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ナイトクルージングをしてみたい

私は車の運転が下手である。

豪州渡航前に運転スキルがあれば便利だろなと思って山形にて免許合宿に参加したが、ここで分かったのは自分はマジで運転に向いていないということだった。注意力散漫×緊張しい×不器用の掛け算は僕に安全とはかけ離れた運転を余儀なくさせる。「おいぃ、何やってんだおめぇ、あっぶねぇぞぉー」というドラゴンボールでしか聞いたことのないような教官の東北訛りの声が車内に響きわたる。本番のテストでも一発不合格になるミスをしてしまい、他の受験者より長い間学校に通うこととなった。最終的に免許は取得したものの、山形での経験は僕に車を運転することを億劫にさせた。

数か月後にはオーストラリアへと渡航。何かあったときのためにと一応国際免許証を取得してみたが、結局豪州での運転経験は今までで一度のみである。

1年ほど前に当時の勤め先のボスに軽い飲みに連れて行ってもらった帰り、「酔っ払って運転できねぇからお前運転しろぉ!」と言われた時だ。行く前には「運転できるくらいには酒押さえるから安心しな!」みたいなこと言ってたのにムチャクチャだ。これがオーストラリアンドランクスタイルってやつか。有言不実行で飲みたいだけ飲む・・・元AC/DCのボーカル、ボン・スコットも酒の飲み過ぎが起因となって死んだのが頷ける。帰る手段は僕が運転する以外になかったので仕方ない。全く知らねぇ夜中の山道をでっけぇトラックで運転することおよそ30分、おまけに人生で初めての飲酒運転という我ながらなかなかにクレイジーな行為で家まで帰った。ちなみにこっちは酒を飲んでも規定量以内だったら法に触れずに運転できるからそこはご心配なく。

半ば無理矢理にそこそこの時間運転させられたこの経験は、僕の運転への自信を少し向上させはしたものの、車の購入を検討させるまでには至らなかった。

そんなこんなで1年間の免許の期限が切れてしまったのだが、機会があればもう一度免許を更新して、今度は本格的に運転にチャレンジしてみようと思っている。

きっかけ?そうね。

ナイトクルージングしてみたい。

ナイトクルージング

アァァーー

シェアハウスに同居している友人が、数週間前に運転中車内で聴いていたのがこの曲だった。

1987年に結成されたロックバンド、フィッシュマンズ。1999年にボーカル佐藤伸治が突然亡くなったため活動を一時休止したものの、ゲストボーカルを加えたりなどして2005年に再起。いくつかの曲は今でもカバーされていたりする。

「世田谷三部作」と称されるアルバムの一つである『空中キャンプ』に収録されているこの曲『ナイトクルージング』は、ボーカル佐藤が30歳になって初めて車の免許を取り、夜に車を運転していた際に得た着想から作られた名曲である。

この状態に陥った佐藤を、僕もナマで感じてみたい。

自分に酔っている、ともいえるかもしれない行為だが、素晴らしい表現をする人が、どういった心境で作品を作り出したのか。そんな状況下に自分をできるだけシンクロさせてみたいのだ。

先程のクレイジー酔っ払い山道ドライブだったり教習所での練習だったり夜のドライブの経験はいくらかあるものの、隣におそらくもうインポテンツ状態であろういい歳したおっさん乗せて自分の世界にダイブすることなんてできるわけがない。今度の夜道のドライブは一人がいい。一人でガタガタの山道ではなく、なだらかな、ちょっと街から離れた公道を走りたい。一人だ。んー、まあ仮に誰か隣に乗せるとしても気の合う恋人とかかな。もし同性なら中性的なシュッとした気の合う人がいい。CVは石田彰さん。で別に同性愛者ではないよ俺は。

自身の車は未だに持っていないものの、幸いシェアハウスの同居人が数台所持している。仕事の行き帰りも車である。運転のタイミングはいくらでもある。

苦手なこと全て得意になる必要はないけど、やったことがないこと、普段やらないことに挑戦してみると新しい見解、インスピレーションが生まれるなんてことは往々にしてある。着想は新たな着想を呼び、それが人生を楽しくさせる。これから、また新しい、見えない世界が見えるといいなぁ。

いい声聞こえそうさ。

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