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お菓子教室の先生のしごと

私は都内のレッスンスタジオでお菓子の講師をしている。

私がパティシエとして働き始めた頃に憧れていた仕事だ。
そう、夢は叶ったのだ。わりかしあっさりと。
(企業が運営する菓子教室だけど。)

しかし、講師になってみたら様々な苦悩がある。


今までは、菓子屋や飲食店で働いていたので実際に売れた商品というのは誰が作ったかはお客様には伝わらなかった。

だから味に対してや見た目の完成度に対する責任の感じ方はやんわりだった。
何かあったらシェフの顔に泥を塗ることになる。しかしそれを常に考えながら働いている人は多くはないだろう。

だがしかし、今は生徒であるお客様が何か不満があった場合、完全にダイレクトに自分へ責任がふりかかる。

そのプレッシャーというのは何たる重み。

プレッシャーの内訳としては、、
「失敗したらどうしよう」「みんな喜んでくれるだろうか」である。

もちろん失敗しないように試作は繰り返しているが1人分をオーブンに入れた時と7人分オーブンに入れた時の焼け具合の違いはある。
(それを見越して色々調整はするが、、正直慣れないオーブンでは難しい。。)

生徒さん方は人によっては、よく喋る人、よく笑う人、一切話さない人、一切笑わない人、もちろん様々だ。

最初はそれにだいぶ戸惑った。

私は周りの目を気にする性格なので、怒ってるのかな?とか何か不満があるのかな?とか常にビクビクしていた。

当たり前だがレッスンによっては、すごい静かな時もあれば賑やかな時もある。

常連さんが増えてきたら、「この人は、寡黙だけどもこういうタイプの人だ。」という認識が出来てきた。そういうお客さんこそ何度もリピートをしてくれている。

そして、回数を重ねると私のスタイルというのが大分確立されてきた。

「私のスタイルを気に入ったなら来てね」的な感じで横柄になってはいけないが、私のレッスンを気に入って連続的に通ってくれる方が増えているな、と最近は感じている。

それは、実際にレッスン前の緊張の緩和に若干関与している。

私が生徒さん達との壁が薄くなった一つのきっかけがある。

ある日、私は生徒さん達のお菓子を破損してしまったのだ。
本当に死んだと思った。というか、切腹してお詫びします。ぐらいのメンタルになった。

その後、生徒さん達は、、
「大丈夫よ。私たちは先生にお菓子の作り方を習いに来ているのだから。先生の作ったもの試食出来るし。大丈夫だから。」
と、皆さん仰って下さった。

本当に泣きそうになった。
勿論、そんなことをされたら「許せない!なんてことをしてくれたんだ。」と怒鳴る人もいるだろう。

その際に私は思った。
「生徒さん方をもっと信じよう。」と。

全く信じていなかった訳ではなかった。
ただ、生徒さんの割合は女性が9.5割で年上の方々ばかりでとても緊張していた。変なことしたら怒られる。とか思っていた。

しかし、その事件以降は少し肩の荷が降りたようだ。

けど、まっだまだ!お菓子教室の講師としてはビギナーだ。

緊張感を常に持ちながら、それぞれの生徒さん方に合ったベストな距離感の先生になりたいと思う。

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