激の本丸は言うまでもなくスマホだと考える。昨今の Metaverse や VR の盛り上がりもスマホからさらなる機械的な快楽の刺激のコントロールへの未来を想像させる。基礎的な生理欲求は今後 VR によって攻殻機動隊の世界のように満たされていくのだろう。

快楽と痛みの戦い ~ Pleasure v.s. Pain ~

Anna Lembke は人は「痛み (Pain)」を避けて、「快楽 (Pleasure)」 を求めるよう本能にプログラムされていると述べる。人類誕生以降に培われたこの本能はもともと食べ物を探し、住処を求め、死を避けるために脳が行動を促す信号だった。しかし現代では即死することはほぼなくなった、痛みが消え基本的な欲求が満たされた人類は、どう生きるかを問われる生物的に難しい状態にある。それはすなわち現代は痛みを感じにくいが快楽は得やすくホメオスタシス (生態恒常性) が常時の快楽優位によって正常に機能しなくなっている環境であると指摘している。

ホメオスタシスが正常に機能しないと心身のバランスが崩れてくる。自分が過去、常にオンラインで LINE、Messanger、 Slack ありとあらゆる連絡に反応できるように準備していたが、それらの通知にさらされることは快楽優位の環境を作り出す危険な行為だったと感じる。未読や通知を全部読みきらなければ仕事をした感がなかったが、なにかそれが成果に直接的に繋がったか振り返って考えてみると怪しい。仕事をした感があるときはドーパミンが出ていたのだろうか。

痛みと快楽のバランスがホメオスタシスの正常な機能をもたらすとするならば、現時点で自分が持つ回答は精神と肉体の疲労を調和させることだと考える。具体的に言えば、仕事終わりの激しめの運動、サウナといった身体を追い込んで肉体的な疲労を溜めるものである。どちらかをそのまま放置しておくとバランスが崩れていく。

どうバランスを取っていくのか ~ How do we balance pleasure and pain? ~

依存症になるとドーパミンの欠乏により気分が深刻に落ち込む。それは依存症によって「痛み」がもたらされているとも言える。The Power of Habit で述べられているようにトリガーとなるイベントを変えなければ依存症は改善できない。

依存症の初期は 「快楽 (Pleasure)」を求めた「痛み (Pain)」の逃避からはじまる。はじめのころはドーパミンが快楽を味わえるが、時間の経過とともにその行為自体に耐性ができる、ただその行為をやめるとドーパミン不足になる。それが怖いために続けてしまう。

Anna Lembke は依存症から脱するための一つの例として Dopamine fasting (ドーパミン・ファスティング) を提示した。つまりドーパミンが不用意に出ている行動や習慣を意図的にやめることである。例えば SNS 一定期間やめる、Netflix のイッキ見をやめるなどがあたる。

ただドーパミンが出る全ての行動、例えば人間が本来持っている人との交流なども含めて拒絶してしまう極端な自然に反するファスティングは全く正しくなくむしろ身体に悪影響を及ぼす可能性が高い。

自分にとって快楽優位になりやすいインターネットを通して繋がる関連サービスからの離脱は不可能であるが、このエントリーを書きながら自分の行為が不必要に快楽を刺激する行為になっていないかきちんと認知することは大事だなと感じた。(浅い・・・)

さてジムに行こう。

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In 'Dopamine Nation,' Overabundance Keeps Us Craving More

Dr Anna Lembke: The smartphone has become the modern-day hypodermic needle

Explainer: what is dopamine – and is it to blame for our addictions?

Taking control: How to cope when life circumstances are throwing you for a loop.

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