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#64 《読書記録》扉をひらく哲学

こんにちは。読書記録ということで、不定期にはなってしまいますが、僕が最近読んだ本を細々と紹介していきたいと思います。

今回紹介する本は、

扉をひらく哲学 人生の鍵は古典のなかにある
中島隆博・梶原三恵子・納富信留・吉水千鶴子 編著
岩波ジュニア新書
2023年

です。

今年の5月に第一刷が出たばかりの新しい本です。大学の新入荷コーナーで見つけて借りてきました。今、古典を読む意味や親との関係性の問題、何のために生きているのかなど、何千年も前から変わらず人間を悩ませてきている問題に、11人の古典研究者の方々が回答しています。特徴的なのは、一つの質問に2~3人の回答が付いているところ。一つの問題に、基盤は同じでも視点は異なる様々な答えがなされています。自分が、内容は異なれども何か悩み事があるとき、様々な目線から物事を考え、答えを考えていくことの重要性を感じられます。

もちろん、自分の悩んでいることと同じものがこの本に書かれていたら、読んでみることをお勧めしますが、そうでなくとも、哲学について知ってみたい方や過去に同じような悩みを抱えていた方にもお勧めです。時が経って違う感覚で過去の悩みを振り返ってみると、新しい発見があるかもしれません。

僕は、生まれてきた意味や死後の世界について割と病的に悩んでいた時期がありました。この本を読んでみると、やっぱり答えはそういう感じになるよなあ、という感覚でした。人間は、人生100年時代とは言いますが、所詮は有限の生活です。その有限が、ちょっとだけ無限に近づいたのが最近の傾向なだけで…。しかし、文字や言葉や数字、紙やコンピューターなど、様々な発明を経ながら、自分たちの経験や感覚、悩みや知識、知恵を構成に引き継いでいく術を身につけてきました。哲学に限りませんが、これまでの数千年の文脈を学び、受け継ぎ、そこにちょっとだけプラスアルファする、それが学問の基本的な姿勢だと思っています。その片鱗を、この本から学べると思います。皆さんもぜひ。

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