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「セレブ」で「優雅」は遠い過去、令和時代の「駐在妻」の悩みとは?


元々オンラインで活動しており、Zoomは4年前から有料ユーザーの飯沼ミチエです。

新型コロナによるオンライン化の流れは、私にとってもとても喜ばしいもので、2月から異業種ビジネスチームに加わったこともあって

「これまであまり接点のなかった様々な業種の皆さんとZoomでお話する」

という体験を繰り返しています。

その時私はよく、「駐在妻って、どんなイメージですか?」ということをお聞きするのですが、返ってくる答えの二大頻出ワードがこちら。

◆セレブ
◆優雅


駐在妻の皆さん、どう思われます?


1.セレブや優雅は本当か?

もちろん、インスタ映えを狙った演出として「セレブ」や「優雅」に見える部分はあるでしょう。そもそも、ヨーロッパの歴史的な街並みやお城、アジアのプール付きマンション(セキュリティが最重要ですから)を背景にした写真、それだけで素敵に見えてしまいますよね。そういった写真をSNSでアップすることで、私たち駐在妻自身が、イメージを作ってしまっている部分もあるかもしれません。

でもそこには、それくらい「プチ自慢」しないと、やってられないよ!というホンネが裏に隠れているのも、事実です。(やってられない、の理由は後述します)


2.駐在家族のお財布事情

そして、ひとつ声を大にしてお伝えしたいのは、「駐在員家庭の金銭的余裕」について。もはや今の時代、残念ながら皆さんがイメージするような「セレブな暮らし」では全くない、というのが多くの駐在妻の実感ではないかと思います(もちろん例外もあります)。

数字のデータがあるわけではありませんが、以前は「(特に途上国への)駐在を経験したら家が立つ(ほどお金が貯まる)」と言われたと聞きます。あるいは、シンガポール駐在では「日本人は皆オーチャード(中心街)に住んでいた」とか「メイドさんがシーツまでアイロンかけをしてくれた」という時代があったらしいと聞いたことがあります。

ですが、今はどうでしょう。為替も変動していますし、国や都市にもよりますが、大企業だけではなく中小企業も海外進出する時代です。駐在妻側からの視点で言えば、自分の力ではどうしようもない「夫の会社の規模や金銭的な力」によって、住む場所(住めるマンション)と子どもを通わせられる学校が変わってくる、というシビアな現実があります。

また、共働き家庭が専業主婦家庭の数を大きく上回っている今の時代、配偶者が海外転勤するということは、「共働きが片働きになる」ということなのです。

「駐在手当てがあるじゃないか」というご指摘があるようなのですが、正社員一人の年収に匹敵する手当があります!?あったらぜひ教えてください。

多くの駐在妻にとっては、「セレブ」で「優雅」は遠い過去、イメージでしかないのです。

3.皆さんがイメージする、駐在妻の苦労

さて次に、駐在妻のイメージとして「言葉や人間関係で苦労する」ということをおっしゃる方も少なからずいます。

私自身はさほど人間関係に苦労した記憶はありませんが、やはり狭い日本人コミュニティで苦労される方がいるのは間違いありません。私が住んでいた上海、シンガポールのような日本人数が数万人いるところ、あるいは日本人の数が極端に少ないところ以外は、多かれ少なかれ、いろいろな難しさがあるのではないでしょうか。

もちろん、言葉の壁に苦労するというのもご想像の通りです。

「英語(あるいは中国語・フランス語・その他)ペラペラになれるね~♪」という友人たちからのお気楽な声掛けは、ほとんどの場合プレッシャーとなるだけ。

子どもたちに至っては、自然に言葉ができるようになったと思われがちですが、その裏には年齢が上になるほどに親子の苦労と葛藤があります。

「プチ自慢でもしないとやってられない」の理由のひとつはそこにあり、要は、どう頑張っても「イメージとのギャップ」というのが埋まらないのです。

・自分で望んだわけでもない国に
・望んでいたとは限らないタイミングで行くことになり
・言葉の壁と文化の違いに四苦八苦し
・自由に使えるお金が減ってしまったことを嘆きながら
・時にゴルフに出張に忙しい夫不在のワンオペ育児をこなしている

こんなことを声高に叫んだところで、どうせ日本にいる人には理解されない。

だったら少しでも楽しみを見つけ、ちょっとくらいインスタでプチ自慢したって良くないですか!?というのが、駐在妻の心の声としてあると思います。

(もちろん、私が全駐在妻を代表しているなんていうつもりはありません。こういう人もいる、という話です)

4.多くの方がイメージできない、駐在妻の苦労とは

ここからが本当の本題です。

令和時代の駐在妻が、昭和、あるいは平成前半の多くの駐在妻と決定的に違っているのは、私は「キャリア意識」ではないかと思います。

なのに、このことが、残念ながらほとんど理解されていない、というのが現状です。

今まで私がお受けしてきた相談事の多くが、キャリアに起因し、そこから広がっていくものだと考えています。

【出発前】

・自分のキャリアを諦めたくない、仕事を辞めたくない

・一方で、家族で一緒にいたい気持ちもあるし、日本で1人で子育てをするのも不安

・今退職すること自体は構わないが、専業主婦として現地でやっていけるのか不安

・帰国してからまた働けるのか不安

・帯同するつもりで退職したのに、コロナの影響で単身赴任となりそうで戸惑っている


【滞在中】

・仕事をしていないと、自分には価値がないように感じる

・夫のお金をどこまで使って良いのかわからない

・自分の収入がないことが不自由に感じる

・現地で仕事をしたいがビザの面はクリアしていても、夫の会社による制約がある

・今まで働いていたので、専業主婦のコミュニティに入っていけない

・キャリアについて話ができる人を見つけられない

・予想もしなかった別の都市、国へのスライド移動が決まり、自分の人生が夫の会社に振り回されているように感じる

・ある程度長期間の滞在(3〜5年)ということで退職してきたのに、1年足らずで帰国することになり、むなしく感じる

・休職制度を使って帯同しているが、この期間に何をしておけば良いのかわからない

・SNSで同僚や後輩が昇進していくのを見るのが辛い

・夫の活躍を羨ましく感じ、つい自分と比較してしまう

・これまで対等だった夫との関係が、家事の分担等を含めて変わってきたことにモヤモヤする


【帰国後】

・年齢やブランクが壁となり再就職しにくい

・駐在妻としての経験はなかなか評価してもらえない

・また転勤があるかもしれないと思うと、再就職しづらく、キャリアが終わったように感じて辛い


などなど、挙げればキリがありません。

もちろん、子どものことなど、キャリアとは無縁の悩みがないわけではありません。

ただ、一見無関係と思われる、孤独感や自己肯定感の低下、人間関係なども、元をたどれば、キャリアの中断というところから来ていることもあります。


やっぱり「プチ自慢」しないと、やってられないよ!

というホンネの部分、ご理解いただけたでしょうか?

5. 解決方法

「それ、解決できるの?」

ということですが、私はそれをなんとかしたい!と思って「駐妻カフェ」というサイトをボランティアメンバーの皆さんと一緒に立ち上げました。

立ち上げメンバーは18人でしたが、現在運営メンバーは40人以上!

このサイトで情報を得てまずは生活環境を整え、体験談を読むことで自分自身の選択肢を広げ、そしてオンラインカフェ(交流会)を使って、世界各地に住む駐在妻同士で交流を深めてほしいと思っています。

「自分だけじゃない」ということがわかるだけでも、安心感が得られます。

また、2年前から駐在妻を対象とした「渡航前オリエンテーション 海外生活を人生のチャンスにする5つのヒント」を開催しています。

現在は新型コロナウイルスの影響を受けてオンライン開催となっており、次回は11月24日(土)に行います。


キャリアに起因する悩みは、なかなか相談しづらいという方もいます。
ご本人が自分自身の「人生とキャリア」に根本原因があることに気づかないまま、異文化のせい、環境のせい、子どものせいにしていることもあります。


今、悩みの真っただ中、という方にはなかなか届かないかもしれません。

でも、実は、人生はいつからでも変えられます。

そのお手伝いができればと思っています。


ぜひまずは、皆さんの周りの駐在妻(夫)の皆さんに、私たちのサイト「駐妻カフェ」をご紹介ください!

駐在員、そして駐在員を派遣する企業のお力になれたら、と思っていますので、ぜひお気軽にお問合せください。

そして、駐在妻として海外生活を経験して得られることもたくさんあります!悪いことばかりではありません。

次回は、海外生活を人生のチャンスにできた方々について書いてみます。

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