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読書感想文 エッセイ本2冊--自分の道を迷わず突きススメ

日本は桜がもう散り始めたころでしょうか。カナダはカルガリーも少しずつあたたかい日が増えてきました。3月のあたま、日本から2冊の本が届きました。1冊目は母から、ヤマザキマリ著『ヴィオラ母さん』。2冊目は友人から、川村エミコ著『私もかわいくうまれたかったな』。子育て中の身にとって、就寝前や娘のお昼寝タイムに読むのにちょうどいいボリューム。最高の息抜きになりました。忘れないうちに感想メモ。

どんな育児書よりためになった『ヴィオラ母さん』

ジーナ式やら、モンテッソーリ。育児書には、これまで何冊も目を通したけれど、プレッシャーに感じたり、現実とのギャップを感じて「ムリムリ」と、途中で本を閉じてしまうことがしばしば。『ヴィオラ母さん』は、そんな私にとってどんな育児書より励みになった一冊でした。

漫画家として活躍中のヤマザキマリの母・リョウコの話。テルマエロマエ夢中になって読んだなぁ。

勘当されながらも、自分の進むべき道(=ヴィオラ奏者)を信じて北海道へと単身向かい、突き進む母・リョウコ。女手ひとりでふたりの娘を育てます。そんな彼女の育児の魅力は、他人の子どもといっさい比べないこと。成績なんかよりも、ほかに大切なことがある。授業も出たくないならさぼればいい、子どもが自分の道を見つけたら全力でサポートする。仕事で忙しくて、日々の子育てに関わる時間は少なくても、根幹にあるのは「愛情をたっぷり注ぐこと」。子供もそれを感じ取り、一緒にいる時間は短くても揺るぎない信頼関係が生まれる。また、自分の好きなことに打ち込む母の姿を見せることで、自分の親を誇りに思える。とても素敵な関係だなぁとしみじみ。リョウコの「子どもを信じる目」。心にズドンときました。この先、子育てで不安になることもたくさんあるだろうけれど、迷ったらまた本を開いて元気をもらおう、と思えた一冊でした。

感想とは逸れますが、親近感がわいたのが、母リョウコが『暮らしの手帖』を愛読していたということ。私の母も『暮しの手帖』を毎月読んでいて、わかるわかる、とうなずくことしばしば。また、出産時のくだりに病院についてふれているのですが、私の生まれた病院でもあり、私自身が娘を出産した病院でもあったので、「おーおなじ!」と反応してしまいました。

がんばろうって自然と思わせてくれる『わたしもかわいく生まれたかったな』

2冊目は、友人から「こけし好きのmichiko(=私)にぜひ!」とのことで送ってもらったエッセイ本『わたしもかわいく生まれたかったな』。著者のこけし愛についてのくだりには目を細めて読みましたが、強烈なインパクトとして心に残っているのは、実の父に「えみちゃんはあまり綺麗なほうじゃないです」と断言されてしまうこと。だから文字くらいはきれいにかけるように、と習字を習うことになるのですが……。その理由はありか⁉︎ また、幼稚園で好んでぼーっとしていたら、先生に「あの子、静かで嫌だわぁ」と言われ、それ以降、大きな家具に終われる夢をみるようになったとか。さらに、陰険ないじめに遭うも、自分を貫き通し乗り越える(本当はもっと細かい心情があるのですがざっくりとでごめんなさい)。苦しいはずなのに飄々としていて力強い。後ろ向きの話(タイトルからして……)なのに、独特の書き口で、ぷぷっと笑えてキュンとする。困難にあったとき、自分はどうしてきたかなぁとか考えたり。いつのまにか引き込まれていました。

焦らず、目の前のできることに目を向けてみる

2冊に共通して見えたのは、だれになんと言われようとも、どちらも地に足つけて、自分を信じてひたむきに生きる姿。こんな風に生きたい!

さて、自分の生活を振り返ってみると。40歳になるまで仕事第一で働いて、ひょんなことからカナダに来て子育てライフに突入。活躍する元同僚や友人の姿を垣間見ると、知らない土地で子育てしながら悶々と「このままでいいのかな」と感じることもありました。取得したアロマの資格をもっと生かして何かはじめようか。日本語教師の資格をとろうかな。はたまた毎日何もしてないで終わってる⁉︎ などなど。何か一歩を踏み出したいものの、何から手を出していいのかわからず焦る。子育てに関していえば、娘が偏食気味だったり、人見知りだったり……。と、はじめてのことばかりでちょっとしたことで心配になることも多々あり。

2冊を読み終えて、いまいちど、自分の心に問いかけてみると、やっぱり今の私がしたいことは、「まずは子供としっかり向き合い、まだ知らないカナダでいろいろな経験を積むこと」なのかなぁと思えました。目の前のできることを全力で楽しめばいいのか。ふっと力も抜ける。

それとは別に、「これから自分が何かはじめたい!」というアンテナは忘れずに張りめぐらしておき、キャッチしたら恐れずに試してみよう。そこから道が広がっている。と、バシバシ前向きになれた2冊でした。いまこのときに、この2冊が手元に届いたのは何か意味があるのでは、とさえ感じてしまう。まずは、目の前の大仕事。出産を乗り越えよう。未来の私、この気持ちを忘れずにいられますように。


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