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仕事の精神性

「ママ、レッスンのお仕事って楽しいの?」

と、唐突に長男に聞かれた。

「楽しいよ。なんで?」

と聞くと、

「なんか、レッスン覗きに行くと、ママいつもニコニコしてないから。」

と、言われた。
それは君らが邪魔しに来るから怒っているのじゃ!!

「レッスンは楽しいよ。
楽しいけれど、なーんもしないでお金が入ってくるならそっちの方がいいな。
ぐーたらして過ごしたい。」

と言ったら、
「そんなことあるわけない。」
と、冷静に小1にダメ出しされた。

「でも、どうせやるなら、文句を言いながらイヤイヤやるより、楽しんでやれることの方がいいよね!」
だって。

働くことの真髄を小1から賜りました。

レッスンは楽しい。
「教える」ことは私が授かった才能だと思ってる。
私は教師という仕事が死ぬほど好きだった。
辞めたことをとても後悔したし、辞めて8年くらい経つのに、未だに学校にいる夢を見る。
でも、今は「子ども」という宝物ができたので、教師に戻ろうとは思わない。
日本の教師は忙しすぎる。
子どもに十分な手当ができなくなることは容易く想像できる。

そして、今の「音楽教室の先生」という職業も悪くない。
誰かの人生に「音楽」という要素をプラスしてあげることで、その人の人生が劇的に変わることがある。
生徒がいつか教室を辞めれば、私は「そんな人もいたよね」くらいの存在になるのかもしれないけれど、私と出会わなければ、彼らは音楽の愉しさ、おもしろさを知らないままだったのだ。
そんな風に、誰かの人生に関われることは、おもしろいな、と思う。

ただ、教師だった頃の濃ゆい達成感や濃ゆい毎日は、もう味わうことはできないのかもしれない。

かつての学校時代の教え子は、いまだに私を慕ってくれる。
そんな関係が作れるのは教師の特権なのかもしれない。

もはやこれは私が断ち切らなければならない幻影なのかもしれない。
それを追い求めるうちは、私には真の充実感は訪れないのだろうか。
「お金」とはまた違う次元にある、言ってみれば「仕事の精神性」の話。






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